とらキチ

狂った野獣のとらキチのレビュー・感想・評価

狂った野獣(1976年製作の映画)
4.6
中島貞夫監督追悼上映。35mmフィルム上映。
シネフィルの大先輩に上映している事を教えていただき鑑賞。個人的に「キルビル」を観たばかりなので、このような作品は非常に刺さる。
逃亡を図る2組の凶悪犯が同じ路線バスに乗り合わせたことによって起こるパニックを描いたカーアクション。この時代特有の迸る熱量にヤラレてしまいそうなほど良かった。
ピラニア軍団の皆さん総出演のプログラムピクチャー。しくじった銀行強盗・バスジャック犯コンビの川谷拓三・片桐竜次の両氏はもちろん、コワモテなのに白塗りチンドン屋の志賀勝、不倫中の小学校教師役の野口貴史、安定の役人顔で捜査課警官役の岩尾正隆にどう見ても白バイ警官に見えない室田日出男等々、それぞれにちゃんとオイシイ見せ場がある演出がニクい。そしてピラニア軍団の“助け人”、主演の渡瀬恒彦。もうグラサンを掛けた、登場ワンカット目の佇まいが既に“猛獣”。ぶっちゃけコノ人が本気を出せば、アッという間にバスジャック犯を叩きのめして片がついてしまうのではないかと思うほどの迫力。さらにはバイクからバスへの飛び乗りやバスの運転からの横転、ほとんどのアクションシーンを本人が実際に演じている!というのが本当に凄まじい!
中島貞夫監督作らしく、ハードコアなれどところどころでユーモラスな要素も配し、78分という尺を感じさせないほど中身が濃くて、非常に上手くわかりやすくまとまっていた。
今回の上映の事を教えていただいた大先輩曰く今作は
「(悪評高い)ブロックブッキングシステムが産んだ傑作」
とのこと。これぞけだし名言!
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