透明人間現るの作品情報・感想・評価

「透明人間現る」に投稿された感想・評価

3104

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3.2
H・G・ウェルズの『透明人間』から着想や基本設定を得ているものの、独自のストーリーが展開される。

善良な科学者。自らの金もうけに利用しようとして薬を奪わんとする悪人。弱みにつけこまれる人。初めから実らぬ恋。大事な人を想う心・・。
終盤のアクションなどにところどころチグハグな描写はあるが、基本はベーシックかつシンプルな筋立て。しかし少ない登場人物でありながら後半まで透明人間の正体をうまく?ミスリードしている点はなかなかのもの。

透明人間関連の特撮は円谷英二が担当。彼の『ハワイ・マレー沖海戦』等から『ゴジラ』までの時期にあたる仕事。
包帯を解き服を脱ぐ様、タバコだけが宙に浮いている様などはやはりインパクトがある。それ以外にも透明猫が室内を跳ねまわる描写や無人のサイドカーが神戸市内を疾走する描写も見逃せない。

不勉強にして役者陣は全くわからず、唯一知っていたのはターキー(水の江滝子)。レビューのシーンだけの特別出演的な扱いかと思いきや、その後も物語にガッツリと絡む。他の女性陣と比べるとやはり背が高い。さすが「男装の麗人」として一世を風靡しただけのことはある。

オープニングとエンディングに「科学に善悪はありません。ただそれを使う人の心によって善ともなり、悪ともなるのです」の字幕。そう、科学や特撮はそれ即ち“人の心”を描くものなのです。
戦後4年目の特撮映画だよ!円谷が大映で特監をやって、その後東宝に移るからゴジラより以前の作品になる。すごいなぁ。
円谷自身は今作に不満で後に東宝でも透明人間をやるけど、それほど技術的な進化は感じないんだよな笑。逆に言えば当時の透明人間描写に関しては、やはり一定の完成度の高さと言っていいのでは。
幾つか見所はあるけど、透明人間がタバコを吸うシーンはやっぱり良く出来てる。後半の無人のサイドカーが町中を走るシーンも実際どうやって撮影したのかな?結構驚きの描写も多い。

俳優陣はわからない人もおおいけど、なんといっても博士役の月形竜之介。調べたら当時はGHQ支配下でチャンバラがNGだったらしい。時代劇の印象だとキリッとした感じだけど、現代劇だと人のいいおじいちゃんって感じ。これあの月形竜之介か?と思う。
透明人間の薬を発明するけど悪人に騙されちゃう。いかにも騙されそうな人の良さがにじみ出てるんだ。

あとは水の江瀧子かな。ターキー美人だわぁ。現代的な強い女性て感じが役にも見て取れる。松竹歌劇団男役からの転向後でレビューもみれる。これも格好良い!

透明人間って題材としてはウェルズとは別の作りおこしたストーリーだけど、薬によって凶暴化するみたいな設定は引き継がれてるんだよね。

ラストにテロップで「科学に善意は無く、使う人によって変わる」云々と出る。このテロップが戦後4年目だよ!敗戦でボロボロだった時代によくこんな達観した結論を持って来れるなぁと関心。