壁の中の秘事の作品情報・感想・評価

壁の中の秘事1965年製作の映画)

AFFAIRS IN THE WALL

製作国:

上映時間:74分

ジャンル:

3.5

「壁の中の秘事」に投稿された感想・評価

スタイルで凄い若松監督作品。内容は面白いところもあるけど個人的にそんなに楽しくなかったね。この作品のあとのもっと過激なやつの方が好き!
mato

matoの感想・評価

2.8
閉塞的な環境に置かれた団地住人たちのフラストレーションを描いた群像劇。

住む場所が狭いと心まで狭くなってしまう。四方を壁に囲まれた箱に押し込められた人間たちの心情がヒシヒシと伝わってくる。

画面から漂う欲求不満のムラムラ感はすごい。封建的な旦那のもと外に出られない主婦、親に過度な期待を負わされた宅浪生など、どれも成人向け漫画の題材になりえそう。
団地に居住する人々の、悲喜交々の種々相を描いた人間ドラマ。「コンクリートの壁に囲まれた生活は、平和な監獄にいるようなものである」という、若松監督の哲学が濃縮されている。

簡単に説明すると、血気盛んな年頃の時分に感受しがちな、「理由はわからないけれど、壁を殴りたくなる」という精神状態を、1965年当時の時流を反映させて描いている作品。物語は、酸いも甘いも噛み分けた中年同士の不倫カップルと、学業と覗き行為に勤しむ童貞浪人生の視点によって進行する。

不倫も覗きも「単調な暮らしから脱したい」という切なる思いから生み出された行為だということは自明の理なのだが、登場人物たちは新しい刺激をどんなに重ねても、底知れぬ不安感と寂寥感に見舞われる、負のスパイラルに陥っている。ラストシーンでの浪人生の八つ当たり行為には、同調したくないのに同調できてしまうという、本当に厭な気分にさせられる。

「古きよき時代なんていうフレーズがあちこちで使われているけれど、古きよき時代なんて本当にあったの?」という問いに答えてくれる、唯一無二の傑作。