【名作を観ようシリーズNo.45】
《むかし、あるところに国があった…》

鬼才エミール・クストリッツァの最高傑作‼︎

約20年前にこの作品と出会い、エミール・クストリッツァ独特の世界観に魅了された…
それから”パパは出張中〟”アリゾナ・ドリーム〟”黒猫・白猫〟”ジプシーのとき〟…と観たけど、やっぱりこの作品が格別だ〜‼︎

第二次世界大戦〜ユーゴ内戦までの旧ユーゴスラビア・ベオグラードを舞台にした、マルコとクロの友情と裏切りを描いたブラック・ファンタジー！

この独創的な世界はヤバい…

いきなり、オープニングのテンションに圧倒される…（汗）

なんだ⁉︎ このパワフルでノリノリのジプシー音楽は⁉︎

奇想天外な地下世界…

マルコとクロのキャラが特濃…（笑）

そして、幻想的なラストシーンが圧巻！

この世界は、理屈じゃ語れない…

まさに、”考えるな！感じろ！〟（笑）

視覚・聴覚を刺激するエミール・クストリッツァの世界。
お酒をちょっと入れて観るのがオススメ…
この世界に病みつきになるかもです…（笑）

強烈な世界観は唯一無二！！
誰にも真似できない個性という名の砲弾をぶっ放つエミール・クストリッツァ監督！！

ずっーと観たかった「アンダーグラウンド」をサブスク界の神U-NEXT様が入荷して下さったよ、ありがたき幸せ。（Filmarksで表示されていないけど、2021.10.26現在 見放題配信中）

同監督としては1985年以来、二度目となるカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。ベオグラードを舞台に、第二次世界大戦からユーゴ内戦まで、ユーゴスラビアの激動の歴史を描く超大作。

むかし、あるところに国があった—— 。

1941年、ナチス侵攻により始まったユーゴスラビアの戦い。マルコとクロという2人の男と女優のナタリア。50年にも渡る激動の歴史の中で、激しく火花を散らす3人の愛憎劇。

失われた祖国ユーゴスラビアを憂いた監督が、悲喜こもごもの感情を全てこの作品にぶち撒けたのか。

冒頭の動物園の空襲シーンからして圧巻。

「黒猫・白猫」でウン◯まみれの男がアヒルで身体を拭いていた様に、こちらもネコで靴を拭いたりする。相変わらず動物達と人間達が犇（ひし）めき合う画の圧力が強い。

ナチスによる共産党員・パルチザン狩りが進む中、マルコはクロを含む多くの市民を地下室（アンダーグラウンド）に退避させ、武器の密造を行わせる。

第二次世界大戦は既に終結したのに、「戦争はまだ終わっていない」とクロに嘘を教え、地上では大統領の側近として暮らすマルコとナタリア。しかも、地下室の時計を少しずつ遅らせて、実際の年代と地下住人の時間感覚を年単位で狂わせるという悪行よ。

なんつーストーリーだ！！

地下室で繰り広げられる、飲めや歌えやの乱痴気騒ぎがまた凄まじい。ひたすら騒がしく音楽を奏でるブラスバンドとぐるぐる回るカメラワーク。

これぞ狂気の極み！！

寓話的な描写に定評のある監督だが、実際の記録映像に主人公達を紛れ込ませるという合成カットが多用され、リアリティとファンタジーの融合が素晴らしい。

それぞれのキャラクター達が迎える壮絶な最期。

火だるまの車椅子が円を描いて回る、死者との再会、動き出す半島。目を奪われるシーンが目白押し。

（半島が動き出したシーン、どうやって撮ったのか本気で知りたい）

この物語に終わりはない。
騒がしい宴はいつまでも続く—— 。

ひたすら激しく可笑しく悲しく、自国の歴史を独自の描き方で紡ぎ出した監督のパワーにひたすら屈服する171分。完全版の314分を観たら魂が抜けそう。

• #2021akirunaway

“昔、あるところに国があった。”

第二次世界大戦からユーゴ内戦までの歴史的史実を背景に、戦争が終わっても嘘をついて地下世界で武器をつくらせ続けた男と、騙されつづけた男の友情をユーモアたっぷりに描く世紀のブラックコメディ。世界観が半端ない。うん、半端ない。

“スワロウテイル”を観たときの様な現実と虚構の境目があり、“ムーランルージュ”を見たときのような悲しい世界の中でのあり得ないほどのエネルギーとカラフルさ。音楽鳴り響く地下世界の奇妙な明るさは映画だからこそ表現できる世界であった。三章仕立てで、あれ、あの人死んでなかったっけって事が何度もあるのだけど、これは御伽噺なので、で全て片付けてしまうあり得ないほどの説得力。戦争をこれほどに皮肉って笑える作品って…。

ブラスバンドがクルクル回るウエディングケーキ。空飛ぶ花嫁。お酒が無くならない夜。この物語に終わりはない。

• #戦争映画録
• #発掘良品が優秀