ソロシンガーの作品情報・感想・評価

「ソロシンガー」に投稿された感想・評価

yayuyo

yayuyoの感想・評価

3.5
DEFA70周年 知られざる東ドイツ映画 特集にて。

コンラート・ヴォルフ最後の劇映画で、1980年ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞など数々の国際的評価を得た作品。

各地を巡業しながら生計を立てている歌手、サニー。
最初は男にだらしない奔放な女性だと思ったが、恋に破れバンド仲間とも上手くいかず、人間関係に疲れてしまってもなお逞しく生き抜くサニーに、気付けば感情移入していた。

家の中の壁紙や家具がレトロで素敵!
サニーの住むアパートや
東ドイツの街並み、
巡業先の舞台セットや
サニーが唄う曲など、
どれもが哀愁漂う作りで、かつ当時の東ドイツの様子が垣間見れて興味深い。
東ドイツのDEFAが製作した作品を観るのは『嘘つきヤコブ』に続いて2作目。
フュージョン調の音楽が時代を感じさせるものの、こんなに良い映画が埋もれているのはもったいない。
主人公たちの日常をこんなにも面白く切り取れるのか。今まで何本ものアート系ゴミ映画を観てきただけに、この作品の素晴らしさはかなり響いた。
コンラート・ヴォルフの他の作品を観たい。


以下 他作品レビュー

『僕は19歳だった』
4.5/5.0
良作『ソロシンガー』と同じ脚本家を迎えた(時系列は逆)本作。悪い作品に仕上がるはずがない。
誇張ともリリシズムともとれる斬新な映像感覚が冴え渡る。とりわけ拡声器でのアナウンスの場面の使い方はあざとく思えるほど特徴的。


『引き裂かれた空』
3.8/5.0
文豪クリスタ・ヴォルフの小説が原作。彼女が脚本も手掛けているらしいが、個人的にはそれが裏目に出てしまったように感じる。クリスタ・ヴォルフと言えば東ドイツ文学界で最も著名な作家であることからも、少し期待した部分があったのかもしれない。
本作は政治的に色々と危うい箇所が多かったこと、文豪の息がかかりすぎたことなどで、映画作家としてのコンラート・ヴォルフは萎縮してしまったと考えられる。