林真理子の『不機嫌な果実』に続いて小池真理子(いつもどっちがどっちだかわからなくなるってば!)の官能ラブストーリーをウォッチ!
こちらも不倫モノと言えなくもないが、性欲に駆られた幼馴染み男女の切ない三角関係モノって方がしっくりくるのかな、と。
やたらと文学的な台詞回しといい、板谷由夏・高岡早紀・村上淳のアンサンブルが心地良く、これまた意外と楽しかったですね。
(高岡早紀の"魔性の女"っぷりは確かに同性から嫌われそう…笑)
"決して繋がれない愛"という設定に、(別にファンでも無いから詳しいことは知らんが)マッチョ思想&「男らしい美しさ」にこだわっていた三島由紀夫を組み合わせたことによって、話としての面白さが倍増した気がする。
(草食男子化した現代から見ると色々とツッコミを入れたくなるけど、全ては三島を引用することでまぁ納得できちゃう感じ…)
ただ、「文学少年がタトゥーを入れるのか?」(演出じゃなくてムラジュンの自前のタトゥーだよね?)と気になってチョット調べたら、(完璧な肉体に憧れていた)三島由紀夫も刺青に対して関心があったらしいからいいのか……でも、あのデザインは三島的じゃない気もするけど!
(肉体的な不完全さを抱えてしまった正巳がタトゥーを入れるまでの経緯を勝手に想像して切なくなれたが…)
官能シーンよりも、個人的には映画冒頭の「街の大衆食堂で孤独に焼き魚定食を食べている板谷由夏の姿」にこそ一番グッときました!笑
(例えばオゾン監督作『まぼろし』でシャーロット・ランプリングがファストフード店で孤独に食事してるシーンとか…昔から孤独に食事する中年女性の醸し出す哀愁感に妙に惹かれちゃうんです)
以下、余談。
数年前に一人でヨーロッパ旅行した時に、エストニアのホテルで朝食を食べてたらドイツ人のマダムと相席することになったんだけども、(スマホをいじりながらチラ見したら)小説を読みながらトーストを齧るマダムの姿がカッコ良すぎて見惚れてしまい……そしたら目が合って「どこから来たの?どこに行くの?」的なお決まりの質問をされて、ドギマギしながらヘタクソな英語で会話を交わしたことを思い出しました。
別に哀愁感とか全然漂ってなかったけど「薬指に指輪してる…ってことは既婚者だよね?でも一人旅行?もしかして未亡人だったりして?」とか勝手に想像しちゃって……そしたら単にマダムは夫と子どもをドイツに残して、一人でロシア(サンクトペテルブルク)まで自転車旅行中だったそうで……それはそれで「行動力スゲー!」と感動しました。
で、こっちが先に席を立って「お先に失礼します、良い旅を」的な言葉をかけたら「素敵な時間をありがとう」って返してくれて(最後までカッコいい!)……そんな言葉をサラッと言える人になりたい、と強く思いました(笑)