兄弟という近くもあり、遠くもある曖昧な関係性を、絶妙な距離感で捉えた中編。
お互いに明け透けなようでいて、薄皮一枚常に張られている予防線。
信頼の証しとも言えるし、絶対に踏み込まれたく無い唯一の相手…
感情をぶつけるわけところもあったが、
お互いが察して相手のために何かをする優しさがとても良かった。
前半は少しムードが暗くて、会話もぎこちない気がしていた。喫煙所のシーンとか。
でも最終的に仲がいい…
酒屋の兄弟の話。
兄ちゃんが自暴自棄になってブチギレるシーンはくるね……母親に忘れられながらの介護、何も知らずに帰ってくる弟……
でも弟のやらかしたことに気づいて兄として出来ることやろうとする優しさ…
黄土色に靄がかっていた。
・
「おかえり」「ただいま」
「そうだよな」 言わなくても分かる。
「なんにも変わってないね」
変わってしまった。
・
「やっぱ煙草もらおうかな」「やめとけよ」
…
兄役の人の演技めっちゃ好き。
弟がばあちゃんに兄のこと思い出させようとした時のあの、なんともいえない寂しそうな兄の顔すごい。やばい。
弟のなかなか兄に「好きなことしなよ」って伝えられないあの感じ…
なんか、いいな…と思う距離感。
お金と『そんなことで人生台無しにして』の件で、いやいや何かあるんでしょと思っていたら、貴方の方がだよ…
言わなきゃいけないことと、言わなくてもいいことと、その線引…
©『中村屋酒店の兄弟』