いろはにほへとの作品情報・感想・評価

いろはにほへと1960年製作の映画)

製作国:

上映時間:109分

3.8

「いろはにほへと」に投稿された感想・評価

おそらく中村登作品で一番面白いと思ったが、まったく中村色があるわけではないので、脚本家を見てみれば橋本忍と国弘威夫という布陣。どうも脚本がいい感じな作品。調べてみるともともとは、テレビドラマ作品。主役の天野理事がテレビは芦田伸介、映画は、佐田啓二に変わっただけで他の配役は、ほとんど同じ。伊藤雄之助と宮口精二の対決は見物。そして今も昔もこの種の話はネタに困らないなと感じる社会派映画。
mingo

mingoの感想・評価

4.0
ずーーーっと観れてなかった本作だがやっとこさ観れた。くそほどおもろすぎる。中村登×橋本忍という意外な組み合わせのくせに黛敏郎の音楽が映画全体の不穏な空気感を包み込み、当時まだ銀行への資格昇格が成されていなかった信託投資を巡る起業家と政治家の駆け引きが実録風に描かれたマネーゲーム。伊藤雄之助特集で絶対かかるのも納得、いつもの顔芸にこれでもかとはいりこんだ演技はいつも以上に小藪。佐田啓二がラストに歩を背負う役多すぎないかまぁリチャードコンテしかり悪役顔の宿命か
柳永二郎の悪徳政治家が、違法性のある政治献金疑惑を「すぐ返したんだから問題ないだろ」で見事に今の政治家と同じことをやってたので深いため息が出た😩
雄之助のあの間。黛の音楽。教訓なんかあったところで誰も引き返せないおもろいテレビドラマも観たい。
新文芸坐にて。傑作。


保全経済会事件(1953)をモデルにしたサスペンス映画。1960年公開。


貧困層を救うため投資経済会を立ち上げる天野(佐田啓二)と投資経済会を投資詐欺ではないかと疑い内偵をかける刑事松本(伊藤雄之助)の物語。



二枚目で貧困層を救うという目的がありながら次第に金の魔力に堕ちていく佐田啓二。冴えなくてケチで酔っぱらいの権威主義者でありながら刑事であり、貧乏人の最後の誇りだけは失わない伊藤雄之助。この2人の対比が滅茶苦茶面白い。



普通に観ていくと佐田啓二の方が善人にみえていくんですよ。伊藤雄之助は悪役の多い人なので善人にはとても見えない。女性に対するセクハラもひどく、人から好かれる性格でもない。それが最後の最後で逆転する構成。ああ、伊藤雄之助の怒りはこれだったのかと分かる展開は見事。橋本忍、国弘威雄共同脚本!



ただ、最後の佐田啓二を負けさせる伊藤雄之助の恫喝は完全に代用監獄を悪用したロジック※。何が怖いかってこのテクニック、今でもやってるんですよ。日本の警察。



※被害者の件数分だけ留置期間を延ばし外に出させない方法。裁判をしてない容疑者に実質上の刑罰を与えてしまう。



全てが終わった後、伊藤雄之助の家庭に戻らない傷がついてることが分かる。刑事と貧乏人の誇りのためにここまでやる必要があったのか。苦いエピローグ。



んで、捕まった佐田啓二ではなく逃げ切った真の悪がいる場所を写すラストカット!おお、社会派サスペンス。最高。


問題は投資詐欺事件なので経済用語が多く基礎知識のない人には理解が難しいこと。古い映画だけど情報量の多さが異常。内容の過密さの割にテンポが悪いのも気になった。



とはいえ、伊藤雄之助がこんなにかっこいい主役やってるのは多分本作だけ。必見。


戦後の投資詐欺事件で有名なのは光クラブ事件があり、それをモデルにした『白昼の死角』って映画もあるんですが格が違う。『いろはにほへと』の方が圧倒的に面白い。
 伊藤雄之助の顔面映画。佐田啓二や宮口精二が何千万という円を動かしている中、うっかり買っちゃったテレビを返品したり、妹からの借金をはねのけたり、連れ込み宿からこそこそ脱出したりする伊藤雄之助のしょうもなさが素晴らしい。ただ、同じく佐田啓二が悪役を演じた『最後の切札』に比べると、膚に迫る感覚がないという感じがする。佐田啓二がラーメン食べるシーンには哀感がある。
一

一の感想・評価

-
中村登と橋本忍という意外な組み合わせ、で傑作。怪しい投資銀行のボス佐田啓二vs金になびかない刑事伊藤雄之助の渋すぎる対決。佐田を取り囲む宮口精二や殿山泰司がいい味だしすぎ。
「この映画に登場する人物・団体はすべて架空の…」的なお断りが映画とかドラマの頭に付くようになったのはいつ頃からなのか知りませんが1960年のこの映画にはもう付いてくる。その使い方がまったく気が利いていて、「…すべて架空のものです。つまり、この映画は作り話です」の冒頭テロップを受けて映画のラストシーン、佐田啓二らと組んで投資詐欺(とは正確には違うのが勘所なのですが)を働いていたテキ屋の三井弘次があの胡散臭い調子で俺はウン千万儲けたんだ!嘘じゃねぇ本当の話だぜ!などと観客に向かって言う。
金融市場の不確かさや空虚さを皮肉った面白い仕掛け。橋本忍面目躍如の戦後もので、変種の任侠映画のような趣きもあるが、この皮肉は今も有効だろう。

誠実なクズ男を演じさせたら右に出る者のいない(褒めているのかそれは)佐田啓二が貧困にあえぐ民衆の救世主から腐れ詐欺師へと転落していく投資成金を熱演、いろは歌を陰気に口ずさむ飲んだくれの刑事・伊藤雄之助がそれに応じる。社会の最下層に置かれた野良犬どもの暗闘は地味にスリリングだが映画はそこから本当に悪いのは誰なんだ的な方向にシフトするので一筋縄ではいかない。佐田の無念と伊藤の怒りは国会の実景ショットに繋がれるのであった。

傑作だと思う。

追記:殿山泰司の似合わなすぎる背広姿は笑いどころ。
東の方では東京国際映画祭で大変賑わっているとか。大阪も負けてへんでで、今日から待望の「橋本忍映画祭」始まりました!、、、東京に比べて、ちょっと、いやかなり地味ですね(^^;;でも個人的にはめっちゃ嬉しい😊さすがシネ・ヌーヴォ。有難や〜。

で、初日一作目がこれ。

戦後すぐの頃。銀行より高い利息をうたい急成長する投資経済会。それを追う貧乏刑事。社会派サスペンス。

ありがちな話ながら、流石にこの方の脚本だけにそう単純にはいかない。

投資経済会は、いかにも胡散臭いけど、ちゃんと法律の抜け穴を突いている。欲ボケで単純な悪役でもない。一方の刑事もうだつは上がらないし、飲み屋で女将を口説くおっさんながら、意外にも金にはなびかない。一筋縄ではいかないキャラクターたち。本当の悪人は、ニュースにも出てこないあの人々。批判も効いてます。

投資経済会の理事に佐田啓二。あらためてこの方男前やな思いました。

刑事を伊藤雄之助。この人はやはり味があるなぁ。
三四郎

三四郎の感想・評価

3.0
「今の日本人は金に対してみんな腹を空かしている」
綺麗ごとを言ってられない時代だったんだなぁ。男ばかりの社会派映画だったが、見応えがあった。美人女優が出ていなくとも脚本が良いと引き込まれる。
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