ドライブ・マイ・カーの作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

「ドライブ・マイ・カー」に投稿された感想・評価

原作未読だけど、村上春樹らしい「孤独」「喪失感」「空虚さ」それらをそっと包み込んでくれる温かさを感じられる、とても繊細な映画でした。

本作では日本語、韓国語、英語、手話など色々な言語を通して、家福が作る劇のシーンが流れる。
と同時に家福夫婦で使用する言語は日本語だけなのに、耳を傾けなければならないことに蓋をして意思疎通をしないようにする。

聞こうとしないと相手の思いは分からないし、相手のことを知るためには自分のことを深く深く知る必要がある。
根本的なことなのに、普段あんまり意識して考えない部分を丁寧に描いていて、正直ぞっとする部分もあった。

渡利みさきの言った「そういう人だった、と受け入れることはできませんか」という言葉がすごく好き。
katsu

katsuの感想・評価

4.1
濱口竜介がカンヌで脚本賞を獲得した本作。3時間という長尺を感じさせない重厚感のある作品だった。

原作を読んだことは無いが恐らくこれが村上春樹の口調なんだろうという喋り方の登場人物。あえて感情を削いでそれこそ作り物であることを強調するかのような芝居。そして物語の中に登場する舞台での芝居。多層的なストーリーの中に家福と渡利の二人が大切な人の死という共通点を通して心を通わせていく様の美しさ。映像も音楽もしっとりとしかし温かみのある洗練された作品だった。
みり

みりの感想・評価

4.0
個人的には「寝ても覚めても」の方が好きだけどこれも相当良い
濱口監督は素晴らしいので関係ない話だけど自分はやっぱ村上春樹自体が苦手なんだと映画観て再認識した。
原作未読。鑑賞直後のメモ。

音の創作がめっちゃくちゃ春樹。俳優西島秀俊さんセックスとかオーガズムとかって単語発するのが似合わな過ぎる。岡田将生さんが音の創作を語るとこなんか憑いてた、こっち見て喋る人みんな瞬きしないから怖い。全員平坦に喋るから手話の人が一番感情豊かで印象的だった、てか顔が好き。ラストシークエンスだけ若干疑問。ワーニャおじの手話シーンだけでしっかり着地してたように思うし、急に明るい画になって全然違うタイプのメッセージを伝えようとしてた気がした。
ツキ

ツキの感想・評価

4.2
長いんだけど…でもそれを感じさせない。
見終わった後とか見てる途中は小説を読んでるようなとても心地よい気分でした。
(原作は読んでませんが…)

もう1回見たいとまでは行かないんだけど笑、でも映画館を出る時の見て良かったと久々に感慨深くなった映画。

演者陣のあの感情を全て出し切らない感じ、フラットな感じがすごかった。
かーん

かーんの感想・評価

4.5
村上春樹も好きじゃないし原作も未読だし、予告すら観ていないのに、ロケ地が広島、やたら評判がいいので観ておこうという軽い気持ちで観に行った。
冒頭の事後の語りのシーンで、「あ、間違えたかな。難しい映画が始まってしまった...帰りたい...」と思ったら、どんどん物語に引き込まれあっという間に終わった。それどころかまだ終わらないでくれ、と感じさせるぐらい不思議と居心地の良さがある映画だった。この手の映画あまり観た事ない。覚えがない。初体験だった。
主要な登場人物の大半が割と壮絶に生きているのに、まるで静かに燃える青い炎のように荒ぶる事なく自分の生い立ちを語ったりして、その空気感が疲れなくて良かったのかな。役者の演技が総じていいんだけど、中でも三浦透子さんの演技素晴らしかった。
とにかくこの映画について語れる教養とか知識が僕にはないので難しいんだけど、とても心に残る映画の一つになった。
車も興味ないけど、サンルーフがついてる車に将来乗りたくなった。あと安全運転でドライブ行きたいな。車でちょっとどっか遠くまで行きたくなった。
jonajona

jonajonaの感想・評価

5.0
村上春樹原作の映画化。

現実と地続きの人の感情がとても丁寧に描かれてて、すごい抑制の効いた演出が非常にいい仕事をしてる。終盤胸打たれる。

奥さんは主人公に事後の寝言という形で自分の物語を受け渡し、主人公はマイカーで奥さんの声を聞きながら自分の物語を全て頭に叩き込む。物語ーフィクションーを作るという仕事上でもお互いに共依存しながら生きてきたというのが非常に物語的な関係性でわかりやすい。

序盤の、奥さんの自分の知らない裏側を見た時に主人公が取る行動がかなり意外で、しかし共感できる部分もあり、何故そんなことをするのか?と考えていたら次に提示される情報で二人の関係性に刺す影のようなものがみえてきて既存世界の2人の全体像を確認出来る様になるっていう情報の出し方がとてもうまく勉強になる。
好奇心を刺激しながら共感もさせて、かつ2人が抱える事態が現実と地続きの『喪失』というテーマを持った話なのだと提示する。順序として完璧でのせられた。

見たくない現実に直面した時の行動として意表をついたように見える反応でも真理、みたいなことってあるよね。
そこが人間の深みであって、物語の面白さなわけで。ってことに気付かされた。

あと配役が絶妙でドライバーの女の人、三浦透子さんがすごいいい味出してる。タバコ描写にこだわりがある映画に悪い映画はないという持論があるんだけど、本当に素晴らしいタバコ演出があってグッときた。

主演の西島秀俊が素晴らしいのは言うまでもないけど、脇を固める海外役者さん達も最高で、手話で話す女優さんが素敵だった。ついでにロボットみたいな劇場のコーディネーター(?)のおばさまも最高だった。常に感情なくニコリとして無機質に話す感じ、ホラーに出てきそう。
岡田将生の車中での独白シーンはかなり凄みがあった。彼のキャラクターの二面性のような部分もすごいいい。

誰しもが抱える喪失についての物語。
表と裏についての物語。
多分またもう少し大人になってみるとより深く感動できるのでは?という期待も残してくれるいい映画。

〜小道具の使い方〜
○主人公の車(turbo)
大変愛着のある車で、妻の録音した声で会話しながら仕事の脚本の読み合わせをすることが彼の習慣になっていて、仕事・人生の欠かせない部分に深く根差してる。それゆえ、人をそこに入れるという行為が深い意味を持ってきて、終始理性的で穏和な姿勢を崩さない主人公だが心を許さないものをそこにだけは入れたくない、という抑圧した内面が露出する最後のセーフネットのような役割で映画上に現れる。

ー序盤はドライバーを拒み、仕事上仕方なく受け入れ、やがてドライバーの彼女と心の交流を果たすまでが車を持ちいることで非常に効果的に可視化される。車で移動することによってその目的地には彼女の過去と繋がりがある場所があり、それが彼にとって新しい世界へとつながる。

ー序盤、岡田将生演じる高槻に対して、外面とは裏腹に心を許していないことが『君車あるのか?』という一言でわかる。心を許せない彼との交流は大人の社交場とも言えるバーで行われて、やがて相入れぬまま互いに抱える背景が見えてきた時に彼は高槻を(なかば仕方なくとはいえ)車に招待する。今度は外面では未だに拒絶してるものの内心は既に高槻に心を許してる描写として受け取れるようになってる。
ー主人公は動揺すると運転が下手になる。それも抑えてる内面が如実に車の描写では現れることを示してる。

○タバコ
主人公とドライバーが二人とも喫煙者で、しかし主人公は車中での喫煙を許していない。おそらく奥さんが居たから(一人じゃなかったから)吸わないようにしてたんだろう。その前提が覆る瞬間が非常に示唆的でエモーショナル。二人の心の交流が果たされて、かつ主人公が喪失を受け入れようとしてる過程だとわかる。段階的に一人で吸う、外で二人で吸う、中で二人で吸う、と丁寧にステップアップしていく。

○レコード
奥さん、岡田将生の高槻関連のシーンで流れてる。2人の家、レコードバーで流れている。

○作中物語(チェーホフと奥さんの物語)
双方主人公達が内面に閉じ込めたまま表に出せない不安、衝動、物語の方向性を示唆する。奥さんの物語は完全に彼女の内面とリンクしていて、寝言としてそれを旦那に聞かせて自分は翌朝忘れてるという不確実性が一つ大きな肝。きいてほしいけど、聞いて欲しくない。聞かれたことを忘れていたいという複雑さが彼女のキャラクターのリアリティになってる。

ー今日の一言ー
生き抜きましょう
原作未読

私は村上春樹特有の突然のエロがやはり苦手だと再確認。だけれど作品の言わんとするところは、それを上回る感じで物凄く繊細に伝わる。

俳優陣も皆良い。特に岡田将生のあの演技の引き出しかたは素晴らしいのでは、と、1人勝手に感動してしまった。

観賞中は物凄く感傷的になったが、観賞後は絡まった糸がスッとほどけたような心地。
和製英語っぽいタイトルの意味も効いてくる。

上手く自問自答出来なかった過去の自分も、大切にしよう(と思う)。
3時間あっという間でした。
とにかくよかった。


自分の生活の愛おしさに気付いたかもしれない。
ぽぬ

ぽぬの感想・評価

4.2
3時間、こんなに早いものなのか。
みさきが小説を読みながら待つ姿は小説好きには嬉しいシーン。
そうだよね、小説読むよね。って。
1人で過ごす車内と2人で過ごす車内、言葉はなくても2人で過ごす車内が心地良い事を体感していないのに映像を通して伝わってくる。

綺麗な顔立ちで、卑怯な役は岡田将生は毎度しっくりくるなぁ。悪い意味ではなく。

そして手話が美しく、夫婦2人にほっこり。
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