真田ピロシキさんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

まあだだよ(1993年製作の映画)

3.9

自分は内田百閒先生の愛読者である。電子書籍の手軽さが加わって積み本は減らないのに、百閒先生は既読の著作を飽きずに何度も読んでいる。本作は教員時代の目を開けたまま寝ていた学生の思い出話から始まり、泥棒避>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

5.0

全編をiPhoneで撮影した『タンジェリン』のショーン・ベイカー監督最新作を実家近くの映画館で上映していたので劇場鑑賞が叶った。本作を特徴付けるのはドキュメンタリー的な演出手法。それもなるべく説明を廃>>続きを読む

ザ・ビッグハウス(2018年製作の映画)

3.4

アメフトの名門ミシガン大学の試合を追った想田和弘の観察映画。アメリカ学園もの映画やドラマに置けるアメフト部の特権階級ぶりについて、観察映画として熱狂の渦中に放り込まれることで外国人の身でもかなり納得が>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.0

うーん。どう判断したら良いものか。人種的偏見の風刺とホラーのバランスがある点では風刺が、別の面ではホラーが目立ちすぎてあべこべに感じてしまった。政治・社会的なテーマを娯楽映画に持ち込むなよなんて戯言を>>続きを読む

キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

2.3

ジャンルに冷めると大前提となるお約束を受け入れるのが難しくなる。アメコミヒーロー映画などは最早あんな格好で真面目に話してるのがアホらしくて、コミック原作でもコスチュームヒーローではないこの映画ならまぁ>>続きを読む

ディストピア パンドラの少女(2016年製作の映画)

2.0

借りた時は見る気だったはずなのにタイミングを逃し期限が迫って義務的に鑑賞。TSUTAYAの1週間レンタルはこういう点でダメだ。アマゾンなら1ヶ月あるから期限内に再び興味が湧くこともあるのに。

雑に見
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ゾンビーワールドへようこそ(2015年製作の映画)

2.7

嫌な気分だったので下らないゾンビ映画を見たかった。この場合難しいのは真性のクソゾンビ映画ではダメ。その微妙な要求には応えてくれる。ゾンビ映画の癖に割と綺麗な映像。ゾンビ災害の中で冴えないボーイスカウト>>続きを読む

ルビー・スパークス(2012年製作の映画)

2.7

スランプの小説家が夢に見た女性を小説に書き始めたら現実に現れる。そんな話キモいに決まっている。ルビーは主人公カルヴィンの理想キャラクターで、飼い犬までもが世間的な男らしさの薄いカルヴィンを概ね肯定して>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎と殿様(1977年製作の映画)

3.1

粋な人間は見てる分には楽しい。毎日顔を付き合わせるとなるときっと嫌になる。甥の満男に鯉のぼりを土産に帰ってきたら立派な鯉のぼりがあって、トラと名付けられてた犬にも臍を曲げて再び出て行ってしまう寅さん。>>続きを読む

デス・リベンジ ラストミッション(2014年製作の映画)

2.1

最近は真面目な映画やドラマばかり見てていかんなと思い2本目のビールに相応しそうな映画を見ました。前作に続いてウーヴェ・ボル先生の無双しない異世界ファンタジーです。

ブルガリアで殺し屋をしていた男が依
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東京物語(1953年製作の映画)

5.0

若い時分に小津安二郎の何かを見た時は何て退屈な映画だろうと思った。最近は好みが変わってきたように感じていたので、試しに見てみたら染みる。歳を重ねなければ分からない良さはある。

尾道から息子と娘がいる
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JUNO/ジュノ(2007年製作の映画)

5.0

や、や、ヤッベェ!マジで。かなり好きな女優であるエレン・ペイジの名を世に轟かせた映画でありながら10年見ていなかった。10年前の自分ではあまり分からなかった気がする。

気にはなっているが好きと言うほ
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ロシアン・スナイパー(2015年製作の映画)

3.3

309人のナチを撃ち殺したソ連の女性スナイパー。それにしては地味な映画。厳格な軍人の父の下で育ち、大学に首席で合格するような秀才で、ルーズベルト夫人のお気に入りと話題に事欠かない主人公でありながらどう>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

4.9

家族という名の幻想と呪い。犯罪を通じた疑似家族の存在が明るみになって池脇千鶴演じる刑事が責め立てる。「本当の家族ならそんなことはしないでしょう」と。"本当の"家族とは何だろう。安藤サクラが「産んだだけ>>続きを読む

世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)

4.0

フィクションに対して現実の鏡である汚さを求めるのなら出てくるのは善良な人ばかりのこの映画はヌルい。汚さがあった方が話としても刺激的でどちらかと言うと好きなのだけれどそういうのばかり見てると疲れる。きた>>続きを読む

怪物はささやく(2016年製作の映画)

3.1

比較される『パンズ・ラビリンス』に比べると解釈の幅が狭く感じられる。劇中の怪物を見たままの現実として捉える人はそんなにいないと思う。何かしらの隠喩を見出すべきであるが、これが素直すぎる。怪物の話す物語>>続きを読む

ウエストワールド(1973年製作の映画)

4.0

HBOのドラマ版S1が大変に面白かったので70年代の映画版も鑑賞。言っても時代が時代であるし尺も短いのでどうせB級然としたSF映画だろうと思っていたがなかなかどうして。

細かい人物描写がされていなく
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デッドプール2(2018年製作の映画)

3.9

真面目に不真面目。ウルヴァリンdisから始まる同じFoxのX-MENは元より、ディズニーの方のマーベル(ここが一番おちょくられてる)にDC、その他様々な映画や音楽をネタにする。期待通りの活躍を見せてく>>続きを読む

タンジェリン(2015年製作の映画)

5.0

都合が合わずに『フロリダ・プロジェクト』が見られなくてガッカリした心の埋め合わせにショーン・ベイカー監督の前作を鑑賞。これは面白い。インディーズ映画の醍醐味が詰まっている。

全編をiPhone5sで
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ニード・フォー・スピード(2014年製作の映画)

3.3

途中で挫折した映画に再挑戦シリーズ。前はホームレスを轢き殺しかけた時は笑い話にしておきながら友達が危険運転バカレースで死んだら悲しむジェシーピンクマンの身勝手さに呆れて止めた。その頃はレースゲームはマ>>続きを読む

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(2017年製作の映画)

2.2

悪く言うつもりで借りたんじゃないんです。信じてください。本当に。冒頭は面白そうだったんですよ。サイコスリラーっぽい雰囲気で。そういうの三池監督得意じゃないですか。でも3分で形兆兄貴が出てきた時にマンガ>>続きを読む

Peace(2010年製作の映画)

3.9

想田和弘監督の観察映画3本目。これはちょっと受け止め方が難しい。と言うのも映画を見る前に監督の著書『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』を読み始めていて、この映画のメイキング側面があると知って中断した>>続きを読む

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

3.8

面倒くさいもので完璧すぎると逆につまらない。銃規制反対派からの大口依頼を信念に反するからと断り、スタッフの半分を引き連れて小さな会社で規制キャンペーンを始める敏腕ロビイストのエリザベス。やる事自体に意>>続きを読む

メン・イン・キャット(2016年製作の映画)

3.2

人でなし自公政権と小判鮫維新の暴挙にはらわたが煮えくり返って心の平穏のために平和そうな猫映画を見ました。

始まった時にはショボい背景と不気味で可愛く見えない猫ちゃんに加えてコメディにしても気の抜けた
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ドリーム(2016年製作の映画)

4.9

非の打ち所がなさすぎて言えることがあまりない。

飛び級で学校に入り奨学金を全額支給された上に教師からカンパされる程に優秀なのに黒人だから女性だからという理由で不当に道を塞がれる。差別に対する物語であ
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魔法にかけられて(2007年製作の映画)

4.2

昼に見た映画が指向する価値観の全てが受け付けないレベルでイライラしてたので前に見て気に入ってた映画で心を落ち着けることにした(笑)

シンデレラや眠れる森の美女にその他色々な古典ディズニーアニメが凝縮
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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年製作の映画)

1.0

アイアムグルート。とだけ言って山のような文句を収めようかと思いましたが不誠実なので真面目に書きます。

公開前から言ってたんですけどね、続編を前提にしすぎないでくれ。次から次へと出てきて初対面の挨拶と
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.4

酷い惨すぎる。ブラックコメディ?どこがコメディなんだよ。貧困と無教養が才能と努力による可能性をも無慈悲に打ち砕く。これをコメディとして消費できる人は下流を他人事として受け止められる余裕があるんじゃない>>続きを読む

キング・アーサー(2016年製作の映画)

1.8

予想以上につまらない。流石一作目から全く面白さが分からなかったガイ・リッチー。アーサー王についてはほとんど知りません。エクスカリバーとランスロットやトリスタンなど円卓の騎士の名前を数人知っていた程度。>>続きを読む

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

3.7

『永い言い訳』とは似ているようで違っていてやはり似ている。違いは『永い言い訳』が自分が知らなかった妻を知るのに対してこちらは自分を知るのがメインな点。

分解がテーマになっていて家電に始まり自分から金
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スノーデン(2016年製作の映画)

3.3

序盤のジョセフ・ゴードン・レヴィットのナードぶりが板につきすぎてて心底キモい。しかも頭でっかちの愛国者様。そんなネット右翼度100点素材でも信条が変わるのはリベラリストの恋人との付き合いがあるだろうし>>続きを読む

大統領の陰謀(1976年製作の映画)

3.4

『ペンタゴン・ペーパーズ』を見た人ならそのまま続編感覚で見始められる。しかし硬さは『ペンタゴン・ペーパーズ』よりずっと上。情緒性に走らずストイックなまでに事件を追い求める2人の記者の地道な姿が描かれる>>続きを読む

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

2.0

す、すっげーつまんねープロメテウスも酷いもんで映画館で大イビキかきながら携帯鳴らすバカにフェイスハガー取り付けばいいのにと思ってたことしか覚えていないがそれ以下。2001年やインターステラーのようなハ>>続きを読む

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

3.9

極悪人面でセールストークをかます冒頭のマイケル・キートンを見た時から伝わるヤバイ奴感。シェイクは粉末製の紛い物でも極悪性は純度300%。酷い話が繰り広げられるのだろうと確信する。

先見性と志のある兄
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ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)

2.3

アベンジャーズの中継ぎ投手のような映画と思った。アベンジャーズについて言及することは少ないものの、アベンジャーズに合流して中核をなす出世コースが見え見えでヒーローとして大事なオリジン映画が踏み台のよう>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

3.6

「ゾンビより人間が怖い」最早このテーゼはゾンビ伝道師ロメロの定めし教えに慣習的に従っているだけのように思うことが多々ある。ウォーキングデッドとか。ゾンビは背景じゃないし射撃の的でもない。増してや社会風>>続きを読む