間諜X27の作品情報・感想・評価

「間諜X27」に投稿された感想・評価

ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督&マレーネ・ディートリッヒの映画は、『モロッコ』以来の気がする。1931年のパラマウント映画。

「1915年戦火のウィーン、X27と記されたスパイがいた」と始まるこの映画、冒頭からいきなり『ストッキングを上げる女の足』の場面から「おっ、マレーネ・ディートリッヒ!!」と衝撃的な登場。

娼婦役だが、「生も死も怖くない」と言うM・ディートリッヒに「稼ぎたくないか、間諜(スパイ)にならないか」と誘う男。M・ディートリッヒは「オーストリアを裏切るのね」と言って、酒を買いに行くふりをして、その男を警官に突き出す。しかし、その男は、諜報部のお偉いさんだった。
その時に、M・ディートリッヒはピアノを弾く。そのとき頭ボサボサであるが、とても綺麗。
お偉いさんは警官に「明日、あの女を連れて来い」と言って去る。
連れてこられたM・ディートリッヒが長い廊下を歩くが、『歩く女性を見て“美しい”と思ったのは久しぶり』の感覚。ため息が出るほど美しい。

続いて、連れてこられたM・ディートリッヒに「コログラン大尉の妻だったのだな。私をだまして逮捕させる腕と、愛国心もある」と見込まれる。そして、M・ディートリッヒは間諜X27となる。

X27としての最初の仕事は、「美しく青きドナウ」が騒々しく流れる仮面舞踏会。
そこで一人の売国奴の軍人の証拠(タバコに仕掛けられた秘密)をX27が掴んで、軍人は拳銃自殺する。

二人目のターゲットの軍人=大佐は、手強い。誘惑されない、X27の手紙を盗み読む、拳銃の弾を抜いておく、電話も回線切っておく、などヌカリない。
ただ、この場面で「スパイ(X27)が、普通、指示された手紙を持っているか?」というあたりは、スパイにあるまじき失敗。というか脚本の失敗だと思う。

こんどは、敵(ロシア)のアジトに変装してもぐりこんだX27は捕まってしまう。しかも、音符で書いた暗号も見つかり、音符も燃やされる。「ロシアに危険な者は消す」と言われて万事窮すかと思われたが、睡眠薬を飲ませて逃げる。

戦火が激しくなっていく様は、二重写しで描かれる。
今度は、ロシアの大佐を捉えるが、X27が逃がしてしまう。
軍事裁判で「愛を感じたから、大佐を逃がした」と話して、軍事裁判で死刑になる。
死刑執行の瞬間、X27に好意をよせる大尉(バリー・ノード)が叫ぶ。「女も男も殺したくない!これは虐殺だ!」
大尉は連れて行かれるが、・・・そして物語は終盤へ。

戦争に巻き込まれた女スパイの活躍と悲劇を描いた作品であったが、マレーネ・ディートリッヒがとにかく美しい。
彼女の魅力は、特徴のある目元と細い眉毛、そして足のラインではないだろうか。
戦争反対を叫びながら、女性の愛情も描いた、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の素晴らしい作品であった。
初)Mディートリッヒの魅力満載の女スパイ映画。スッピン姿で男を騙すシーンもひきつけられるが、最後の銃殺シーンで執行人に微笑みが助けを請う笑みと死を観念した諦めの笑みどちらも想像せられる演技には参った…Sヨハンソンあたりでリメイクして欲しいなぁ~
ディートリッヒというコスプレ女神。視線、影、反射、ディゾルブが画面をひたすら賑やかしほぼ全て室内劇であることを忘れさせる。銃は射つためでなく、サーベルは切るためでなく、目隠しは目を隠すためでない。タバコも吸う以外の役割、ピアノも音楽を奏でる以外の役割が与えられる。最期は職業的所作が反復され女神からガス被害者同様一介の市民となり死が与えられる。終盤ピアノの部屋の窓の光。
スカウトされた名もなき美女が、度胸と色気でオーストリア諜報機関のスパイとして活躍。しかし、ロシアのスパイを愛してしまい、彼を逃がしたコトで銃殺刑に処されてしまう。そんな美貌のスパイをマレーネ・ディードリッヒが熱演してる一作で、ひたすらマレーネ・ディードリッヒを愛でる作品。特にメイドコスの田舎娘ぶりは別人かと思うほどの無邪気さが可愛いし、最初と最後の方に出てくる若い中尉にレディとして扱われて微笑む辺りも妙に愛らしい。
なのに、逆に男優の方は表情が何というか……特にクラノウの作りまくった笑顔は、モノクロ映画なだけに際立った不自然さ。そんなどうでもいいようなトコロが、妙に気になって仕方ない。

もう一つ残念なのは、恋愛オチに走ってしまったことか。ご時世もあるんだろうけど、女は愛で失敗する、というお約束感満々なのがちょっと……。
yayuyo

yayuyoの感想・評価

5.0
最も好きな女優、マレーネ・ディートリッヒ。
彼女の気高く聡明で近寄りがたい姿、
スクリーンの中からこちらを見やる眼差しにいつも魅惑されてしまう。

そんな彼女の姿を遂にスクリーンで見る機会が訪れました!
今年一番嬉しい出来事だー!!(まだ1月だけど)


ベートーヴェンの3大ソナタの1つ、「悲愴」第1楽章と共に幕明け。
この曲が、この物語の全てを語っているかのよう。
(余談ですが、この曲はベートーヴェンにしては珍しく自ら「悲愴」という表題を付けた作品でもあります)


伝説の女スパイ、マタ・ハリをモデルに作られたとも言われる今作で、マレーネはコードネーム「X27」として暗躍します。

マレーネ演じるスパイが、あるシーンでメイクを直すんですよ。
サーベルを鏡代わりにして、リップをさっと塗ってね。
で、元の位置に戻りなさいって目で語る。
めちゃくちゃ格好いいのです。


もうその描写が見事で、あースタンバーグにやられたな、ディートリッヒ見事だな。
と、感服しました。
映画史に残るシーンと言っても過言はないと思います。
rico

ricoの感想・評価

3.8
スタンバーグって人はなんでこんなにもトーキーの扱いに戸惑いを見せるのか。最初の導入部のなんとも言えなさから、仮面舞踏会に入った途端にいきいきとしだす。
全体的に台詞も少なめ。
色んなファッションに身を包んだディートリッヒは妖婦さながら、ノーメイクのような田舎娘から、ジャンヌ・ダルクを思わせる裁かれる前など、すべての表情が魅力的であり、スタンバーグも見せ所の足をうまく使う。(梯子から見える足!)
話の繋がりに「うーむ」となるが、シーンの切り替わりの緩やかなオーバーラップも新鮮で、やはり闇と光のシーンはとても美しく、嫌いになれない。
knight

knightの感想・評価

4.3
一番好きな映画と言われて悩む一本で、
一番好きな女優、
そして、これまで見た映画の中で一番好きな場面もこの映画の中にある。
スクリーンで見るとこんなに黒が濃いんだなあ。
松岡正剛がディートリッヒの自伝から引用していた下りをさらに引くわけだから要は「孫引き」ってことだが、ディートリッヒに言わせればスタンバーグがディートリッヒを自分好みの役者に完璧に創り上げたような例は、他にはヘルムート・バーガーを徹底してああいうキャラクターに仕立て上げたヴィスコンティあるのみ、だという。

正直言えば今観るとかったるい演出だし(律儀な古典的なショット連鎖とか緩いオーバーラップの活用、たるい展開など…)、脚本にもよく分からないというか腑に落ちない点はあるが、ディートリッヒの神話的な輝きとヴィクター・マクラグレンを観るだけで価値がある(リー・ガームスの陰影に満ちた撮影がその輝きをさらに引き立たせる)。

個人的にはイヴァノヴィッチの『ドナウ川のさざなみ』のその都度違ったアレンジでの登場(ディートリッヒが2度目に弾く際には、ピアノの位置に据えられた固定カメラに向かって足早に向かって来て顔の超クローズアップとなり、直後怒りに任せたように乱暴に弾き始めるシーンは戦慄的だ…)、またはベートーヴェンの『月光』第1楽章の普通ではありえない激烈な演奏がストーリー展開において心理的な意味を担っている点に1番興味を惹かれた。当時のハリウッド映画ではクラシック音楽がよく使われて、かつ何らかの意味を担わされていた。

古典とは常に新しい発見があるものの謂いだが、このスタンバーグ作品などはちょっと古びたかな…。80年前の作品である。古典的な価値と今観て面白いか、は必ずしも一致しない。むろん80年前でもやたらと面白いものもあるし、新しくてもつまらんものもいくらでもある。当然だけど。
ディートリッヒといえば個人的にはこれ。
孤独と強さの滲み出るコントラストがたまらない魅力。
処刑時の一連の動作はベストアクトと言わざるを得ない。
陰影を効かした撮影も素晴らしい。
諜報機関の役人を部屋に招き入れるときの影にはぞくぞくする。
kyon

kyonの感想・評価

3.5
ディートリッヒの脚線美から始まる、でチュールを頭にかけ、黒いファー付きコートに身を包むディートリッヒ。

仕草や表情がいちいちいかしてる。
スタンバーグのディートリッヒが1番綺麗だな。

あとは衣装も実験してる感じが出てて面白い。
チュール、ファー、黒、は『上海特急』で進化して出てくるし、バントンのクリエイションが垣間見えていい。

ディートリッヒのタバコ吸う姿が大好き。

どアップのカットと最後の瞬間にやられた。
>|