スコアの高さに期待して見たが、作品の中に流れる独特の空気感はとても癒されたが、それ以上に奇妙な気分にさせられた作品。
以前王墓だった所に建てられた学校を、病院にした所に入院している眠り病と言う奇病に罹った兵士と、それを看護する脚の長さが違うおばちゃん、人の心や前世が読める女性の不思議な話。単調な会話と時々訪れる数分間の定点シーンなど何かメッセージを探そうにも、タイの風習や文化、宗教観が分からないので謎だらけだった。それでも何となく伝わって来るものはあるが…ラストシーンは少し怖かった。
ゆったりとした時間と優しいシーンの連続なのに時々ぶち込まれるとんでもないシーンは、シュール過ぎて爆笑してしまった。
本作監督作品が好きな人などハマる人はハマると思うが、少々変わった感じの文学的な香りを楽しみたい人や癒されたい人、熟睡したい人にはオススメ。

【第68回カンヌ映画祭　ある視点部門出品】
『ブンミおじさんの森』アピチャッポン・ウィーラセタクン監督作品。カンヌ映画祭ある視点部門に出品、カイエ・デュ・シネマ誌ベストテンでは第2位に選出された。

なんか観たことある気がするけど最後まで見入ってしまった。観念的で超自然的なアピチャッポンの作風が全開のスピリチュアルドラマ。

眠り病にかかっている兵士たち、その病院にやって来た女性を描いている。時間と空間を自在に超越するアピチャッポン節が効いている。

突然現われた王女たち、精神世界にコンタクトできる女性など超自然的な展開が不可思議で面白い。

展開はスローだし劇的な何かがあるわけでもない。しかしアピチャッポンならではの精神との向き合い方が端的にまとまった作品と言えるだろう。まぁ退屈と言えばそうなのだが、それだけでは割り切れない魅力がある。

直接心に語りかけてくるような不思議な一作。面白いとは言えないが、唯一無二の語り口を持った作品として重要な一作と言えるだろう。

• #第68回カンヌ国際映画祭

’’眠り病’’にかかった兵士の男たちがベッドで眠っている、かつて学校だった病院。そこに訪れた女性・ジェンは面会者のいない’’眠り病’’の青年の世話を見始め、男達と魂と交信できる特殊な力を持つ若い女性・ケンとも知り合う。やがてジェンは、病院のある場所がはるか昔に王様たちの墓だった事が男らの眠りに関わっている事に気づく...。

「ブンミおじさんの森」でタイ映画史上初めてカンヌ国際映画祭最高賞であるパルム・ドールを受賞した、名前が印象的すぎるアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作。

本作にて初アピチャッポン。

作風として、物語が重視されるというよりも映像と光景がメインとなっている印象。
それぞれの場面が長く、会話もそれぞれスピリチュアル的でアピチャッポンの思想がだいぶ滲み出ている。タイ文化を詳しく知るわけじゃないから分からないけど恐らくそれらは＝で繋がっている。

テーマとして「睡眠」の映画である事が明確だが、とてもスロー、そして物静かに自然と病院を中心に進行する物語は、意図的かは分からないが観客の眠りを誘う仕組み。

ただ、会話のどれもがあまりにスピリチュアル的で正直こちらとしては「分からん...笑」で済ませたい気持ちが強く私はのめり込む事が出来ず、そして映画を観て寝るという体験も全くと言って良いほどしないのでただただ冗長で退屈する2時間だった。

視聴 2025年5月4日