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超人ハルク リターンズ/新 超人ハルク 勇者伝説のtetsuのレビュー・感想・評価

3.5
『超人ハルク』シリーズにハマったため、TSUTAYA DISCUSSにてレンタルして鑑賞。

激しい「怒り」を抱くと緑の怪物"超人ハルク"に変身してしまうバナー博士。
かれこれ2年間、ハルクに変身していない彼は、恋人のマギー・ショー博士と共に幸せな生活を送っていた。
そんなある日、彼の前にかつての教え子・ドナルド・ブレイクが現れる。
ノルウェー遠征中に不思議な体験をしたと語る彼はおもむろに古びれたハンマーを取りだし、ヴァイキングの勇者・ソウを呼び出した。
粗暴な性格のソウは、再びハルクを目覚めさせてしまい……。
※"Thor"の表記は当時の日本語字幕を尊重し、あえて"ソウ"にしています。

TVシリーズ「超人ハルク」終了後に製作されたスペシャル版3本の第1作で、「マイティ・ソー」3作目より前に緑の超人・ハルクと雷神・ソー(ドラマ版では神という設定は省かれている)がコンビを組んだ実写作品。

TVシリーズとは異なり、当時、マーベル傘下だった別の放送局と主演俳優の制作会社が共同で制作し、監督・脚本は、ドラマでもいくつかのエピソード(「チャイナタウンの決闘」「チャイナタウンの再会」など)を手がけたニコラス・コレアさんが担当している。

一方、TVシリーズで製作総指揮ならびに数々の名エピソードを手がけたケネス・ジョンソンさんは関与しておらず、物悲しい雰囲気は薄く、ハルクの登場シーンやアクションが増えていた。

そのため、良くも悪くもライトな印象で、「超人ハルク」シリーズの中では、現在のマーベルファンにも比較的受け入れやすい内容だと思った。

また、本作は実現しなかった幻のドラマ版「雷神ソウ」のパイロット企画でもあり、ソーのファンは、その角度からも楽しめる。

缶ビールをナイフでこじ開け、巨大ビーカーのようなジョッキで嗜むソーなど、現在の映画版にも通ずる場面も面白いが、注目は原作や映画との設定の違い。

『マイティ・ソー』では選ばれし者しか持てなかった"エクスカリバー"的な位置付けだったハンマーがめちゃめちゃ軽いので、リュックに入れて持ち歩いているというのには、さすがに笑ってしまった。

また、原作ではソーが世を忍ぶ仮の姿だった「ドナルド・ブレイク」が、本作では別の人物として登場。ドナルドが「オーディン」と唱えることでソーが召喚できるという、ポケモンのような設定も面白い。

物語が進むにつれて、ドナルドがソウの孤独を理解し、気づけば2人で夜のクラブで大暴れし、共に戦うほどの名コンビになっていく展開は楽しく、ドラマ版も見てみたかったところ。

また、今回のエピソードでは、屈強なソウとひ弱なドナルドのコンビが、ジキルとハイド的なハルクとバナー博士の二面性と、合わせ鏡になっているのも面白かった。

ドラマ版のファンとしては、冒頭の実験シーンで、新たな劇伴にお馴染みのテーマソングのテケテケ音が混ざる演出にもアガった本作。

これまでのドラマ版ではお馴染みのストーリー展開に、力技でソウが割り込んでくる序盤には困惑しつつもw、シリーズで初めて他のマーベルキャラクターとクロスオーバーしたエピソードということもあり、特別感が溢れる楽しい一作だった。
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