君が世界のはじまりの作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

「君が世界のはじまり」に投稿された感想・評価

何もかも共有できないけど、松本穂香と中田青渚の大ファンなのでみました。
君が世界のはじまり

希望と絶望、爆発の3秒前。

これは間違いなく自分好みの映画であると言えるとともに、過去を振り返りながら思い当たる節のある自分にとって、じわじわと刺さってくる映画でもある。

世界はいつでも「君」自身がはじまりとなる一人ひとりへの応援メッセージとともに、誰かにとっての「君」との出会いとそこからの関係から得られ育まれることが新たな世界のはじまりとなることが、青春におけるあらゆる人間模様が描かれながら示唆される。

その人にとっての「君」との出会いが転換点となり、新たな世界がはじまる。
そんなかけがえのない君とわかり合える瞬間を、僕たちは心のどこかで求めている。
一人だと生きている心地がしない。君とわかり合いたい。
切実な心の声が、静かに漏れ出て徐々にぶつかり合っていく。

スクリーンに映し出される彼ら彼女らを、理解できるかどうかという視点ではなく、感じ取るという視点で観ることから、生きていくことにおける人と人の関係のあり方や複雑性、そして妥協せずに踏み込むからこそたどり着ける関係のよさが実感できる。

その踏み込み切れるかどうかには、その相手にどれだけ心を許すことができるか、この話をこの人にならしてもいいんだ、話したいと思えるかが大事で、そこに至るまでにあらゆる心の壁が立ちはだかる。

それは他の人だとどうしようもできないその人自身が乗り越えなければならない壁。
誰かと関係を育むことや今までとは違う何かをきっかけに、壁を乗り越えるために必要なことを知ったり感じたりすることができる。

踏み込み切れず、素直になれない人間関係。
大きくなるにつれて、良くも悪くも自分をコントロールすることができてしまうから、ここまでお互いが踏み込むという機会をそれだけで損失してしまってる気がする。

そこから新たな世界が始まるかもしれないのに、傷つきたくない自分、そのままでも生きていけると思う自分に負けてしまって、人とぶつかることを避けがちになる。

人間関係において自らの意思を隠して踏み込み切れずに、我慢を強いられ続けている人たちにこそこの映画は刺さるのではないだろうか。

本作に出てくる人たちは、一人だと生きていくことすら危ぶまれるほどの危うさをそれぞれに内包しているように見える。
特に琴子、純、伊尾、業平は、いつ爆発してもおかしくない雰囲気を感じた。

でもこれは本当に今もどこかに生きているような人たちで、‪その存在を周りは見ようとはしない。

‪普通に生きているように見える人たちの中にも、表だけでは見えない怒りや悩みがある。
日常の中でそこにスポットが当たることはほとんどない。

いなくなったらいいのに。気が狂いそう。
他人事でなく誰もが思ったことがあるのではないだろうか。
僕らはたまたま何かに出会えて、踏み止まれてきているだけで。

そんな日常の中で必要なのは、同じ目線で会話することはできるが、見ている世界やタイプそのものが異なっている人との出会い。
それでも生きていたいと思える人との出会いが必要で、それこそがその人を変える強度を持っている。

世界をはじめるのは自分自身でも、そこには「君」の存在が必要だ。
その人を傷つけるのではなく、優しく踏み込み合っていける関係。

叫ばなければ やり切れない思いを
ああ 大切に捨てないで
人にやさしく してもらえないんだね
僕が言ってやる でっかい声で言ってやる
ガンバレって言ってやる
聞こえるかい ガンバレ

やさしさだけじゃ 人は愛せないから
ああ なぐさめてあげられない
期待はずれの 言葉を言う時に
心の中では ガンバレって言っている
聞こえてほしい あなたにも ガンバレ

ブルーハーツの「人にやさしく」が沁み渡ってくるし、刺さってくる。

自分の中にずっと残し続けていたい。
そして今を生きる若い人たちには特に観て感じて欲しい作品。

P.S.
今までの作品と比較しても、最も松本穂香さんが魅力的に映っていた。
まだ若いのに、表情であそこまで感情を表現できるのはやっぱり凄い!
でも本作はやはり中田青渚さんと片山友希さんが超絶魅力的で特によかった。
今回も今後に期待が高まるキャストばかりでした。
natsu

natsuの感想・評価

3.7
サムい場面と痛い場面がおおくて、世間の評判ほど馴染んでくる感じはなかったけれど、そのサムさこそが青春なんだろうな、とおもった。

自分がなんなのか、誰に受け入れられるのか、誰に拒まれるのか、そういうひとつひとつに一喜一憂して、暴れまわって、受け入れてくれない人にほど依存しちゃって、すぐそばでずっと受け入れてくれている人のことは痒くてウザくてたまらなくて。

そういうもんよね、と思った。

あとブルーハーツにすごい頼ってる…て思ったけど、それはそもそも原作がブルーハーツメインだからかな。
ゾンビ

ゾンビの感想・評価

3.6
無性に地元に帰りたくなる映画だった。
冬の田舎の匂いとか
夕日とか
古いデパートとか

好きな人、友達、家族、
もうあんなに感情が動くことってないんだろうか。眩しいなあ
特に前半だが、明らかにマジックが起きてるショットが何箇所かあって見応えあり。だが、エモーショナルの塊のような圧倒的存在の琴子なき後半の台風クラブ展開では明らかな失速。やたら説明的なのも気になり始める。あと映画におけるブルーハーツは諸刃の剣だなとも思った
もっとサスペンス色の濃い作品を期待していたので、肩透かしをくらってしまった。

しかし、今時の思春期の男女の日常や葛藤はとても丁寧に描かれてたと思いました。
ブルーハーツの曲主体の映画でした。
ストーリーは青春そのものって感じのストーリーでした。
関西弁も良かったです。
まだケツの青い若者たちの群像劇。だけど、どこか大人な色気のある映画だった。

爆音で流れるブルーハーツ、退屈を叫ぶ高校生たち、その他諸々の青春が真っ直ぐに体当たりしてくるもんだから(イテテテテテやめてくれ降参降参)なんて気持ちになっちゃったけど、ラストでは爽やかな読後感を残してくれる。そう、青春ってのは痛いもんなんです。赤ちゃんは泣くのがお仕事。思春期の少年少女は、恥をかくのがお仕事。大人の皆さんは普通にお金を稼ぐのが仕事なんで頑張ってください。

ラストの展開も丁寧に誠実に描かれていて素晴らしい。とぼけた顔の縁が、あはははは、なんて笑うばっかりで何の台詞も言わないのが愛おしかった。彼女はそれを言うにはちょっと賢すぎたのだ。

冷凍チャーハンって美味いよな。
大阪を舞台に今を生きる高校生たちのそれぞれの抱える悩み、恋愛を淡々となおかつ激しく描いている。説明不足なところが多く合う合わないが分かれると思う。関西弁のクオリティも高く演技派な役者が多いため満足できると思う。
この作品がもし標準語で作られていたとしたら、僕は絶対途中で見るのをやめていた。関西人独特の歯に衣着せずはっきりと言うところが新鮮で面白かった。会話の中で必ず一回はボケとツッコミを挟むところなんかも関西人独特な文化だなと感じました。
すごく冷たくてそれでいて熱い青春映画です。
KaZui

KaZuiの感想・評価

4.0
💬ふくだももこによる小説、『えん』と『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』を1つにして映画化した作品。大阪を舞台に、主に思春期の6人の高校生が青春の真ん中でもがく様を描いた映画。そこにあるのは、退屈な街とブルーハーツの歌とひとつの事件。それと、一夜のとある出来事。6人の紹介を少し。成績は良いが琴子(演:中田青渚)に付き合ってよく授業をサボる縁(演:松本穂香)、縁(ゆかり)のことを縁(えん)と呼び、口は悪いが人をひきつける魅力を持つ琴子、父親のせいで母親が出ていったからと父親を嫌う純(演:片山友希)、父親が再婚し東京から大阪に越してきて、義母や純とカラダの関係を持つ伊尾(演:金子大地)、学校の人気者で琴子に憧れるサッカー部主将の岡田(演:甲斐翔真)、父親が問題を抱えていることに悩む業平(演:小室ぺい)。冒頭の琴子の登場シーンと縁の「よーい、どん。」のかけ声から既に心をつかまれた。原作小説を読んだことはないが、2つの小説を1つの映画にしていると知って納得した。2つの物語が上手く交錯してより大きな世界を生み出していると思う。胸に秘めた恋心を伝えられなかったり、親のことを疎ましく感じたり、煙草を吸っていることが大人だと思っていたり、閉店後のショッピングモールに忍び込んでバカやったり、校則破って怒られたり、そんな、思春期特有の青くて眩しい高校時代が描かれていた。もちろん、各々がかなり重たい背景を背負ってはいた。しかし、学校にいるうちはみんな「普通」の学生の1人。それは、現実でもそうなんだろう。クラスで1番明るいあの子や頭の良い彼、スポーツが得意な彼女、教室の隅で本を読むあの子。そんな、どこにでもいる彼らひとりひとりが様々な悩みを抱え、もがきながら、成長していく。なかには、道を誤ってしまう人もいる。苦しみに耐えられない人も。そんな気が狂いそうな日々を送る人たちに、「ガンバレ!」って言ってやるんだ。小室ぺいの起用は大正解だろう。終盤の演奏シーンが非常に刺さった。

初鑑賞:2020年8月16日
鑑賞方法:映画館(サツゲキ)
2020年191本目。
8月12本目。

🗣とっても良かった!ブルーハーツの「人にやさしく」をリピートしてます。深夜のショッピングモールに忍び込んで楽器の演奏なんて、そんな青春したかったよ。高校時代に戻っても絶対にやらないけど。とにかく好き。
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