ボンベイの作品情報・感想・評価

「ボンベイ」に投稿された感想・評価

一人旅

一人旅の感想・評価

5.0
マニ・ラトナム監督作。

ボンベイ(現ムンバイ)を舞台に、ジャーナリストを目指すヒンドゥー教徒・セーカルとムスリムの娘・シャイラーの恋を描いたドラマ。

インドはイギリスからの独立時、イスラム教のパキスタンと分離独立という不幸なかたちを取ったが、ヒンドゥー教徒が大多数を占める現在のインド社会の中にも、イスラム教徒が10%程度存在する。インドは様々な宗教が混在する不思議な国という印象で、仏教の開祖であるブッダが生まれたのもインドだし、ムガル帝国支配下の時代にはイスラム教が浸透し、英国インドの時代にキリスト教会が建設された。にも関わらず、聖書やコーランのような特定の経典を持たない土着的宗教であるヒンドゥー教が現在までインド国民の間で広く信仰されている。

インドにおける宗教の歴史が現代のインド社会にも時に暗い影を落としている。特に、2008年に発生したムンバイ同時多発テロで、イスラム過激派が駅やホテルを襲撃し170人以上の死者を出したことは記憶に新しい。

本作は、1992年に発生したヒンドゥー過激派によるイスラムモスク破壊事件を背景にした恋愛・家族ドラマで、インド国内におけるヒンドゥーとイスラムの宗教対立がセーカルとシャイラーの恋の足枷となっていく。ヒンドゥーとイスラムという宗教の垣根を越えて愛し合うことになる二人。だが、両家の家族は息子(娘)の結婚相手に対して露骨に嫌悪感を示す。「異なる血は交われない」と毅然とした態度で話す義父に対し、自らの腕とシャイラーの腕を切ったセーカルが、流れた血と血を交わらせるというなかなか過激な演出が印象的だ。
そして、結婚に断固反対する両親の元を離れ、ボンベイに移り夫婦となったセーカルとシャイラーを待ち受けるのも、やはり異教徒同士の結婚に対する周囲の人々の偏見の眼差しだ。二人が住むアパートの大家が、シャイラーの名前を聞いた途端に表情を一変させ「あの娘はムスリムよ...」と小声でつぶやく姿が印象に残る。

宗教で人を区別するのではなく、同じ“インド人”として一体化しようと必死に訴えるセーカルの姿が感動的だ。ヒンドゥー教もイスラム教も元々は平和的宗教であり、人々が教えを信仰するのも自分の人生をより豊かで幸せなものにしたいという願いが根底にあるから。にも関わらず、宗教が原因となって人々が憎しみ合い、殺し合ってしまうのはまさに本末転倒で、“何のための宗教なのか?”という疑問が湧いてくる。だったら争いの原因となる宗教を捨ててしまえばいい...なんて日本人的発想で簡単に解決できないのも宗教問題の難しさだ。

宗教対立を題材にした社会派の作品だが、コミカルな演出が重々しい物語に一定のゆとりを与えている。特に、新婚生活をわんぱくキッズに掻き乱されたり、セーカルとシャイラーの寝床の間に入って寝る数人の子どもたちが、夫婦の愛の会話の伝令役になるシーンが楽しい。また、インド映画なのでお約束のミュージカルシークエンスもしっかり導入されている。何の前触れもなく突然場面が切り替わり、大勢の男女が一斉に踊り出すシーンではわけの分からない迫力に圧倒される。
くりふ

くりふの感想・評価

3.5
【愛と無慈悲】

以前からみたかったが、少し前にひょいとツタヤ店頭に現れたのでレンタル。

1995年制作…もう20年以上前ですか。旧さは感じますが、生々しさは消えず、描かれるヒンズー対イスラムの宗教対立も…リアルタイムで続行中…。

本作で扱う宗派暴動に対する監督の立ち位置がよくわからなかった。あまり俯瞰できていないように思った。

発端となった「バーブリー・マスジド破壊事件」は1992年に起きており、3年後ではまだ、これが限界だったのかな?また、これでもソフトな描き方なのでしょうね。制作現場への反対行為もあったようだし。

良くも悪くも、愛の映画でした。ヒンズーもイスラムも、自分らなりに神の愛は説いているのでしょう。が、愛は感情に過ぎません。私の神、への愛の裏切りは、憎しみにコロリと裏返る。そこに慈悲がなければ。

暴動が始まってから凄いシーンがあった。子供にガソリンぶっかけて、ヒンズーかイスラムかを問い詰める。異教徒だったら火をつけてしまう。コレ、本当にあったのでしょうね。

そういうことを平気でできてしまう。そんな人間を作り上げてしまう教えなのだということでしょう。実に無慈悲、無残なことです。

結局、物語的な解決はなかった。最後で監督の願いを表したのだろうことはわかりますが、希望ではなく虚しさをおぼえる。手をつないだところで何も変わらない。

昔々、谷村新司率いるアリスがはーんどいんはーんど!とか言ってコンサートで、皆さん手をつなぎましょう、とやっていたのを思い出した。アレと変わらないなあ。アリスは好きな楽曲多かったが、アレ知って子供ながらに一気に冷めたものだった。

主役カップルの愛はかなり即席でしたが(笑)、男が女に惹かれる一瞬は艶がありよかった。

雨季の嵐に禁忌の内を晒される女。ムスリムにとっては裸を見られるのと同義なのか?その仕草をほけーと見惚れる男。ここまでは納得だがその後はハテナ(笑)。嵐と共に盛り上がる愛は、その後の暴動の伏線ではありましたね。

本作で一番よかった愛の顕れは、とーちゃん愛。異教徒との結婚には断固反対していた双方の父が、暴動ともなればそう来るかと。ココは泣いて、笑った。しかし愛に泣けるピークはそこまでだった。

ヒロインのマニーシャー・コイララさんの親しみ易き端正美にずーっと見惚れました。はじめての逢引き、嵐の中を走るとある部位が、豊かなるそこが…揺れる、揺れる!一気に惹き込まれました(笑)。最近のインド映画だと抑えてしまうでしょうねきっと。

楽曲で面白かったのは、あれ?ブルガリアンヴォイス?という響きが聞こえるところ。確か、本作の暫く前に流行ったんじゃないか。

あと、やっぱりコレ、マイコーを意識しているよな、というダンスに懐かしさをおぼえました。

<2017.3.8記>
木暮修

木暮修の感想・評価

3.8
歌が唐突に始まると時間とか距離が関係ないかのように人が立っていたり、歌ったり踊ったりしている。
リアリズムとは別の法則があるのでは無いかと想像してしまう。例えば浮世絵みたいに風景や仕草、髪型、化粧、着る物、道具、動物、建物それぞれに何か象徴しているものがあるのも知れない。それを勉強する気力は今はないけれど。

時々リアリズムのこだわり(本当ぽいかどうか)が鬱陶しく感じる時があります。

そういう時、昔は香港映画だったり、インド映画だったりを観てた。

この映画、途中でシリアスな内容になり、
おじいちゃん二人が孫を取り合うのはコミカルだが、その後まためちゃシリアスになる。

前半のコテコテインド映画から
後半はガラリと変わってシリアスな宗教の対立、暴動(裏には政治家が絡んでいらしい)に主人公家族が巻き込まれる。

インドで起こった実際の暴動が映画の元になっているらしい。

シリアスだけれどリアリズムとはちょいと違う気がする怒涛の物語と歌が見応えあった。
Baad

Baadの感想・評価

3.8
恋愛描写には少し難があるが、公開当時傑作といわれた映画。

今見てみると、前半の恋愛映画の部分は昔のハリウッド映画の焼き直しのようでもあり、結婚前の男女交際の困難なお国柄では仕方がない部分もあるとはいえ、主人公の男性の求愛の仕方は、ともすればストーカーめいて見えてしまったりもするので、マニ・ラトナムは社会派映画監督という評価を返上した方が良いのではないのかとさえ思ってしまうのだが、後半のボンベイの暴動と孫の誕生後の双方の両親の態度の変化、主人公の取材から浮き彫りにされる、仕掛けられた宗派対立が暴動に発展していく仕組みなどの描写は、娯楽映画という枠の中では見事で、今見ても見応えがある。

今回は日本で上映されたタミル語版を見たが、インドのミュージカル映画としては短めで比較的見やすかった。

見直してみて、初めて気になったのは、文化的に対立しているとは言っても、建築として文化遺産的な価値もあり、観光資源としても価値のありそうな寺院が政治的なプロパガンダのために壊されてしまうことが、特に問題にされないような描き方をされているのはなぜだろうということだったが、そういう細部が気になってしまうと結構引っかかる部分が多い映画でもあるように思う。

マニーシャ・コイララさんは、まだこの頃はほっそりとしていて、素晴らしくおきれいでした。

(2011/1/23記)
2021年 367本目
綺麗なジャケに惹かれて鑑賞
冒頭からインド映画らしい
歌とダンス🕺🏼🕺
色とりどりの民族衣装が綺麗✨

インドの中でも宗派の違う2人が
恋に落ち、駆け落ちするお話
シヴァ神、ラーマ神とか
アラーとかモスクとか🕌……
作中にうちの神はこっちだぞ❗️
みたいなセリフがあって
どれがどの宗教なのかチンプンカンプンな私…
思わず調べちゃいました_φ(・_・
またひとつお勉強になりました

そしてインド映画あるあるの
女優さんめちゃくちゃ綺麗👱🏻‍♀️✨
双子ちゃんも可愛かったな

恋愛に宗教対立を絡ませた本作
前半は恋愛、後半は対立メインで
違う作品を2本観たような感覚
GAMAKO

GAMAKOの感想・評価

3.9
特徴__________________

ヒンドゥーとムスリムの恋愛&抗争の映画
____________________

私の知るコリウッドの雰囲気とは少し違った
良い作品でした!
なんだかしっとりして。

マニーシャ・コイララさんはボリウッド映画でよくお見かけしますが
若かりし頃、美っっっ人ー。(絶句)
これは一目惚れしますわ。
ただ、セーカルのあのアプローチで何で両思いになっちゃうのか…ふっしぎー😂
で、信仰宗教の違いで~って所までは
「あぁー。はいはいコレ系ね」って感じでしたが、
どちらかというと過激派による抗争の惨劇を描いた歴史的な作品だということを後半に理解しました。
どおりで恋愛パートのテンポが良すぎるわけです。

ただその後半パートがもう辛い…辛すぎる。
人間とは思えない所業。何がアッラーだ。何がシヴァだ。
しかも1番辛いのは未だにこの問題が解決していない事。
こうなりゃ何が正義かもわからないし、
そこちゃんと皆で考えようー。


ダンスシーンやけに良いなと思ったら
やっぱり曲はA.Rラフマーンさんでした。流石👏
所沢

所沢の感想・評価

-
タイトルだけ見てこれまたてっきりヒンディー語の映画かと思ってたら画面に並ぶタミル語にビックリ。
そして冒頭クレジットでラフマーン先生の名前が出てさらにビックリ。
そんなワケでめちゃくちゃ音楽に先入観持って観ちゃったせいかやっぱりラフマーン先生の音楽は素晴らしい。

ラブストーリーかなって思ってたらとんでもなく深刻で残酷な展開になっていったからまたビックリ。
おじいちゃんと孫の対面とか、お互いの両親が和解するシーンとか、泣いちゃったよ。
泣くような映画とも思わなかったからまたビックリ。

観てよかったです。
それにしてもすっごく古い映像に感じたけど90年代の作品なの?!
長尺だけど長さは感じなかった。インド映画らしく突然踊りだしたりするのだが、この映画の場合、音楽の美しさに尽きる。カーストと宗教が複雑に入り混じった国。実際にあった事件に絡ませて、ラストに昇華させた。相聞歌のように岬で待ち合わせする恋人たちが歌うシーンが特に美しい。サントラは今でも時々聞く。

ヒジュラという存在、インドだけにいるはずがない両性具有、先進国ではある程度の年頃になったらどちらの性に進むようホルモン調整をすると見かけた覚えがあるのだが、、、。
Akiramovie

Akiramovieの感想・評価

3.8
シリアスなテーマとしての作品だと思うけど、歌と踊り の娯楽性とか コミカルなシーンとか ごちゃ混ぜで 落ち着かない。
(恋愛ドラマ 家族愛ドラマ 社会問題テーマ をミックスしました。)

宗教観が 希薄な日本人からすると、ヒンズー教とイスラム教の対立が同居するインド って、大変だなぁ と 只々 嘆く!
異宗教の子供を 焼き殺す 人間観が 恐ろしい!

日本人の 節操のない 無宗教社会や 狂信的な宗教集団 を描いた 作品を インドで上映したら どんな 反応を示すんだろう?

奥さん役の女優 インド映画にない 新鮮なタイブの美人 でした。
この映画が作られたのが1995年。
いれ以前もそれ以後もこの「ヒンドゥーとムスリム」を描いた映画は沢山作られている。
沢山作られているという事は未だにこの異宗教の問題が世の中に溢れているという事。
この題材の映画が描かれる事が無くなり「へーこんなつまらない事で争ってる時代があったんだ」と笑える世の中になってほしい。
人それぞれ違うから人間は面白いのに。。。

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