のさりの島の作品情報・感想・評価

「のさりの島」に投稿された感想・評価

koya

koyaの感想・評価

4.3
上映館が少なくても、いい映画はいい。
熊本県、天草を舞台に「オレオレ詐欺の若者」が迷いこんでしまった「嘘の世界」を描きます。

本来、嘘をついて金をだまし取るはずが「もしもし、ばあちゃん、俺だよ」と言って「ショウタかい?」と引っかかった!と思ったのに。

引っかかったと思った原佐知子演じる老女は、一向にお金を払う様子を見せず、自然に孫が帰省したように食事を作り、風呂をわかし、洗濯をする......そしてちゃっかりスマホと財布を隠してしまうあたりのオスマシ顔が「やるな」と思わせます。

天草の商店街も今はシャッター街になり若者もいない。
さびれた、人のいない商店街の様子が何度も出てきますが、それが今の日本のある一面を見せているような気がします。

かつては栄え、賑やかだったけれど今はさびれて衰退するばかり。
若い人は東京に出て行ってしまう。都会に人が集中し上手く分散しない。
のどかといえばのどかだけれども息苦しい狭い世界でもある地方都市。

オレオレ詐欺の青年を演じた藤原季節は時にしぶとい面構えをするかと思うと、ふと純情な顔を見せる。
疑似祖母との間にはよそよそしさから親しみへと変わる瞬間がある。
しかし、「あなたはどこから来たんですか?」と聞かれてしまうようににオレオレ詐欺はスピードが勝負で長居はできないもの。

この映画がいいところは天草という一度も訪れたことがない土地を十分見せてくれたこと、そしては。とする古いものが現れます。
私は老女の家にある三面鏡に、ああ、昔家にもあった、となつかしく思いました。

昭和が止まってしまっているような街。
そこで生きる人々。
嘘をついていることにだんだん気が付いていく様子。
ベタベタせず、干渉しないけれど、優しい祖母。

「全てわかっていた人」が一番強い。
大迫力でもなく、大恋愛も、大事件も起こらない。
そういう映画があってもいい。
nagaoshan

nagaoshanの感想・評価

3.7
山本起也監督作品!

上映後に監督の舞台挨拶ありました(^^)

のさり=良いこともそうでないことも,自分の今あるすべての境遇は天からの授かり物としてひていせずに受け入れる。

天草出身の後輩がいますが海が綺麗で養殖も盛んで良いところだが非常に交通の便が悪いく宮崎と同じ陸の孤島とら呼ばれる場所と言ってます笑笑😎

最近の作品でよく見かける藤原季節主演で送るオレオレ詐欺の男が天草に流れてやってきた…

シャッター商店街で楽器屋を営むお婆ちゃん艶子(原知佐子)はオレオレ詐欺を知ってか知らずかボケているのかわからないが男を風呂,食事と持てなし奇妙な共同生活が始まる…

飄々とお茶目なお婆ちゃん演じる原さんが可笑しくて(^^)
全編に流れるブルース・ハープが心地よい
歴史ある映画館の佇まいも良くて行ってみたくなる。

かつてその場所で暮らしていた人達の追憶と郷愁に思いを馳せ作品へと昇華させた監督の気持ちをお聞きしてかつて水俣訴訟で苦労された天草の人達に宿るのさりという
精神を知る事が出来て良かったです。

原さんの遺作になってしまいました。
心よりご冥福をお祈りいたします
合掌

良か映画!
こゆび

こゆびの感想・評価

4.0
ずっと観たかった作品を電気館で観れてうれしい。活版印刷の前売り券はとても味わい深く、部屋に飾っています。お気に入りです。

『のさりの島』
馴染みのない「のさり」という言葉でしたが、来るもの拒まず去るもの追わず、という姿勢が心地よくもあり、少し寂しくもあるなあと感じました。

そして、天草に行きたくなりました!
シャッター街見たら寂しくなっちゃいそうだけど!たい焼き食べ歩きしたいです。

藤原さんについて。しょうたの服装が徐々にしゃきっとなって、何気ない日常を楽しんでいることが伝わってくる感じがすきです。昨年12月にファンになったけれどどんどん映画に出演されていてこれからも楽しみ。
ハル

ハルの感想・評価

3.2
みつばちラジオで流していた"天草の風"思わず目を閉じて深呼吸したくなった 何事もどこまでが本当かまやかしかわからんくなるね ぼけてるのかわざとなのか…なおばあちゃんがとっても愛おしい
客席は年配の方が多く見られた 上映後ロビーで懐かしいねーって会話が聞こえた 天草出身の人かな?私が見ていたのさりの島とは全く違う目線で見てたんだろうな〜 「そこにあるのが当たり前やったけんわざわざ写真撮ってない 失くなってから気づいた(ニュアンス)」って言葉が印象に残った
咎

咎の感想・評価

3.6
う〜ん、藤原季節をアンバサダーに迎えた天草観光?郷愁?映画といいますか…

これといった盛り上がりとなるストーリーが無いので天草に思い入れのない私にとっては結構眠かった。(開始時間が早くて都内1館1日1回上映なのも原因…)

辛辣な事を言うとシャッター街とか過去を立て直そうとするより未来に目を向けて新しい街作りをしなきゃダメだと思う。環境音をもっと生かしてほしかった気も。

私もおばあちゃんになったら藤原季節君みたいな好青年を義孫として迎え入れたい😂
みさき

みさきの感想・評価

3.7
「のさり」=いいこともそうでないことも、今ある自分の全ての境遇は天からの授かりもの。

オレオレ詐欺をして土地を転々とする青年がとあるお婆さんに孫として受け入れられるお話。
お婆さんがどのような真意で青年を孫として向かい入れたのかは分からない。だけれど、その答えは「まやかしも時には必要である」というこの映画のメッセージにも通ずる気がした。

とても印象的だったのが地域の人々同士の繋がり。誰も青年のことは知らないはずなのにいつの間にか町の中に溶け込み、受け入れられていく。これは東京ではなかなかない事だと感じた。しかしその一方でそんな地域の繋がりを全員が気に入っている訳でもないということも表現されていたのも良かった。

そして青年も徐々に心が柔らかくなっていくのがとても伝わってきた。最初は厳しかった目つきや話し方も次第に和らぎ、終盤ではすっかり天草の一員になっていたようにも思えた。藤原季節くんも原知佐子さんもとっても自然でまるで本当の孫と祖母のようだった。

天草のPRをしすぎずに市の魅力が伝わり、天草にとても行きたい気持ちにさせられたのは素晴らしかったです。
BGMを実際に映画の中で奏でていたり、楽器屋のポスターは熊本出身のWANIMAだったりといった演出も好き。

非常にゆっくり進んでいく映画なので好みの分かれる映画だとは思いますが、すごく心に染みる映画だった。
原知佐子さん、ご冥福をお祈りします。
ししん

ししんの感想・評価

3.3
静かな映画です。そのなかで甘美なノスタルジアと甘くない現実の葛藤が丁寧に描かれています。地方は素晴らしいという単純な話ではなく、よく言われるステレオタイプに抗う演出が施されていました。

象徴的な表現として、レコード屋の息子(藤原季節)がすぐに若者の輪に溶け込んでいく点があります。地方といえば人々の繋がりが強く、誰でも他の人のことを知っているというイメージがありますが、レコード屋に息子がいたかどうか、作品の終盤まで誰も気づきません。ゴーストタウン化した街では、もはや隣の人との繋がりなど失われているのです。地方の繋がりとは、隣にもその隣にも家が連なっているからこそ現出されるのです。そんな当たり前のことに気づかされました。

次に若者にとっては、(幻想としての)活気は恐怖なのです。ラストでラジオパーソナリティのヒロインが象徴的な表現をしますが、まさに囚われた空間から抜け出せないのは、愛ではなく恐怖です。地方愛はそのすぐ横に囚われの恐怖が同居しているのです。

単なるPR映画ではありません。素晴らしい出来でした。
昼寝

昼寝の感想・評価

-
めちゃくちゃ良かった。キャストと冒頭の長回しでこれは気合入ってるな、と背筋を伸ばした

8ミリフィルムの上映会、楽器店の倉庫に眠るアルバム、柄本明が作っている案山子(この役は碓井弘幸という人がモデル?)というバラバラの出来事が「まやかし(偶像)を信じることも人間には必要」という共通点で纏まるのが素晴らしい。そしてその主題は作中でのおばあちゃんと男の関係とも、潜伏キリシタンが聖像を建て信仰を保っていた土地の歴史とも、こうして現代に天草の街を映画として撮ることの意義ともしっかり繋がってる

ご当地映画と括られる作品だと思うけど観光や移住のためのPRという感じでは全くない。舞台となる商店街のシャッターはほとんど全部降りっぱなしだし、若者は全然普通に上京するしそれを別に誰も止めないし、推していくべき観光スポットのはずのイルカウォッチングもあんまりちゃんと営業していない。上映会で流れる映像が賑わっていた頃の天草とかではなく1964年の大火事なのもいい。街の暗い部分から目を背けず、見栄を張らない姿勢に地元への真摯な愛を感じる

あと、天草出身のWANIMAのポスターがしきりに映り込むが、一度もピントは合わないし彼らの曲も流れない、というWANIMAとの距離感もいい
nana

nanaの感想・評価

4.8

優しい
引き合った孤独の磁石
騙し騙されるはずだった二人の出会い

オレオレ詐欺をしながら土地を転々とする若い男(藤原季節)
電話に容易く答えてしまう老婆の艶子(原知佐子)

簡単なカモのはずが意図せず艶子の家に住み着き共同生活が始まる

天草
古いまま
昔の伝統が今を生きる人達の日常の街
FMラジオ局
小さな映画館
伝統文化の職人

流されるように土地に馴染み「将太」として生活する

本当のばあちゃんと孫のように寄り添い思いやる表情に心が温かくなる。

こんなご飯はこの人は食べて来なかったんだろうな、と思うシーンでこの男の背景が見えた気がした。


お店の箱にお金を入れる
お釣りを箱から客が自分で取り出す
この島は信頼で成り立っている。

優しさに触れれば“悪”も変われる。
この人は愛情に飢えていたんだろうな🤔
きっと本当の悪党ではなかったように思った。
そして愛情を与える事に飢えていた婆ちゃん。

騙したつもりが本当に騙していたのは…


素敵な作品でした。
「シャボン玉」を思い出すけれど婆ちゃんの個性が全く違います。

もし自分が艶子さんの立場だったら同じ事をしたかも。

藤原季節さん、ハマり役でした。
「くれなずめ」の何百倍も魅力的。




撮影から2年経って公開された作品で監督は
「お金もないし力もない、出るメリットがない映画に参加してくれた俳優陣に胸がいっぱい」
だそうです。



職人を演じた柄本明さんは
第一映劇がとっても素敵だったのがお気に入りだそうです。
天草の唯一な映画館はレトロ感たっぷりでした。


優しい気持ちになりたい方におすすめです。



観てよかった


またミニシアターで大当たり
緑

緑の感想・評価

-
非常に淡々とした作品。
面白い設定はあまり活かせず、
「天草」に傾きすぎてもったいなく感じた。

1エピソード毎のキレがあまりなく、
それぞれも尺長めのため、
観るときのコンディションによっては
ぐっすり安眠コースかもしれない。
監督の傾向との合う合わないが大きいのだろう。
自分の場合は90分尺なら素直にいい作品だったと思えそう。

自分が観た回はミニライヴ付き。
生で聴くブルースハープは劇中以上に格好良かった。
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