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時の彼方へ
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『時の彼方へ』に投稿された感想・評価

菩薩
3.0
半自伝的、かつ父・母の思い出に捧ぐとの事でそれ以上でも以下もないと思うが、4部構成の作品の中で語られるのはある日突然武力により占領される者たち、自由な教育を奪われる者達、監視や干渉に鈍化していく者達、そして功績をあげれば全て「イスラエルの」とされてしまう自分自身の姿、と言ったところか。突然の嵐に巻き込まれて回想に突入する(?)冒頭シーンが果たして必要なのか、基本的な説明責任を果たさず「お察しください」で進んでいく物語に置き去りにされないか、天丼多用の爆笑よりもシニカルな嘲笑を狙っていく小ネタの数々に乗れるかどうかで評価が分かれそうだが、いかんせん初スレイマンともあってなんとも言い難いところ。ただ序盤のテンポの良さは異常なほど良いし、スレイマン個人の思いを象徴するであろう棒高跳びシーンなんてのは◎。相乗りタクシーで隣に乗って来るお姉さんがダレノガレ明美にしか見えなかったのは俺だけではない筈。
[パレスチナ、現代の不在者の年代記] 60点

初長編が『消えゆく者たちの年代記』という題名だったが、本作品のほうがよっぽど"年代記"してる。ざっくり四部構成となる本作品は、1948年のイスラエル建国によって迫害されることになったパレスチナ人について、ある一家の歴史を追うことでミクロな視点から故国の歴史を捉え直そうとしている。そして、その一家というのがスレイマン一家なので、半分くらいは自伝的な要素も含んでいる(はず)。テイストは他の三作品と似ているのだが、ガチの年代記とすっとぼけギャグの相性が微妙に悪く、全体的に鋭利さを欠いているのが難点。特に夜釣りや先生の説教など同じギャグを繰り返して時間発展させるおなじみのギャグが一番繊細さを欠いていたように思える。視点もミクロすぎるのだが、自伝と呼ぶには普遍化しすぎていて中途半端にしか見えない。そして何より、傍観者とも観察者とも言えない少年~青年エリア・スレイマンの立場の微妙さには首を傾げたくなる。それでも、第四部になってスレイマン本人が中年エリア・スレイマン(=E.S.氏)として登場すると格段に面白くなる。ゴミを出しに行く青年の頭を戦車が真横で狙い続け、クラブを取り締まりに来た軍人が漏れ聞こえるリズムに合わせて身体を動かしながら警告を発し、交通整理員は友人が来ると車を止め、夢の中でスレイマンはパレスチナとイスラエルを隔てる壁を高跳びの要領で飛び越える。これぞスレイマンって感じだが、やはりそこには我々の観たいスレイマンと本人の見せたいものの差があるのだろうかと考えてしまう。

ちなみに、『消えゆく者たちの年代記』にも登場した土産店"聖地"は本作品にも登場している。単純計算で12年ほど経っているが、健在だった。今でもラクダが倒れたままなのだろうか。
日本で公開された記憶が無いのに邦題がついているのが謎だけど、それはさておきカンヌで新作が特別賞を受賞した記念ということもあって10年越しにようやく鑑賞できたので言及したい。

字幕を見ないせいでちんぷんかんぷんなところもありつつ、エリア・スレイマンらしい独特なカット割りとリズム感、そして不思議な描写のおかげで問題無く楽しめた。

D.I.でも見られた黒さも健在で、兵士にささやかな抵抗をするおばちゃんが拳銃であっさり死ぬシーンとかモンティパイソン的酷さで逆に笑える描写が多かったのも好印象だった。(というかゲリラと軍隊の対立の話でもブラックユーモアと緩さが感じられるのが凄い)

でも空気の緩さ故に作品自体や映像の強度的にハネケの白いリボンやオーディアールの預言者と比べたら劣るようにも思えたから、芸術的ではありながらもカンヌで受賞を逃した理由もなんとなくわかる。

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