SPRINGSTEEN & Iの作品情報・感想・評価

SPRINGSTEEN & I2013年製作の映画)

SPRINGSTEEN & I

上映日:2013年07月23日

製作国:

上映時間:124分

3.7

「SPRINGSTEEN & I」に投稿された感想・評価

ブルース・スプリングスティーンのファン以外、誰が見るんだという映画。何十人かの世界中のファンが何故彼を好きかと語る。感動的な話もあるが、「ふざけんな。俺の思い出を語らせろ」と思うのが普通ではないだろうか。俺だけか。

 ロック界には何人もの音楽の天才、詩人としての天才、パフォーマンンスの天才、そのすべてを兼ね備えたとんでもないカリスマが何人か存在する。彼は違うかもしれない。彼は今、見かけは只のロック爺だ。しかし彼が歩いてきた道の偉大さは計り知れない。彼は溢れ出る言葉の洪水をロマンティックな表現でなりふり構わず若さを武器に登場した。

ニュージャージーの裏通りのチンピラの風情で路上の孤独と幸福の後に必ず訪れる不幸を歌い上げた。しかしある時期から、只のロックミュージシャンである事よりも、何か弱者の希望となり得る何者かの役を引き受ける覚悟をしたのではないだろうか。

年を取って、いくらでも溢れ出たメロディーや言葉はなかなか生まれてくれない。しかし彼は引き受けた役を誠実に引き受ける。彼がその役を引き受ける決意は「闇に吠える街」の頃ではないかと思う。このアルバムから歌詞に「約束の地」「代価は支払わなければならない」「今夜、誰かが痛い目に会う」等、その後ずっと続くキーワードが続く。

 映画評ではなくなったけど、書かずにはいられなかった。彼がこの映画では表現できない程の男だと云う事を。

1985年の代々木の初公演。アメリカでは4時間超えは当たり前だというライブは日本では消防法かなんかで短くまとめられていたが、ラストの「ツイスト&シャウト」を彼は終わらせようとして終わらせなかった。何度も何度も。ああこのまま永遠に続いて欲しい。これは永遠に続くんだと確信した。会場の照明はもう点いている。ショーは終わった。でも彼は演奏をやめなかった。今もまだ。

盟友のマイアミ・スティーブが何故マイアミと呼ばれているか記者に聞かれたスプリングスティーン「奴はマイアミに行った事があるんだ。街では奴だけだったよ。だからマイアミってみんな呼んでた。」なんだよそれ?この話が物凄く好きだ。物凄く物凄く好きだ。
何度でも観たい。
愛しき市井の人々の情熱。ファンにスポットを当ててボスの魅力を逆説的に伝える。発想の勝利と言いたいが、そんじょそこらのアーティストではこの説得力にはたどり着けなかっただろう。

出待ちで写真を撮った男の子。

振られた当日、そのことをプラカードに書いて掲げたらステージでハグされた男子。

路上で15分17秒一緒に歌ったホームレス寸前のストリートミュージシャン。

20年間再婚相手に、ボスの舞台に上がるといい続け、遂に実現したエルビスおじさん。

全部映像が残ってる。凄い。

他にも印象的な話がたくさん。もちろん全部ボスとのことなんだけど、そこから垣間見えるのは彼ら彼女らの生活や人生。まるでボスの歌の人物のようだ。

ファンの発言がメインだけど、ボスのパフォーマンスも初期から最近まで垣間見ることができる。

入門編とは言わないが、非常に優れた音楽ドキュメンタリーだと思う。
ブルースの話しながら感極まって泣くおっさん。
Yuya

Yuyaの感想・評価

3.9
コンサートフィルムではないから ボスのあの汗だくのパフォーマンスを期待しちゃうと 肩透かしかもね
その分 歌うという行為とその衝動 でもってその影響がよく伝わってくるドキュメンタリー
ボスが同じ時代に歌ってくれている事で 喜び 泣いて 叫んで 挫けず 打ち勝って 生きてこれたって語る人々と 銀幕越しに思いっきり共感した後に 無性に"Bobby Jean"が聴きたくなった1本