オール・マイ・クレイジー・ラブの作品情報・感想・評価

「オール・マイ・クレイジー・ラブ」に投稿された感想・評価

birichina

birichinaの感想・評価

4.0
※ネタバレまではしていませんが、内容には結構触れています。

ヴィンセント役の俳優は新人賞も主演男優賞もあげたいくらいすばらしかった。名演技がたくさんあるが、ウィリーが「パスポートがないのは問題だが知り合いに頼んで何とかするから大丈夫だ」と話して聞かせるシーンで、ウィリーの額にかかった髪の毛を触ろうとし続けるところなどは本当に見入ってしまった。(イタリア⇔スロベニアはシェンゲン協定加盟国なのでパスポートなしで行き来できるが、クロアチアは加盟国でないのでパスポートが要る。)

養父と会話中に ちょっとした勘違いでヴィンセントは実父ウィリーの名前を「ウィリー ポイ(poi=英語のthen)だと思い込み「ウィリー ポイ」と言い続ける。実は「ウィリー」だと いつ気づくのだろうと思っていたら、ついにはウィリー本人まで「ウィリー ポイも寒い」などと言い始める。そんなところにウィリーという人物の包容力を感じた。
ちなみにヴィンセントは自閉症なのだが、作品の中で「自閉症autistico」ということばは たぶん一度も出てこない。ヴィンセントがウィリーの車に潜んでついてきたのを発見したときのウィリーのセリフでは「お前も変だけど、俺も変なやつだろ。変なやつ2人でどこへ行こうか?」と「変strano」と言っていた。

ヴィンセントが落ちるプール、表面はゴージャスなのに水中はパーティーのゴミなどが漂っていて、まるで社会の縮図のように見えた。監督はこのシーンについて、母親はヴィンセントを再び出産する(寓話的な意味で)ことを示唆しているとインタビューで答えているらしい。個人的には「汚れた危険いっぱいの社会の中で息子が困難に遭遇しても私はもう逃げない、息子のそばで見守り続ける」という母親の強い意志をこのシーンで感じた。「実父現る事件」で息子も実父も母親も成長したけれど、一番成長したのは母親だったのでは?
momoko

momokoの感想・評価

4.0
イタリア映画祭を配信で。

久々の、ロードムービーらしいロードムービーで満足。
音楽も良かった。(いいロードムービーにいい音楽はつきもの)
パソコンのシーンが素晴らしい。
ヴィンセント役の役者さん、とても良かった。あの笑顔が出来る人じゃなきゃ成立しないもんな。

それにしてもイタリア映画ってほとんど超有名なのしか観たことなかったかもなと気づく。ザ・映画、って感じで良かったなぁ〜。
自閉症のヴィンセントと16年ぶりに初対面を果たした実父とのロードムービー。
自閉症の役ということで、どうしたってディカプリオのギルバートブレイクを連想します。このヴィンセント訳の役のGiulio Prannoはこれがスクリーンデビューだそうで、天才あらわる!って感じ。顔も雰囲気もディカプリオとリバーフェニックス足したような感じなんだよな。凛々しい顔と優しい顔のオンオフがすごく良かったです。
イタリア~スロベニア~クロアチアへ移動していたんだけど地理感覚がイマイチ理解できず。地図を見て納得。この3国国境が近いんだな、、、なるほど。あんな危ない真似してまでクロアチアに行く意味がよく分からなかったんだけど、そこもイタリアの事あまりわからないせいなので誰か解説してくれないかな。。。
一緒に旅をした実父に芽生える感情は当たり前なんだけど、ずっと一緒に暮らしてきた母の感情の変化をラストに見せてくれたのが最高によかったです。一番救われてほしいの彼女だもん。ママ綺麗だよなんて言ってくれる息子私も欲しいわ。義父のやさしさと寛大さにも涙。皆の事愛してるんだなってのがよくわかるラストの付け鼻でした。
プールのシーンは綺麗でよかったです。途中のクロアチアの景色も美しかった。成長譚としては単調って言われるのだろうけど私はすごく好きです。めちゃくちゃ良かった。とにかくヴィンセント役の彼のすばらしさをぜひ見てほしい。音楽も良かったです。
更紗

更紗の感想・評価

4.0
イタリア映画祭にて。

トリエステからスロベニアを経てクロアチアへ至るロードムービー。スロベニアのダンス大会、クロアチア・オトチチの婚礼で歌うクラウディオ・サンタマリアの歌が聞かせる。初めて会った父と自閉症の息子がこんなにうまくいくものだろうか?と若干疑ったけれど、実話がベースということなので信用したい。見慣れないスロベニア~クロアチアの無機質だけで構成されたような風景が新鮮。そこへ急に現れる馬と鶏。義理のお父さん(いい人)の読んでいた原稿を読んでみたくなる。
いち麦

いち麦の感想・評価

4.0
イタリア映画祭2020 オンライン配信。父親としてはダメでも男親として曝け出し奮闘するウィリーの姿がイイ。自閉症のヴィンセント役G.Prannoは美しいマスクで奔放な演技。時々目の覚めるようなクロアチアの景色も。ただ成長譚としては少し薄い印象。
カツマ

カツマの感想・評価

4.2
若者よ、彼方を目指せ。人生は冒険のようにロマンチックで、行く果てのない旅のように美しい。繋がりゆく世界、広がる地図。閉ざされた扉が開け放たれた時、父と子の一世一代のロードムービーが喜劇のように幕を開けた。出会いと別れ、日の出の気配。いつまでも忘れられない、その荒野の道はどこまでも伸びていた。

今年はコロナ禍の影響で中止となったイタリア映画祭がオンラインという上映へと形を変えて大復活!無料上映もされた選りすぐりの新作3本の中から、この実話を元にした父と息子のロードムービーをセレクト。イタリア映画にお馴染みの名優が演じる個性豊かなキャラクターたち。彼らが国から国へと転々と旅をしながら、それぞれに成長を刻んでいく物語である。ダメ親父と自閉症の息子が紡ぐ先の見えないボヘミアンな毎日が、いつしか朝の陽射しのような光へと変わる。

〜あらすじ〜

シンガーのウィリは放浪の旅をしながら歌い歩く、不安定でその日暮らしの生活を送ってきた。そんな彼には息子が一人いるのだが、ウィリは産まれたばかりの息子の前から逃げ出し、実に16年間も音信不通のままであった。
息子ヴィンセントは自閉症により、自分の感情を上手く言葉にすることができない。母エレナはそんなヴィンセントを献身的に愛するも、どこかストレスに感じてもいた。ヴィンセントは養父マリオには心を開いていたせいもあり、エレナは徐々に焦りと苛立ちを隠せなくなっていた。
そんな折、ヴィンセントと会ったこともないウィリが突然、エレナたちの前に現れる。エレナは当たり前のように彼を追い返すも、翌朝、ヴィンセントはウィリの車の荷台に乗って出て行ってしまった。期せずして、ヴィンセントと共に旅に出ることになったウィリ。最初はギクシャクするものの、何故か二人はすぐにウマが合うようになり・・。

〜見どころと感想〜

嘘みたいな本当の旅物語。基本的にダメ人間の主人公が実の息子と旅をするも、意外にも二人のテンポはバッチリで、そのせいかコメディ要素も強い楽天的な側面を持っている。しかし、同時にそこにはオブラートに包まれたかのようにシリアスなテーマを内包しており、特に国境を越えるシーンなどに顕著に見られた。最初は息子の成長物語なのかと思ったが、実は息子を通して大人たちもそれぞれに人生の道を模索し直すかのような、旅立ちのドラマとなっている。それぞれの心の病みを透かせながら、思いのほかマイペースな心情はユラユラと揺れている。

主演は『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』でお馴染みのクラウディオ・サンタマリア。彼は非常に魅力的な歌声を持っていて、本作での歌唱も地声をそのまま披露してくれている。母親役のヴァレリア・ゴリーノは最近のイタリア映画には欠かせない名女優で、彼女の演技は基本的にハズレがなく、物語に重要な芯を通してくれる。息子役のGiulio Prannoの自閉症の演技は素晴らしかったが、彼は他の作品での出演が見当たらず、今後の新作映画への出演が楽しみだ。

そして最後に言及しておきたいのは今作を彩る音楽の数々。サンタマリアの歌声の雄大さ、そして歌曲としての抱擁力が今作のラストを美しく飾り付けてくれるだろう。エンドロールへと流れ込むタイミングで漂ってくるあの歌をまたどこかで聴けたら嬉しいと思う。歌声に乗せるように、この物語は我々の視界の先へと目指して漂い続けていくのだから。

〜あとがき〜

まずはオンラインという形で復活を果たしてくれたイタリア映画祭に万感の意を表したいと思います。毎回のように参加している映画祭がこうして維持されたことが何より嬉しかったですね。

そして、この作品。実は中止になったイタリア映画祭2020のリストには入っていなかったとのこと。復活の余波で日の目を見たという、公開まで数奇な経路を辿った映画です。イタリア映画らしい笑いもあり、男同士の友情物語のようでもあり、最後には忘れ得ぬ余韻を残してくれる作品でもあります。全国公開に漕ぎ着けてくれたら、、と思いますので、配給会社の人の目に止まってくれたらいいなと思いますね。
あっこ

あっこの感想・評価

4.3
クラウディオ・サンタマリアの歌をたっぷり堪能できるロードムービー😊
感情をコントロール出来ない自閉症のヴィンセントが、生まれて初めて突然会った実の父に無理矢理くっついて旅に出る。言葉をうまく口に出来ないヴィンセントだが、実は頭の中にはたくさんの言葉と感情が溢れていて、道中たまたま見つけたパソコンを使っての親子が会話するシーンは愛が感じられる素敵なシーンだった
イタリア映画祭にて。

自由奔放な父と自閉症の息子のドラマ。
唐突に会いに来たといわれ息子は戸惑うわ、旅に出るといってもこんな二人で大丈夫なのかと心配したが、なんだかんだで良きコンビ。
二人が楽しければいいんだろうね、という映画だった。

96分にしてはかなり体感時間長いしあまり好みではないけど親子ロードムービーの王道としていいと思う。

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