天使の作品情報・感想・評価

「天使」に投稿された感想・評価

ENDO

ENDOの感想・評価

4.2
部屋と部屋の断絶が生む演出。今扉ひとつを使ってここまで緊迫感を表現できるか?だからこそ同じ空間に3人がいる時には誰も真実を語らないし破れそうで破れない幕の上で焦りつつ楽しんでいる。上流階級の戯れではあるが絶妙なまで魅せる絶品。すかさずフェード・インしてくるディートリッヒにため息。行間の魔法。
lemmon

lemmonの感想・評価

4.4
泣きわめかない大人の恋愛。愛されていることはわかっているのに、それでも稀にかえりみないときがある夫に寂しさを感じ、偶然出会った真っ直ぐな男に惹かれる。

主要3人の落ち着いた雰囲気にルビッチの粋な演出が冴え渡る。見返すと新たな発見が幾度となくあり、また解釈もいろいろできる。

愛し愛され、別れたいのに別れたくない。奪って欲しいのに、失いたくないと、目の前の落ち着いた大人の恋愛とはうらはらに、奥底にある複雑な感情が、ジワジワとマグマの如く溢れ出しそうで、それでも溢れ出ない。

面白さが何とも言い難い。クラシック映画らしく、そういくものか?と思うが、こういう恋愛があってほしいと画面に釘付けになる。
kazu1961

kazu1961の感想・評価

4.2
▪️Title :「天使」
Original Title :「Angel」
▪️Release Date:1946/07
▪️Production Country: アメリカ
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2020-042 再鑑賞
▪️My Review
まさしく、“Angel”がふさわしいマレーネ・ディートリッヒ主演で、ハーバート・マーシャル、メルヴィン・ダグラスが出演しているキネマ時代の贅沢な作品。ルビッチ監督のセンスのある洒落た世界観で大人の男女の駆け引きを見事に描いた作品です。
とにかくぽんぽん飛び出す大人の男女の洒落た会話の一言、一言が素晴らしいですね。そして、キネマ時代のパリを彩る絢爛豪華なディートリッヒの衣装も見ものです。
本作はメルシオール・レンギールの舞台劇「天使」の映画化作品です。
物語りは、英国の外交官の妻マリアが多忙な夫の目を盗んでパリに遊びにいき、魅力的な英国紳士アンソニーと知り合います。ところが、彼が夫の知り合いだったことから気まずい三角関係が始まるんですね。。。
ルビッチ監督得意の艶笑コメディですが、ディートリッヒは登場人物に共感できず、出演に乗り気ではなかったらしいです。自伝でもただの凡作と切り捨てているんですが、随所に大人の男女の駆け引きが粋に洒落に描かれていて、完成度の高い作品だと思います。
それにしてもこの時代のディートリッヒのメイクが気になってしまいます。。細い弧を描いた眉、メーテルのようなロングにカールされた睫毛、お美しい尊顔なのにどうしてもそっちに意識がいってしまいました(笑)。

▪️Overview
ハンガリーの劇作家メルキオール・レンジェルの戯曲を基にエルンスト・ルビッチが監督、マレーネ・ディートリヒとハーバート・マーシャル、メルヴィン・ダグラスが出演した。
受話器のアップやここぞという時に表情を見せない所など、感嘆するシーン、セリフが多々ありました。個人的にはコートを羽織るシーンで終わって欲しかったですが、この時期のハリウッドではそれは厳しいのかもしれないですね(今のままでも十分尾を引く終わらせ方ですが)。
エルンスト・ルビッチ監督、マレーネ・ディートリヒ、それだけでもう面白くないわけがないのです。

謎めいた始まりからの怒濤の口説き。もうね、直球。すごいね。映画みたいな男女の会話も楽しいけど、名前も知らないままのキスとか、やっぱりパリはすごい。

危険な香りがする天使、天使に言い寄る男。パリの花売りの少女(?)の目線が物語る事のなりゆき。見せないで観せるこの手法。こういうの最高に好きですルビッチ監督!!!

ハズキルーペも思わず割れちゃうほどのエンジェルヒッププレスにびっくりした。寝ている無防備にあれは痛い。まさに寝耳に水、青天の霹靂。土日の朝にやってくるうちの3歳児のボディプレスを思い出してしまうから、なんだか他人事じゃない。

そして、いちいち会話が楽しい。

楽しいけど、そこには揺れ動く女心と罪悪感のスパイスの味がしてどこか危うい。

また競馬場?

またこの展開?

ウィンダミアみたいだしルビッチさんの十八番なのかな。秘め事を秘めねばならぬ会話の妙。面白いなぁ。

ちぎっては投げちぎっては投げのパンちぎりの天使。給仕たちのやりとりだけで、見せずに観せるこの手法(略)

それにしても、男と女ってどうしてこうも出逢うタイミングが噛み合わないのか。理性が、しがらみが、道徳が人を縛る。だがそれもまた人生。頭では分かっていても、その衝動は押さえきれない。一度火がついた心は、たとえ消したと思っても、胸の奥底で燻っていて簡単には消せやしない。

しかして役者は揃った。いったいどうなってしまうのか。世界情勢よりも気になるクライマックス。いやあ面白い。

ラスト1分の衝撃にシビれた!!!!

ルビッチさん!!ついていきまーす!!



以下、本作のレビューと一切関係無いので読み飛ばしてください。

⬇️

夏の吸血映画で荒んでしまった私の心に一服の清涼剤を

個人的特集


天使たちの季節


天使っていつ来ると思いますか?

私は来ないと思います。

どうしてもって言うのなら断言します。

クリスマスです。

クリスマスにこそ天使はやって来るのイメージ。

あとはそうですね、秋から冬にかけて、秋雨前線が終わる頃ぐらいからやってくるイメージもあります個人的に。


それは、人生の秋から冬にかけてやってくる天の使い。


果たしてどんな天使たちに降臨していただけるのか、焦らずじっくりと確かめていきたいと思います。
エルンスト・ルビッチ監督作品。
ハーバート・マーシャル演じるイギリスの外交官フレデリック・バーカー卿がジュネーブで国際会議に出ている間、マレーネ・ディートリッヒ演じるマリアは、夫に内緒でパリにいるロシアの亡命貴族の夫人に会いに行く。夫人のサロンでメルヴィン・ダグラス演じるイギリス人ハルトンとマリアは出会うが・・・という話。

不倫もので、三角関係もの。バーカー卿の屋敷内での3人の立ち位置も三角関係を表している。
きれいな建物、きれいな衣装、整った見た目の登場人物達。全体的に綺麗に整った映画という印象。バーカー卿の屋敷内の物の置き方にも意匠を感じられる。鏡の使い方が上手い。

マレーネ・ディートリッヒが主役で、作品内でエンジェルと呼ばれる。ソフトフォーカスの顔のアップが多く、魅力的に映される。他の作品で見られるような男勝りなところは薄い。
マックス・オフュルスの映画にも見られるように、衣装がキラキラしているシーンがあった。

出てくる男達もナイスミドルな感じ。準主役二人の男もいいけど、執事グラハムを演じるエドワード・エヴァレット・ホートンがいい。他のルビッチ作品にもよく出ているけど、この人が出ているシーンは面白い。いい脇役。
演出は粋なんだけど、ストーリーがあまり好きじゃなかった。

ディートリヒはわたしのミューズの一人です。
ルビッチ・タッチ!
2015/04/25 ~ 2015/05/15
おしゃれなおとなの映画。
扉を効果的につかった演出、窓越しに部屋のなかを流れるように見せていくカメラワークなど、ルビッチ一流のスタイルを堪能できる。
公園のベンチのシーンでは、消える女とそれを追う男をいっさい見せることなく、それを眺めている花売りの老婆の視線だけで見事に表現しており圧巻。

二度ピアノで弾かれるワルツはレハールのあるオペレッタのなかの二重唱。
Ricola

Ricolaの感想・評価

4.5
ルビッチ監督のおしゃれでちょっと風刺の効いたラブコメ。

マレーネ・デートリッヒが「天使」のように美しくて愛らしい女性を演じる。


映像からも気品あふれるおしゃれさを感じる。
特に冒頭の窓の外からの流れるようなショットが素敵だった。


個性的な執事たちの会話が笑える。
ビリー・ワイルダーの「麗しのサブリナ」の召使いたちの会話も、ここからインスピレーションを受けたのではないかと勝手に解釈してみると面白さが増す。

彼らの様子から微妙な三角関係の穏やかでない過程がわかる。 
3人の食べ残しから推測する、彼らの感情表現は見事だと思う。

そういった、見せずにしていかに見せるかという表現力には感激してしまう。

他にも公園での花売りの女性の表情からわかる状況描写なども、対象を見せないのに間接的に状況がわかるというのが面白い。

二人の思い出の曲のときの気まずさなど、3人の俳優たちの微妙な表情による空気作りもとても巧み。

そして二人の男から「天使」と言われるのだが、彼女はそういった非現実的存在に近いような手の届かない存在に果たしてなりたいのだろうか。
そこに彼女の寂しさを感じる。

健気で芯のある女性をデートリッヒが演じたことで、より彼女の魅力が引き出されていたと思う。

先が読めない展開だが、なぜか安心感はそこまで失われない。
優しい着地点にもつい顔が綻んでしまう。
ハラハラしたりキュンとしたり、3人の男女の思いにそれぞれ感情移入できる上に的確でおしゃれな表現に感動してしまう、そんな作品だった。
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