侵入者の作品情報・感想・評価

「侵入者」に投稿された感想・評価

なかけ

なかけの感想・評価

4.2
カットの間に唐突な時間の経過や空間の移動が挟み込まれ、その度に主人公の男は死んだのではないかと思わせるほど、死の臭いが充満してる。後作『バスターズ』を思わせる(当然逆なのだけど)禍々しさとクロースアップの不愉快さ。タイトルでもある侵入のモチーフは繰り返され、ついには映画の中に映画が侵入してくる。
タイトルコールと劇伴がめちゃくちゃかっこいい。あとエレベーターのシーンが凄い。
紫色部

紫色部の感想・評価

4.0
2017.5.14 アンスティチュ・フランセ東京(英語字幕)

洗練されたタイトルバックと、暴力的なまでのジャンプカットに震える。雪山でのショットや音楽も全部カッコいい。ドゥニとアサイヤスってめちゃくちゃ共通項があるなぁって思いました
ロラン

ロランの感想・評価

5.0
心臓に持病を抱える男がフランスとスイスの国境地帯から韓国、タヒチへと移ろう映画。クレール・ドゥニのベスト。

森や犬といったファクターによって世界を禍々しく映しながら、『美しき仕事』でも見られた自由自在な場面転換が「移動」の主題を描く。そこに見えるのは「侵入者」たる男の孤独。だからこそ、彼が見知らぬ韓国人と意気投合する酒場のワンシーンが素晴らしい。

国境地帯での窃視、韓国の夜の繁華街での追跡など、心臓を患う主人公にとってエカテリーナ・ゴルベワの存在は、下の方も仰る通り「死神」なのだろう。反復される主人公が左胸に手を当てるカットが印象的だ。この「死」のイメージも本作の禍々しさに貢献している。主人公が「移動」するのは、国々の境界のみならず生死の境でもある。

そして、その死のイメージが顕在化するのが終盤のタヒチ。横たわる主人公と交互に映されるのは、墓穴を掘る人々や、死者へ手向けるようにテーブルに並べられ赤い花。彼が渡った海の青さが反復される病院の壁も忘れ難い。

ラストは、冒頭の国境地帯へと戻らずに、主人公の乗る船のショットで終わらせた方が主人公が移ろい続ける途方のなさを表せたと思うけど、それでもこの映画はゼロ年代ベストの10本に入れたい。
メチャ面白かったが序盤ウトウトしてたのもあり一回じゃ咀嚼し切れない!

スイス〜韓国〜タヒチなどアチコチ往き来するおっさんの話。移動を現す際に映される海が印象的。メチャ移動するので、その度何もない海とか波を何十秒も映すショットが頻発する。でも不思議と退屈しないどころか海なのに海に見えなくなってきたりして面白い。「異化」というヤツかしら。あとなんか画が超キレイ。
あと韓国のシーンにはドラム缶をテーブルにしてる様な例の焼肉呑み屋が登場、客の姿態もホン・サンス映画でよく見るようなあの感じだった。いいショットいっぱいある。
冒頭の殺人シーンを置いとくと、心臓移植をした主人公が息子を探すってだけの話なんだが、異様に不穏な空気が漂っている。
(開放的な南の島に行くのにも関わらず)
死神のようなカテリーナ・ゴルベワの使い方は完璧に正しい。
ドニは全体のショットをあまり撮らずに、基本、俳優を接写する。人物同士の距離感を撮らない。画面にも複数の人物をあまり同時に配置しない。そのため、クレール・ドニの映画にはとりわけ、人物がふらっと画面にあらわれふらっと消えていく感触がある。そこからくる自分と他者の関係の不確かさのような独特の感覚がこの映画では特に際立っている。