父を探してのネタバレレビュー・内容・結末

父を探して2013年製作の映画)

O Menino e o Mundo/The Boy and the World

上映日:2016年03月19日

製作国:

上映時間:80分

3.9

「父を探して」に投稿されたネタバレ・内容・結末

絵本のようなかわいい絵☆
色彩や音楽がハマる☆
ブラジルの文化をあまり知らないからか、絵や音楽のスタイルがものすごく新鮮に感じた。

少年の旅の途中に出会う、紡績工場で働く青年やおじいさんは、お父さんのと同じ楽器や両親の写真を持っていたことから、つまり少年自身ということか。

父の面影を探して少年が新しいものに触れ成長していくのを、あたたかいタッチで思い出として描きつつ、近代化していく発展途上国の、流れ作業の機械化による労働者の失業問題、森林伐採、大気汚染、河川汚染、治安の悪さ、デモ行進、内部紛争などの社会問題も提示している。
気にはなっていたが後回しにしていた作品。
もっと早く観れば良かった…!

ブラジルのアニメ映画。
全編手書き・セリフが無いという事もあって、素敵な動く絵本を見ている気分でした。

ものの数分で、動き・音・世界観などに心を鷲掴みにされました。
「素敵だ!癒される…。」などと思っているのも束の間、物語は急速に進んで行く…。

この作品は凄いです。
ここまで感情を揺さぶられたのも久しぶり。
絵本が好きな方は是非!
ただ、若干悲しいお話ですのでご注意を。




ーーーここから少しネタバレーーー




真相が明らかになった瞬間「そういう事だったのか!」という爽快感の後に、「そういう事だったのか…」という悲壮感がやってきます。
最後は切なすぎて泣いてしまいました。
眠い...。

◆『父を探して』 - 言葉は不要。鮮やかな世界が語る、切なくも前向きな人生の賛歌
http://asunete.hatenablog.com/entry/2016/03/26/023006
すごい映画だった。頭の中の世界観が脳内を飛び出してワーって広がっていく感じがすごく好き。どの部分を重要視するかによって評価に高低差が出るようにも思うけど、そもそも出稼ぎというワードがあらすじにある時点でまあ普通のアニメじゃない。でも子供向けじゃないかと言えば決してそうじゃない。幼児ならこの無限ループ的幾何学イラストやそれにマッチングしたラテン音楽でなんかしら楽しめると思うし、小学校の中学年くらいにもなればブラジルの社会問題をなんとなく読み取って、もしくはラストで明かされる主人公の少年の秘密を謎解くことができ、ただの綿花フワフワな映画ではないのだと好奇心を掻き立てる映画になり得てると思う。
大人であれば出稼ぎというワードから想像できるテーマのシリアスさと、ジャケから読み取れる映像美の世界観の対比みたいなのが見せどこなのかと予想してしまうし、どのへん切り取ってもわたしとしてはすごい映画だなぁと感じる。
しかしそんな一般論などどうでも良くて、この映画の絵の情報量というか絵だけで語りかけてくる量とパワーがすごくて、基幹はしっかりとブラジルの社会問題がベースにあるのに、ポジティブイメージのあるイラストとラテン音楽を使ってその陰陽戦争みたいなのに勝利させてる手法がすごいというか。ありがちかどうかはよう知らんが、消費社会や資本主義の象徴に対しては本物の人間の写真を少し悪意あるバランスでコラージュしたものを使って人物を描き分けてて、カレルゼマンを思い出した。幾何学模様って無機質なイメージだけどそこに思想を混ぜたらものすごい力が働くんだなって。
少年の着地点も、私の解釈では老人になった彼の回顧から始まったのではなく、この社会問題を解決しない限り少年はあの青年のような人生を歩み、今のこの境地の老人に至りますよという警告だと感じた。ただそうなってしまったとしても、老人が木の向こうに見ている景色は本物で、彼の記憶の中にある少年時代のユートピアはどうやっても誰にも侵せないですよ、と。そう言ってるような気がした。
映像と音がすごく気持ち良い……。目と耳と心に直接来る感じ、良いなあ、すきだなあ。
雰囲気ゲー好きな人に見せたい…。

生活環境や政治を交えつつブラジルの歴史を辿る郷愁溢れるドラマ…とか言うと完全にシリアスで重たくなるのに、これを明るい音と淡い色彩で見せる。とても不思議な雰囲気の映画だった。音楽と少年の息遣いが耳に残る。
無限に広がる万華鏡のように、
模様がどんどん広がっていくオープニングに吸い込まれそうになる。
原題?は『少年と世界』
世界は驚きに満ちている。

セリフはなく、絵と音楽だけで綴られるこの物語は、まるで絵本の世界がそのまま動き出したみたいで、どこまでも続くカラフルな色彩に目を奪われる。
乗り物は動物のように擬人化?され、
奏でる音楽はシャボンのように形になって舞い上がる。
でも旅する少年が目にするものは、
格差社会、失業問題、森林伐採、環境汚染、独裁政権…
クレヨン、色鉛筆、油絵具、コラージュなんかで描かれた可愛らしい画で社会を風刺する。

あー、そーゆーことかぁ。。
少年は大人になり、社会に出て、働いて、
年老いて、故郷に戻り、過去を懐かしむ。
人間の営みは否応なしに繰り返されていく。
人々が希望を持ち続ければ、滅びたものも必ずまた再生する。
これは人生賛歌なんだろうけど、
所詮人は一人なんだなぁーと、
陽気な音楽とは裏腹になぜか寂しい気持ちが残る。
哀しかった。幸福な原初の記憶にとらわれた人間は、そこへ還っていくことでしか幸福になれないのか。仮に父がいなくなった後の自分の人生を彼が幸福にできたとしたら、あの音楽、虹色の色彩にあったのだろうけど、それも黒い鳥に破壊されてしまった。
心を打つのは打つんだけど、視野が狭いというか、悲観的に、「閉じてしまっている」気はする。
主人公が旅の中で出会った「他者」が、結局ぜんぶ自分自身だったのが問題だったんじゃないだろうか。
本当の「他者」と関わり、家庭を持ったりできたなら、自分の幸福を手に入れられたんじゃないか。
まあ、そうしたくてもできなかったんだろうけど。

一定のパターンが繰り返されるところが多くて、それは資本主義社会のシステムを表している。人間もそれを動かす歯車として描かれている。
システムに抑圧されている個人が息を吹き返すのが、虹色の音楽を奏でている時なのだろう。

たぶん、ブラジルにおいては過酷な労働や国家による弾圧が本物の苦しみなのだろうけど、現代日本に暮らす身としては、数世代前のテーマを見ているように感じた。
システムと個人の軋轢については、昔から村上春樹が書いているし。
自然破壊を批判するようなカットも、創り手は本当に問題だと思ってるんだろうけど、安直だなと。

ただ、特に後半、言語化できない良いところがあって、それはアニメーションならではの良さなので、良かった。
ブラジルのアニメーション
数々の賞も受賞されてるとのことで、気になってたのをやっと見に行けた!

音と鮮やかな色彩、不思議な世界の調和が素晴らしかったな
当たり前なんだけど、日本とはまったく違った感性で描かれてることがビシバシ伝わってきた





※ネタバレ感想

男の子の人生を最初から辿ってると思っていたら、最後から遡ってたの本当びっくりした!!!

帽子、写真、鮮やかな布……最後にパタパタと繋がってうわーっとなった
そ、そこまでちょっと退屈してたのは否定できないけど…!

でもね、子供が自転車でお父さんを追いかけるシーンなんか一生懸命で辛くて……
息を切らしながら最後坂を登って駅まで着いたのに降りてきた人は誰が誰だかわからない……お父さんだ!って思ったらクローンみたいにわいて出てくるシーン怖くなかったですか…?
その恐怖と虚無感ときたら…あのときは男の子の心情がはっきり理解できたような気がした


絵的には、どこを切り取っても綺麗で完成されてた
単純に色使いという点でもデザイン性が高くて、ストーリー絡めて動かしながらこれを保ってるのすごいな~
戦争の兵器が、ゾウなどの動物デザインに仕上げてるのなんてお見事だね


お話は、馴染みにくかったかも
いくら主人公の匿名性高めても、これを自分に重ねることは難しかったしやっぱり話にある程度の緩急はほしいなって思った
現実は平凡でも、これはお話だから

まあそういうのは他の作品がやってくれてるし、この映画に求めることではないか


パンフレットがポストカードの形になってて、かわいいのでおすすめ!
鮮やかな色彩とリズムの良い音楽に引き込まれた。反面、始終どこか切ない気持ちになる不思議な映画。
見終わった直後は、この映画をどう捉えて良いか迷った。社会風刺や教訓がメイン?それとも少年の内面がメイン?…正直、未だに意味がよくわからない表現もある。
またラストもハッピーなのかバッドなのかわからない。どっちにも捉えられるような気がしてくる。
でもだんだんと、あまり考えずに感じるだけで良い映画なのかもしれない、とも思い始めた。漠然と、人生の心象風景を表した映画なのかも、とも思ったり。起承転結があってドキドキハラハラする映画ではない。でも曖昧だからこその面白さがあったし、じんわりと心に残った。
あと関係ないけど、なぜかキャラの顔がニャッキっぽいのは気になった。同時に親近感も湧いたけど
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