ラストラブレターの作品情報・感想・評価

ラストラブレター2016年製作の映画)

上映日:2018年05月25日

製作国:

上映時間:58分

ジャンル:

あらすじ

そこには悲しみを忘れさせてくれるヒューマノイドがいる。 今ではないいつかの未来。ここではないどこかの街。突然の事故で妻の晶子を失った隆。 2年が過ぎても、未だに大きい喪失感を抱える隆は、晶子をヒューマノイドとして蘇らせることを決意する。そしてある夏の日、“彼女”がやって来た。その姿は生前の妻そのものであった。しかし彼女が起動しているのは2週間のみ。蘇った晶子との最後の生活が始まる。

「ラストラブレター」に投稿された感想・評価

lp

lpの感想・評価

3.1
『赤色彗星倶楽部』『戻る場所はもうない』『三尺魂』に続いて、テアトル新宿で開催中の田辺・弁慶セレクションにて鑑賞。

今作はSFラブストーリー。事故死したパートナーを、ヒューマノイドの姿で蘇らせた夫婦の物語だ。
話の中身には目新しさをあまり感じなかったけれど、美しい映像から形成される世界観により、非常に上品な仕上がり。同時上映された短編の『世界で一番最後の魔法』も映像の美しさが際立つ作品であり、森田博之監督の美的センスの良さを感じた。

映像美、夫婦が織り成す日常の雰囲気、ラストの切なさと、好きな人は凄く好きになる映画だと思います。
Marrison

Marrisonの感想・評価

4.0
テアトル新宿にて。同じ監督の併映の短篇『世界で一番最後の魔法』の方がさらによかった。その短篇自体が立派に一つの魔法だった。柔らかなミネオショウさん、をリードしまくる化粧美人(中田ミエさん?)の顔演技が小津の『晩春』ばりに移り変わったりして上々だった。魔法かけるところもクギヅケ。

さて、こっちはこっちで充足映画! 今度は上手に剛(つよ)さを出したミネオショウさん&つっけんどんな影山祐子さん。子ナシの若夫婦ってこんなに姉弟みたく地味にビターにぶっきらぼうに会話するものなの~、と独身の私をちょっと引かせたほどの二人の自然っぽ演技(じつは自然じゃなく、微SF要素をシッカリ意識したにちがいない絶妙なライトミディアムタッチなのだろうが)&劇伴しみじみピアノが素敵!
ふりかえってみるとストーリー前半(攻守交代前)って本当に必要だったの?なんだけど、、それはともかく、後半の「食べるふり」のところの幸せあたりからの終盤のエモさには特段の好感。涙を誘うほどのヤマじゃぁなかったが、私たちの代わりに銚子の波が堅実に風景の一部をぐっしょりさせてくれつづけた。サーファーらを追い出して撮ったの?
キャメラ・編集的には、一言ずつの切り返しが時々「硬いな」と思わせたりはした。(目がちょっと疲れたから。)
いい映画でした。。。
ラストラブレター
「田辺・弁慶セレクション2018」にて5/25〜5/28に上映される作品です。

今ではない、いつかの未来。
写真家の妻 晶子(影山祐子)を突然の事故で亡くしてから2年、立ち直ることができずにいた夫の隆(ミネオショウ)は晶子をヒューマノイドとして蘇らせることを決意する。
2週間という限られた起動時間の中、生前の妻と変わらぬ容姿と記憶を宿したヒューマノイドと共に生活していく隆であったが…。
蘇った妻と過ごす一夏を通し、失ってからでないと気が付けない人の心・忘れることも割り切ることもできない人の死を描いた作品だ。

生きていれば避けては通れぬ“死”
自分の死はもちろんのこと、大切な人の死も避けられない
家族・恋人・友人・ペットetc…、たとえ寿命を全うして亡くなったとしても、悲しみは絶対に付き纏う
それまで当たり前のように存在していた人がいなくなるということは、どう足掻いても胸を締め付けられる
それでも、時間の経過と共に悲しみに浸る分量よりも楽しかった思い出に浸る分量の方が増えていく
そうしてぼく達は相手の死を受け止められるようになっていく

だけど、不慮の事故・事件・病気などで大切な人を失ったのならどうだろう
死の瞬間に立ち会えなかったり、伝えるべきことを伝えられなかったり、見せたかった姿を見せられなかったりしたらどうだろう
永遠に取り除くことのできない心のシコリができてしまう
時間の経過と共に痛みは和らぐかもしれないが、相手の死を受け止めることなど到底できやしない
自責の念にも近しい葛藤を抱えたまま、生涯を過ごしていくしか無いのだと思う。

この先の未来においてヒューマノイドだのアンドロイドだのターミネーターだのの人型ロボットが当たり前のようになれば、劇中のようなことも可能になるのかもしれない
が、どれだけ似せて作っても、同じ声や記憶や匂いを宿していても、所詮はニセモノ
作り手や欲する者達のエゴの塊でしか無い
亡くなった本人の魂はそこには絶対に宿らない
ドラゴンボールでもなし、死んだ者は二度と生き返らない

でも、自分の心に折り合いを付けるためならば、前を向いて生きていくためならば、何だってアリだと思う
法や倫理はさておき、この辛く険しいことばかりの人生において大切な人を欠いたままこの先も生きていかねばならないのだから、それ位のズルは見逃して欲しい
たとえ嘘っぱちであったとしても、独り善がりな考えであったとしても、絶望に囚われたまま生きていくよりはよっぽど良い
ぼくはまだ祖父2人とペット2匹の死しか体験したことが無いけれど、幸い受け止めることもできているけれど、この先の人生で納得のいかない死に直面したのなら立ち直れる気がしない
劇中のようなことが本当に可能であるのなら、多くの邪な想いや弱さを胸に手を出してしまうだろう。

劇中において、カメラは人の目と同じだと言っていた
基本的には標準レンズを使い、遠くのものを撮る際にはズームレンズを使うとも言っていた
大切な人との距離が縮まれば、やがて特別な時間も当たり前の時間と化していく
近過ぎるが故に見えなくなるものも増えていく
ズームレンズの存在など忘れ去り、気付けば遠くにあるモノすら捉えられなくなってしまう
あって当たり前だと思ってしまえば、その価値を見誤る
一度失わない限り、本当の価値には中々気が付けなくなってしまう

学生時代には疎ましく思えた親の存在も、親元を離れれたり自身も親になれば見え方が変わってくる
守られていたことに、愛されていたことにだって気が付ける
付き合いが長くなりズボラな面が見え隠れし始めると萎えてもくるが、心を許しているからこその変化なのだと汲み取れればやっていける
大事なことは他にいくらでもあるけれど、互いに素を曝け出しても平気でいられる相手こそが長く一緒にいられる相手なのだと気が付ける
気が付いて、後悔して、やり直しがきくことならまだ良い
問題なのは、やり直したり次に活かすことができない場合なのだとこの作品は教えてくれる。

心のシコリを抱えたまま生きている人はきっと世の中にたくさんいる
どうにかこうにか前を向いて生きている人もいれば、どうすることもできずしんどい毎日を耐えるように生きている人もいるのだろう
心のシコリが生じる出来事に直面していない今のぼくでは、この作品を真には噛み締められない
できることなら、噛み締められないまま生きていたい
けれど、噛み締められる日がやってくる可能性は大いにある
どれだけ用心したって、今身の回りにいる人やものを大切にしようとしたって、どこかで絶対に見誤る
一度経験しないと、本当の意味での用心はできっこない

前を向いて生きていく
言葉にするのはカンタンだけれど、とてつもなく難しい
今それができているのだとしたら、多くの人やものに支えられながら生きている証拠なのだと思う
支えを失った時にこそ、今ある幸福に気が付けるのだとも思う
できることならば、失わずとも気が付ける自分でありたい。

ぜひ劇場でご覧ください。

青春★★★
恋 ★
エロ★
サスペンス★★
ファンタジー★★
総合評価:B
田辺・弁慶映画祭③

キネマイスター賞、映画.com賞ダブル受賞作品。

CGを使わず、SF的な装飾も全くせず、まして初代?Macや昔の扇風機など、レトロなものを配置してなお、これは紛れもなくSFであると感じさせます。

それも、ヒューマノイドというテーマを、ブレードランナーの続編が30年ぶりに公開されるというタイミングで、日本からこの映画が産み出されたことが、個人的には嬉しいです。

お金のないことを逆手にとって、アイデアと工夫で見せたことは、高く評価できると思います。途中の仕掛けも見事でした。

もともと30分だったものを60分版にして、今回上映されましたが、いったいどこを切れるのかってぐらいでした。
完成度では、他にもっと高い作品もありましたが、のびしろの部分も含め、私はこれを一押ししました。面白かったです。

ただ、他の作品も、甲乙つけ難いものがあり迷いました。何を大事と考えるか、、審査は難しいですね。