LEONkei

自由の幻想のLEONkeiのレビュー・感想・評価

自由の幻想(1974年製作の映画)
4.0
この世で法も倫理も道徳も社会的常識をも無視し、差別主義者だとか狂人だとか変態だとか言われようが自由に描く事ができるのは幻想だけだ。

しかし非常識(実はそれが真実であっても)な幻想ですら言葉や形にすれば、木っ端微塵に社会から抹殺されるのが世の中。

ルイス・ブニュエルと脚本家ジャン=クロード・カリエールが互いに見た夢を擦り合わせ作ったと言う、連鎖的不条理の世界。

不謹慎で下品なブラックユーモアも、高級な軽いコントを観ているような作品。



先日、夢のような幻想を見た。

フレンチの三つ星高級レストランで最初に出された料理が、春巻きのような薄い皮で包まれた1cm角のサイコロ状のモノだった。

一口でそのサイコロ状の物体を口に入れると、ガ、ガ、ガリッと歯が擦れボロボロと砕けながら舌の上で砂状に広がる。

あまりの苦さに吐き出しそうになるが飲み込めず、思わず店員に「こ、この料理は何なんですか?」と問いかけると。

「これはルーブルに展示してあります〈ミロのヴィーナス〉の胸下が欠けた滅多に手に入らない大理石の欠片です」と平然と答えた。

ええっ…こ、これはとてつもなく貴重で絶対に食べることができないシロモノではないかと、一瞬「これは凄いぞ」と思った自分が馬鹿なのか結局は唯の石じゃないか…。

中々飲み込む事ができず今すぐ吐き出し口を濯ぎたかったので、トイレに駆け込み洗面台脇のゴミ箱に口の中に残った大理石の欠片を吐き出した。

そして口を濯ごうと洗面台の蛇口を捻ると、その蛇口の穴からギッチリ詰まった大量の生きた黄金色のメダカがウヨウヨと出てくるではないか…、そこでハッと我にかえる。

気がつけば打ち合わせ帰りの電車の中、周囲を見渡し何事もなかったかの様にそっと目を閉じた。

夢のような幻想を見た..★,
LEONkei

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