Kuutaさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

殺しが静かにやって来る(1968年製作の映画)

3.8

冬の雪山で展開する「白い西部劇」。主演がなぜかトランティニャン、悪役にクラウス・キンスキーという異色のマカロニ。

土や埃は皆無で、雪と山と血が広がっている。美しい遠景を多用し、雪原を進む馬の姿(疾走
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汚れた顔の天使(1938年製作の映画)

3.9

堅気に片足を突っ込みつつ、ギャング生活から抜け出せず、その間で引き裂かれていく。ジェームズ・キャグニー十八番のパターンにして代表作。

冷酷なギャングでありながら、自由な人生にプライドを持ち、友人や子
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草の上の昼食(1959年製作の映画)

4.1

恋愛を否定し、人工授精を奨励するインテリ博士と、博士に賛同して実験台になろうとする農家の娘が出会ったら何故だか恋に落ちてしまう。博士の本来の婚約者はドイツ貴族のガールスカウトで、軍隊のような振る舞いは>>続きを読む

砂の器(1974年製作の映画)

3.7

刑事(丹波哲郎)が全国を電車で移動し、殺人事件の手掛かりを追い求める。旅情たっぷりの自然と、地道な捜査の積み重ねが楽しい。警察署や宿屋、農家と行く先々でお茶や酒を振る舞われ、オープニングから後輩と飲食>>続きを読む

天国と地獄(1963年製作の映画)

4.1

身代金を要求され、犯人に一方的に弄ばれる前半は、靴メーカー常務(三船敏郎)の葛藤に集中する。室内の会話劇で登場人物が少ないにも関わらず、セリフに連動する体や目線、移動するカメラが、変化する人物の立場や>>続きを読む

食人族4Kリマスター無修正完全版(1980年製作の映画)

3.8

ブルジョワジーの秘かな愉しみを見たらこの映画が見たくなった。こっちは食べることを通して人を描く

「食人族こえー」とモンド映画をきっちりやる前半から、後半は「食人族みたいな映画を撮るやつも見るやつも最
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ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

3.8

「食べられない」不条理劇。暗闇を走る冒頭から暗中模索。戦争もあり、テロもあり、途上国に対する見下しも、無意味な知識マウントもある。死への不安が意識のどこかで爆発しかかっているのだが、夢か現実かも分から>>続きを読む

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

4.1

ストレートな反ナチス映画でありながら、ナチスを生んでしまう民衆の恐ろしさを同時に描いている傑作。

占領下のプラハ。地下組織は副総統ハイドリヒの暗殺に成功するが、ナチスは犯人逮捕までの間、無関係な40
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.1

2023年のベスト10をコメント欄に載せました。

黒柳徹子が自ら出資して制作にも関わったそうで「黒柳徹子」が「製作委員会」と横並びでクレジットされている。

アメリカでストがあったり、テイラースウィ
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フローラとマックス(2023年製作の映画)

3.4

これ見るためにApple TV +に入った。はじまりのうた、シングストリートで行けるとこまで行った感はあり、安定のジョン・カーニー節ではあるが、予想を超える驚きはなかった。

音楽を視覚化し、2時間か
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.2

例によってどこにも行けないアメリカ人の話なのだが、オープニングでそれが確定してしまうのは流石に笑った。「牛とか出る前に終わった…」と思った。

・ワイドな荒野ではなく、狭めの画角に身を寄せ合う人々。持
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ガス燈(1944年製作の映画)

3.8

後年の派生作品を見過ぎていて元ネタを見ても「うん…」となる現象。男の欲望で女のアイデンティティを塗り替える話なのでやっぱりヒッチコックっぽいが、同じジョージキューカーで言えばマイフェアレディの最悪の翻>>続きを読む

ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

3.9

視線の断絶とフレーミングでディスコミュニケーションを描く作品は数あれど、2時間ここまで視線が合わない(切り返しは序盤の夫との会話1回だけ?)絶望的な映画は見たことない。疲れ切ったしまるで掴めた感じがし>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

3.8

「プロミシング・ヤング・ウーマン」のイメージをミスリードとして軽く消費してくるエメラルド・フェネル監督、底知れない人だと思いました。

これは映画館で見たかった。赤い部屋で展開される地獄のランチはベル
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ほつれる(2023年製作の映画)

3.9

加藤拓也監督、初めて見たけれど絵作り素晴らしい。これで長編2本目かー。

「任せるよ」を繰り返していた綿子(門脇麦)が自分の足で歩くまでのお話。話としては何てことないのだが、見せ方がとても丁寧。

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PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.3

スタンダードサイズが画面を占有する巨体を印象付けており…ってザ・ホエールと同じことをやっていた。

いじめられっ子のサラが、街に現れた殺人鬼の男に惚れられる。男はいじめっ子や家族など、彼女を抑圧する人
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

3.2

時期によってはどハマりしていたかもしれないが、ノレませんでした、、

話すことで誰かを傷つけるよりも、ぬいぐるみと話す方がいい、というサークルに集まった大学生の話。

私は「ぬいぐるみと話す人の気持ち
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吸血鬼(1932年製作の映画)

4.1

今年最初はドライヤー特集。

・二重露光の多用に加え、肉体から離れた影が勝手に動き出す始末。肉体付きの影を見ているのか、肉体から離れた影を見ているのか、そもそも画面上はどっちも影なんだから区別なんて出
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.9

2023年ベストを決めるには見逃し作品を拾うのにあと1週間はかかりそうですが、とりあえず映画納め。今年はこれだなぁと思っていました。

ニューヨークタイムズが2017年にワインスタイン告発の記事を書く
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.5

3層構造、糞尿の逆流に始まる革命って、カンヌはパラサイトをもう忘れたの?と思った。ヨーロッパの知識層好みにアレンジされたパラサイトというか…。

パラサイトは高低差の見せ方が抜群だったけれど、ゆっくり
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

監視したい/されたい願望を巡る話で、ヒッチコックからデパルマ、氷の微笑にも連なる、恋愛の駆け引きにサスペンスを重ねる映画。これをパク・チャヌク独特の編集とカメラワークで映像化している。

冒頭、人と人
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アンダーグラウンド 4K デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

4.5

二つの世界を繋ぐ回転の美しさと恐ろしさを、スピルバーグはフェイブルマンズで映画のフィルムになぞらえた。今作で子供の出産を照らした自転車のライトは、戦後、映写機に変わっている。現実と虚構を繋ぐ媒介として>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.2

一気に過去作を振り返っているが、ほんとにきちんとした監督ですね。パワー・オブ・ザ・ドッグ級の女性目線の西部劇の傑作でした。

相変わらず道に迷う、車すら失うアメリカ人の話。見えない目的地、変わらない景
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.0

働き口を求めて北上するウェンディは故郷を持たない。自分の意思で停滞からの脱出を試みた前2作の主人公よりも、切実な現実に迫られている。

彼女は車を失う。ニューシネマ的逃避ではなく、生きるために画面内を
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.3

「悲しみは使い古した喜び」。忘れ難いフレーズ。

ヨラテンゴ好き(11月の東京公演もよかった)かつ温泉巡りが趣味の私にドンピシャの内容で、美しい映像にじっくりと浸ってしまった。夜の森の穏やかさと物悲し
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.0

急に始めたライカートマラソン。デビュー作にして面白いし完成度高い。

八方塞がりのフロリダ。母離れできない男はタバコに火が付かず、家庭のために夢を捨てた父親は拳銃を落とし、結婚後も家庭に関心の持てない
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.5

舞台の映画化だそうで、脚本や演技は良いが、映像的には「室内劇を退屈せず2時間持たせる」以上の魅力が感じられず、これくらいの評価に。

スタンダードサイズを占有するチャーリー(ブレンダン・フレイザー)の
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EO イーオー(2022年製作の映画)

3.8

なんじゃそりゃな映像の連発で、銃のポインタで狙われる場面が特に面白かった。

モチーフは多いけれど、どれも深入りし過ぎていない。オクジャみたいな屠殺の話でもあり、ブレッソンよろしくキリスト教的な深読み
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

目指す目標としての青い月が、滴る汗、揺れる光、それぞれの目に宿る炎へ連鎖する

主人公の宮本はジャズを信じ抜き、才能があって努力もする天才。敢えて内面には踏み込まず、好き勝手に暴れさせる事で、彼を王道
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.7

・コヨーテの鳴き声とか、こんな突飛な音の発想どうして出来るんだろう?と思っていたが、即興演奏や実験音楽にこれほど思い入れのある人だとは知らなかった。最小限の音で状況を描く「ウエスタン」冒頭20分の解説>>続きを読む

ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.3

100周年記念作品に相応しい大ホームランではないが、内野安打で出塁くらいはしてる

社是と言える「星に願いを」を軸としたストーリー、水彩タッチの背景と3Dキャラの融合、伝統に敬意を示すバンビ的相棒と現
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ワンス・アポン・ア・スタジオ 100年の思い出(2023年製作の映画)

4.1

歴代キャラが絵から飛び出し、ディズニー社で記念撮影する短編。

続編や実写化ばかりでイマジネーションが一番足りないのは近年のディズニーでは?とよく批判してきたが、100年分のコンテンツ力でぶん殴ってく
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

2.6

これは好き嫌い分かれるでしょうね。私はダメでした。

制作の背景はこれ読むと大体わかる
https://note.com/story_study/n/na4dff9fb9db0

ブランディングにアー
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

年末モードで昼から飲んだ流れで見に行ってゆったり満足 あんまり書くことがない

・風とか鏡で軽やかに映画してる。捨てられる不条理に振り回されながら、拾えるものは拾って歩く。冒頭で拾うことを咎められた女
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市子(2023年製作の映画)

3.6

傑作になり損ねた良作…という印象でした。似ている「さがす」や「怪物」よりは好きです。完全なネタバレは避けていますが、展開にはある程度触れています。

▽映像はもう一つ
トンネルに始まり、鳥籠を模した金
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.9

皆さんなかなか手厳しい…!絵画みたいな映像がテンポ良く流れるリドスコ節に身を任せ、バリーリンドン好き世界史も好きなので2回見てしまった。4時間版も楽しみ。

・数字しか残せない虚しきバリーリンドン。バ
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