砂塵にさまようの作品情報・感想・評価

「砂塵にさまよう」に投稿された感想・評価

「別離」のアスガー・ファルハディ監督の長編デビュー作。

新婚生活を送る青年ナザル。
裸足で割れたガラスの上を歩く人が映ったテレビ映像を観てつぶやく。
これだ。これが愛するということだ。
何言ってんのと妻に言われて、物を軽く投げ合って、笑いながらじゃれていたら、窓ガラスを割ってしまう…。
不幸の予兆。
夫婦の生活は長く続かなかった。

離婚後、ナザルは元妻の年金を払うお金がないため、警察から追われ、駐車してあったライトバンに隠れて逃亡を図る。
ライトバンは走り出す。どこまでもどこまでも。
揺られながらナザルは眠りにつく。
目を覚ますと、ライトバンが砂漠の真ん中で停まっていた。
車の持ち主の老人に見つかって、追い出される。
走り去るライトバン。
こんなところに俺を置いていくな!と泣きべそをかくナザル。
砂漠をさまよっていると、またライトバンを発見する。
助けてくれ!と言っても、一切無視する老人。
しかし、老人も砂漠から離れない。

あんた、家に帰らないのか?
老人は返事をせず、黙々と、砂漠であることをし始める。
それは蛇取り。
老人は、蛇取りで生計を立てながら、車上生活を送るノマドワーカーだった。
青年は老人の真似をして蛇取りをしてみる。

取ったどぉおおお!(濱口優風)

蛇を捕まえて喜ぶのもつかの間、蛇に指をかまれて、痛い痛いと叫びまわる。
老人は青年の指を切って、病院へ連れて行く。
その車中で、老人はようやく青年とまともに口をきき始める。
「何があった。話を聞かせてくれないか」
朦朧とする青年の意識が途切れないように話し掛け続ける。
武骨な老人は、生死をさまよう青年に徐々に心を開き、
やがてノマドになる前の秘密を打ち明ける。
そして…老人は最後にあることを決心する。

砂漠で繰り広げられる、青年と老人のヒューマンドラマ。
「別離」を彷彿とさせるシーンもあるが、だいぶ作風が違う。
これはこれで結構良い。
主人公のナザルは情けないくらい軟弱。
そっけない老人の渋さが超かっこいい。
映画の大部分を青年と老人の2人だけで魅せる。
デビュー作ならではの粗さはあるが、やはり描き方がうまい監督さんだ。
ファルハディの長編デビュー作らしい。親の反対で愛する妻と離婚せざるを得なくなった男が、彼女に慰謝料を払うべく毒蛇捕りする話で、後の彼の作風とは全然違いどちらかと言うとアミール・ナデリみたいなタッチだった。ラストは泣いた…。
ただ、相変わらず窓ガラスが割れるのは後の『火祭り』なんかと共通してる。
毒蛇捕って袋に入れるシーンはかなりハラハラする。イラン映画はこーゆーシンプルな設定でサスペンスを味わせるの得意やな。
yuria

yuriaの感想・評価

4.1
蛇と濃い顔がGOOD 丁寧な近年の作品から比べると勢いがあり、がさつで、だからこそ長編処女作ということが可愛らしくおもしろい

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