忍者と悪女の作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

「忍者と悪女」に投稿された感想・評価

イシ

イシの感想・評価

3.5
コーマン先生のエドガーアランポー原作もんシリーズ。ビデオのタイトルはそのまま「大鴉」で、この映画と詩とは全然関係ないけどまあ窓辺に大きいカラスおるからいいか〜みたいなライトなノリで進む可愛い映画。コーマン先生のポー原作もののなかで何やら一線を画す心温まりぐあいがとりあえず大好き。
モンスター的な人たちが全部可愛くて、城の中で光線みたいなの出したり、椅子に座って浮いたり沈んだりしてとても楽しい。

山田宏一さんが本の中でベストの一本に挙げててくださってほんとによかった件。
一体何が山田宏一さんの胸に刺さったのかはさっぱりわからんけどでも有難し。
16世紀のイギリス、妻を亡くし失意中の魔術師(ヴィンセント・プライス)が、人語を喋る1羽の烏との出会いを契機にして、事の真相を確かめるための旅に出発する。ポーの詩「大鴉」を映画化したものだが、本編の大筋はまったくのオリジナル。ファンタジーに登場する魔法使いのイメージが日本に定着していない頃の作品のため、邦題には忍者が代替されている。

全体的な作風は、極めて単純明快なホラー・コメディ。怪奇映画界のオールスターが総登場して、ほのぼのムードのギャグが連発する。とはいっても、オフザケ感というのは一切なく、それぞれの演者がキャラクターに合った役柄を好演しており、本領発揮のための舞台がきちんと用意されている。

大きな見どころは、魔術師同士の丁々発止のやり取りと、手作り感満点の特撮で展開される魔術対決のシーン。見た目のチープさゆえに「グーで殴ったほうが早くない?」という突っ込みが止まらなくなるが、映画における「念力描写」という点においては、その礎を築いていると言っても過言ではない。(現にスターウォーズのフォースバトルと似ている)

「禍々しさと滑稽さの調和」がとても気持ちいい。ロジャー・コーマンが自分の立ち居地を理解しているからこそ完成した、珍品中の珍品。