茜

イノセンツの茜のレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.4
すっごいドキドキした~。
めちゃくちゃホラーだよこれ、ずっと怖かったもん。
心がそわそわして落ち着かなかったので、無駄に何回も机の上にあるコップを手に取ったり置いたりしながら観てました。
あと、怖くて目を伏せたくなる映画っていうのも久しぶりに観た気がします…実際何度か停止ボタン押しちゃったし。

とある団地に引っ越してきた姉(自閉症)と妹。そんな二人と親しくなった少年と少女。
それぞれ複雑な家庭環境や心の闇を抱える子供たち、そんな彼らが大人すらも簡単に殺せてしまう恐ろしい超能力を手に入れたら…。

自分は長尺の映画と静かで淡々とした映画が苦手なんだけど、本作はこの2つにガッツリ当てはまる。
だから正直最初の30分くらいはこのまま見続けるか悩んでたんですけど、40分を過ぎた頃からグイグイ引き込まれて見える世界が一気に変わりました。
この映画の素晴らしいところは良い意味で映画的じゃない地味な演出だと思っていて、超能力物にありがちの過度なCGや派手なサイキック描写は一切ない。
それでも純真無垢な子供達が見せる残酷な恐ろしさがグサグサと突き刺さるし、その鋭利さを引き立てるのは間違いなくこの映画の持つ静かで淡々とした雰囲気だと感じる。
あまりにも非情な動物殺し、柔らかい太ももに突き刺さる小枝、開放骨折で飛び出る骨…私の苦手なタイプの表現ばかり用いて子供故の残酷さを突き付けてくるからずっと喉絞められてるみたいに苦しかったしガチで怖かった。

あと子供達の演技がめちゃくちゃレベル高くてリアル。
子供がこんな表情出来るのかってシーンが山ほど…いや寧ろ子供だからこそ出来るのかもしれない。
自閉症の姉が超能力に目覚めて、段々と「姉」の姿に変わっていくところがかっこいいし逞しくて泣いちゃったよ。
他の3人がバチバチやり合ってるところに怒りに震えて颯爽と現れるシーンの頼もしさったらない。

ラストバトルでも本作の持つ雰囲気は決して崩さず、あくまでも「地味に、静かに、淡々と」殺る。
それでも観る者に強烈なインパクトを残す容赦のない非情さ。
全てのシーンに適度な余白があって、こちらの想像力を思う存分掻き立ててくれる作りも秀逸です。
鑑賞して数時間たってからこのレビュー書いてるんですけど、振り返って思い出すと未だにドキドキしちゃうもんね。
あーーー、ホラーだ…。
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    茜

    ホラー映画とプロレスが好き。 最新作より古いもの。 超大作よりB級。 CGよりもアナログな造形。 Once Upon a Time In Hollywood・羊たちの沈黙・Mad Max: Fu…

    ホラー映画とプロレスが好き。 最新作より古いもの。 超大作よりB級。 CGよりもアナログな造形。 Once Upon a Time In Hollywood・羊たちの沈黙・Mad Max: Fury Roadは不動の三本柱でベストムービーは気分次第。