イングリッシュ・ナショナル・バレエ団 アクラム・カーン版『ジゼル』の作品情報・感想・評価

イングリッシュ・ナショナル・バレエ団 アクラム・カーン版『ジゼル』2017年製作の映画)

English National Ballet Akram Khan’s Giselle

上映日:2018年11月30日

製作国:

上映時間:113分

4.4

「イングリッシュ・ナショナル・バレエ団 アクラム・カーン版『ジゼル』」に投稿された感想・評価

にいな

にいなの感想・評価

5.0
ジゼルはロマンティックバレエの代表的な作品でロマン主義がめちゃめちゃ詰め込まれている演目だけど、それをうまく現代に移し替えててすごかった!!二項対立をうまく現代に当てはめてある。(村人対貴族が、工場で働く移民対工場の支配者など)
そしてストーリーが微妙に変えられていてそれもまた納得…いつもジゼルを見るたびに「浮気を暴露したヒラリオンが殺されて浮気したアルブレヒトが助かるのはなぜ」で頭がいっぱいだったけど、ここでのアルブレヒトの救済は「人間は変われる」という考えのもと生まれた展開ってカーンが言っててなるほどなあって思った。彼は子供ができてしまったジゼルを捨てて、ジゼルは責められて殺されたわけだけど、彼はそれを心の底から後悔して自分の命をウィリの手にゆだねたんだよね、結局ウィリたちは彼を殺さないで返すけど、そこが肝心なの…
この版のウィリたちは情があるのも、すごくキャラクターの設定が深くて良いなあ。原作ではただ踊らせて殺すことしかないウィリたちが、自分たちのひとりひとりが持つ復讐のような意思で、怒りを表してる踊りがとても良かったな。だってそもそも人を殺すような幽霊が原作みたいにあんな美しいわけがないでしょ!ズタボロになって、復讐や悲しみやいろんな憎い感情で渦巻くウィリが美しい踊りな訳がない。この作品ではそれが見た目にも踊りにもよく現れていて最高だった。
そしてウィリがジゼルのお腹に杖を立てて、ふたりで消えていくのはきっと、ウィリは彼女に味方したというか、理解してあげたみたいに見えたけど、カーンさんの意図はなんなのだろう…
反省のために機会を与えられたアルブレヒトだけど、そこにさ、自分を成長させようともがくロマン主義の主人公像を感じてうわあ〜〜天才かってなった。アツい!!!
原作をこうやって解釈で変えるの興味深すぎて……芸術はどこまでも面白い…
イングリッシュ・ナショナル・バレエのアクラム・カーン版「ジゼル」は感動的な舞踊劇です。芸術監督でありプリマのタラマ・ロホの個性が強く出て、スペイン風舞踊も見られるコール・ド・バレエなど表現性において抜きん出ています。物語としてもクラシックバレエの「ジゼル」よりはるかにドラマチックでした。舞台芸術として、コンテンポラリーとかクラシックとかのジャンル分けを超えた必見の傑作です。
予備知識なく、たた、ジゼルというだけで観たくなりまして。アクラム・カーンの名前すら初耳です。
1幕を終えたところで、あまりのコンテンポラリーに頭良すぎると慄く。それでも2幕は紛れもなくジゼルでした。ウィリー、すごい。あんなに長時間トゥで立てるものなの。ジゼルとアルブレヒトのアクロバティックなアダージョの美しさに心震えました。
まさき

まさきの感想・評価

4.0
かっこいー

思ってたジゼルと大分違った。
けど、良かった。

今までに自分が観てきたバレエには無かった感じの動きをしていた。暗黒舞踏とか武術の演舞だとかを思わせる色んな要素が混じっている感じ?でも、バレエダンサーにしか演技不可能なモノになっている。

不思議で不気味で美しい。
幻想的でダークなジゼルの世界観に合っていた。

貴族様登場シーンの貴族様達がRPG終盤のボスキャラみたいでとっても素敵。

ヒラリオンの人、1番良いキャラしてた。表情のうるささが良い。

ウィリ達が棒で地面を打ち鳴らしてヒラリオンを責め立てるシーン、迫力あって良い。

ウィリの女王様、こわすぎる。

劇場公開時、どうしても時間が合わなくて観に行けなくてBDを買ったけど、その甲斐はあった。
これだけ世界中にダンスがあるのに、まだ見たことない振り付けがあることにつくづく驚く。ウィリーたちが寄ってたかってヒラリオンを懲らしめてくれて、すっきり。コールドバレエって「白鳥の湖」でも、「ねえさんに手出ししたらあたしらが許さないよ」的なヒロインを守る軍団に見えるんだよね。
絶望と恐怖と暴力と性と死に支配された世界を描き出す、暗黒の身体表現劇。先史の古代から現代まで、無数の引用に満ちた複雑で重層的な設定。ダンサーの超絶技巧がそのまま人間を異形の存在に変える圧倒的な演出、振付。現代世界の問題を換骨奪胎して時空を超えた世界に変える手腕に終始圧倒された。かっこよすぎて始めから終わりまでずっと泣いてた…。凄まじい作品。
ずっと観ていたい身体表現 身体は重力や重さを忘れさせたり動物や壁になったり、どうやったらあの動きを計算したり構築したりできるんだろう、トゥシューズを履いた妖精たちのこの世のものではない妖しさ・正確さ!記憶に間違いがなければ妖精たちが割と国籍豊かでそこもまた面白かった
Erin

Erinの感想・評価

4.6
終わってしばらく言葉がでなかった。
余韻がすごい。
振り付け、演出共に洗練されすぎていて、ただただアクラムカーンを尊敬。
抽象的で、感覚的。
言葉がないことでより頭じゃなく感覚で見られる。

全編を通した演出の一貫性、無駄のなさ。
照明、音楽含め一瞬いっしゅん切り取っても絵画のようで隙がない。
その演出を体現できるダンサーも素晴らしく、ダンサー泣かせな振り付けも、世界観を一切壊さずぬかりなくつむがれていた。
パンフレットがほしいー!DVD発売するなら買ってしまおうかしらー…!
ぴょん

ぴょんの感想・評価

4.5
映画館での上映が終わる前にと滑り込みで上映終了前日に観て参りました。
古典バレエの『ジゼル』を前衛的な演出で再構築した舞台公演を映像に収めたもの。素晴らしかった。
暗い舞台上にあるのは壁と質素な衣装の演者たちだけ。
不気味な音楽と蠢く人々、世界を狭く阻む壁と薄暗い舞台、独特な振付。全体的に暗くて怖い。まあ2幕は亡霊が主体の話だからホラーっぽいのが正解なのかも。
登場人物たちの感情の表現や目を見張る動き、ぞくぞくする雰囲気に最後まで飽きずに見ていられた。舞台と同じように一幕と二幕の間に10分休憩もありました。
ウィリ(未婚のまま亡くなった女性の霊たち)の女王ミルタがジゼルを仲間に入れようと蘇らせるシーンがまた妙にリアルで。死者を蘇らせる禁じられた儀式を見ているような不気味さがあった。
抽象的な表現も多く、帰りに見知らぬご婦人も仰っていたのだけれど「パンフレットが欲しい」。それですご婦人。パンフレット欲しかった。
映画ではなくて舞台公演を映画館で上映してくれているものだから、まあないのは当然と言えば当然なんだけど。
自分だけではどうにも解せないのだけど何か意味がありそうな影の演出や群衆の動きが気になって仕方がない。あの動きは何を表現しているのか知りたい、と思っても情報がないので考えるしかない。
主要な人物たちそれぞれの感情が渦巻くリアルな人間性は見て取れたのでその表現力は圧巻。
ジゼルの儚さと哀しみ、アルブレヒトの村民のふりをしていてもどこか貴族らしい立ち振る舞いと姿勢、葛藤。ヒラリオンはその情熱と狂気が動きにも表情にも爆発するように全力で表現されていて釘付けになった。身体能力もえげつない。
最終上映が今日まで(しかも神戸だけ)なのでどうにかDVDを出して欲しい。
yuri

yuriの感想・評価

4.7
アクラム・カーンの神秘的で野生的な振付をはじめ、演出や音楽も完璧な作品だと思う。

それから、ジェフリー・シリオの身体の使い方と、高圧的な目がもう最高に好き!

いつか、いつか舞台で観られる日を願うばかり。
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