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白いトナカイ
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『白いトナカイ』に投稿された感想・評価

horahuki

horahukiの感想・評価

4.7
トナカイに託した文化的反転!

吸血トナカイ人間が集落の男どもを1人ずつ誘い出しては処していくトナカイホラー。舞台は雪山集落。夫をメロメロにしようと惚れ薬をゲットした奥様は自分が魔女だと気づいてしまい、月夜の晩に白いトナカイに大変身!男どもを次々に誘い出して性欲を大解放するフェミニズム要素強めの大傑作!!

ラップランドの男たちはトナカイの群を追うために数週間以上も家を空け、戻ってきてはまた旅立つ…その繰り返し。トナカイレースで男どもをごぼう抜きするほどに力強く強い意志を持った女性ピリタはただ孤独のうちに夫を待つ牢獄のような生活に耐えられず、自分の魅力で夫を縛り付けておくために地元のシャーマンから惚れ薬を買う。でもそもそも自分が魔女だった!😂

魔女で吸血鬼で白いトナカイ(月夜に変身するため人狼的)なピリタさん。「男にモテる=男に追われて狩られる」を体現するかのように世にも珍しい白いトナカイに変身したピリタさんをトナカイハンターな男どもは地の果てまでも追いかけてくるという、すんごい捻じ曲げられた状態での願望成就。そこから吸血鬼スタイルに変身して返り討ち!この時のピリタさんが一番イキイキしてた気がする😂

薄暗く寒々とした厳しいラップランドに住む人々の営み・生命としての活気と躍動の力強さを強烈に感じさせる前半部分はパラジャーノフ作品を見ているようで、その生きることの厳しさと温かさみたいな相反するものの洪水で涙が溢れそうになった。異様なほどにセリフが少なくサイレント映画のような質感が「なまの生」を強烈に見せつけてくる。フィルマの関連作品で『ざくろの色』や『火の馬』が挙げられているあたり、フィルマの精度が恐ろしい…😱

ピリタはシャーマンの言いつけ通り願望成就のための「生贄」を石の神の祭壇に差し出す。その「生贄」は真っ白で純真無垢な子どもトナカイであり、この時点でピリタは自身の心の幼児性と(現文化にとっての)善性を殺し大人への変容あるいは原石的本質の発露を果たしたと見ることができる。

ラップランドは16世紀以降にキリスト教が侵入したためにそれまでの精霊信仰が弾圧対象となったらしく、本作でもその要素が色濃く反映されていてる。土着の精霊信仰の担い手であるシャーマンが孤立した一軒家に住んでいるのも恐らくそのためで、その一方で集落の他の人々はキリスト教の教会に集い結婚式を挙げている。一面に広がる大雪原が薄暗くフィルターがかかったようなダークトーンなのに対してシャーマンの家だけは物凄く白いことにも意図を見出せる。

そのシャーマンの言いつけにより魔女化したピリタさんは、女性の変容というパーソナルな面だけでなく文化的な規範の反転(モノクロを反転させた美しいトナカイの映像にも表される)の性質も併せ持ち、決してネガティブな存在としてだけ描かれているわけではない。大人へと変容した女性を食い物にするかのように追いかけ続ける男性たちと、異文化を侵略するキリスト教的価値観を同質化させ、消えゆく文化的アイデンティティの象徴として、ラストの引いていくカメラに物悲しさを強烈に感じさせる素晴らしい作品だった。めちゃくちゃ好き!!
[フィンランド、雪原のフォークロア西部劇] 70点

ニルキ・タピオヴァーラの作品に撮影監督として携わったエーリク・ブロンベリによる初監督作品。カンヌ映画祭コンペ選出作品。物語は雪深いフィンランド奥地の村でトナカイ飼いと結婚した女性が、新婚早々に出張ばかりで留守がちな夫の愛を取り戻そうとシャーマンの力を借りたせいで吸血トナカイになってしまう、という吸血鬼と狼男を足したようなフィンランド民話を基にしている。満月を背景にうなされながら白いトナカイに変化する妖艶な主人公ミリヤミ・クオスマネンの表情で物語を言葉少なに引っ張っていくのが良い。『Laila』のときも思ったが、雪原を舞台にしているだけで、投げ縄でトナカイを捕まえるたりしているので、精神は西部劇に近い。終盤で白いトナカイに棒立ちでナイフを投げつける老婆が一番強い。『マクベス』の"女の股から生まれた者"みたいに"トナカイ飼いで勝てる者はいない"という予言だったので、てっきりこういう無関係な人が殺すのかと思ったが、普通に考えたら夫だよな。
sonozy

sonozyの感想・評価

4.0
雪深いラップランドで、夫を虜にしようとシャーマンの元を訪れた妻は、白いトナカイに変身する魔女となる。
フィンランドの寓話のような世界。モノクロ作品。

トナカイのソリレースに紅一点参加したピリタは接戦したアスラクと恋に落ち結婚。
夜誘いをかけても乗ってこず、トナカイ牧畜のため数週間出かけてしまうアスラクを惹き付けようと、ピリタはシャーマンの元へ。

シャーマンが秘薬を作り、祈祷を始め「帰り道に最初に出会った生き物を、石の神に捧げなければならない」と語ると、ピリタの表情が一変。彼女が太鼓に手をやると….
そんなピリタの姿を見て「魔女….」と怯えるシャーマン。

アスラクがペット用に置いていった子ヤギを石の神の生贄に捧げたピリタ。
その日から、ピリタは月夜になると、白いトナカイに変身するようになる。

トナカイ牧畜民の一人の男が白いトナカイを捕らえようと追い、投げロープで倒す。
するとそこには微笑む魅惑のピリタが。男は驚きながら惹き寄せられるが、彼女の歯が…

男の亡骸が村に運ばれ悲しみに包まれる中にピリタの姿も。
そして、別の夜、また被害者が出て、白いトナカイは魔女ではないかという噂が広がる。

帰って来たアスラクや村人は、白いトナカイを仕留めるため鉄槍を手に動き出す。。。

ラップランドの大自然と大量のトナカイたち。
ピリタ役のミリヤミ・クオスマネンさんのワイルドな魅力。
ピリタ→白いトナカイ→ピリタに戻ったと見せかけて吸血鬼(というほど変身はしませんが)というユニークな魔女。笑
最高でした。

ゴールデングローブ賞: 外国語英語賞
カンヌ国際映画祭: International Prize/Fairy Tale Film
ユッシ賞(フィンランド): 主演女優賞、撮影賞、音楽賞

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