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『アーフェリム!』に投稿された感想・評価

4.4
【暴言の根幹は縦割り社会の摩擦にあり】
地主の金を盗んで逃げた奴隷を追う法執行官と息子を描いたヒューマンドラマ映画。

JAIHOで初ラドゥ・ジュデ作品を見ました!
19世紀のルーマニアを舞台にロマ民族を奴隷として扱ってきた歴史を風刺したコメディ・ドラマで、ドゥニ・ヴィルヌーヴの作家性にブラックユーモアを掛け合わせた作品に感じました。

「社会に抗うも、社会のシステムの中では駒・歯車として逆らえない」「世界は綺麗に見えているけど、裏には縦割り社会が存在してその受難を受け入れる」…がドゥニ・ヴィルヌーヴの主題の一つだと思う。本作はそういった要素を踏襲しつつも、軋轢をブラックユーモアに描くところに魅力があると感じました。

法執行官は至る所で暴言を吐き、「公正になる」と謳うもコレラと思われると態度を思い切り変えて罵倒したり、外国人や貴族へ本音と建前を使い分けるペルソナを実行する「手のひら返し」を平然とするクズをします。
当初は救いのなさを感じるけれども、物語が進むにつれてその「手のひら返し」する行為の裏側の不平・軋轢に笑いながらもキレてる、というオーラに徐々に変わるのが魅力的に感じました。

同じ穴の狢、同じ釜の飯を食う、というのが似合う映画で19世紀当時の奴隷社会を風刺した映画ではあるが現代社会にも通ずるものが幾つか存在して現実と地続きにして、でもユーモア溢れるタッチに昇華したのは面白かったです。

この映画で印象的だったのは「役職ごとに人間の暴力性を孕んでいるけど、そこに摩擦が生じている」ことで、それが顕になるのが司祭と法執行官のやり取りだと思う。
冒頭には司祭と法執行官とのやり取りがあって、猫を被る法執行官が垣間見える。けれども帰路の途中で見る人形劇では司祭に暴力を振るう姿に法執行官も民衆も笑っているギャップが見える。
行きで司祭と法執行官が出会った野道も、帰りでは捕まえた奴隷を担いで司祭と同じ立ち振る舞いを法執行官が行う。
ここに、役職ごとに暴力性を孕んでいるというか「不平不満」の摩擦から人間は徐々に攻撃的になる人間社会のコミュニケーションそのものを描いているのが面白かったです。
人間を馬車の馬のように歩かせる姿と馬車に乗る姿をわざと同じ絵面に乗せる姿も相まって、奴隷のように人を動かす行為を様々な形で投影して更に現実社会に地続きさせるのが強烈でした。

そんな摩擦や「公正さ」であることは文字通りになるのではなく、「情を与えて社会に抗っても駒として逆らえないどうしようもなさ」に仕方なく「公正」に振る舞う抑圧を見せた傑作でした!


ラドゥ・ジュデ作品を見たくてJAIHOに登録して、近日中に「I Do Not Care If We Go Down in History as Barbarians」も配信されるのでそれも見ようと思います!
4.0
どれだけ悲惨で都合の悪い歴史でもそれを変えることはできない。
歴史修正主義の圧力が強くあまり描かれて来なかったルーマニアの黒歴史(19世紀初頭ワラキアにて、ロマ人ジプシーの奴隷制)をユーモアを交えてシャープに描く。まさにルーマニア版西部劇。実際に当時の教会に残っている史実を参考にしながら作られたため、結構事実に近しい内容なのでは。当時の支配者や農民、正教会、司祭がロマ人にどのような惨たらしい態度を取っていたかがわかる。
貴族に雇われて妻と浮気したあとに窃盗をして逃げたジプシーを追う法執行官と見習いの息子の話。コンスタンティンがジプシーは人間か?を問う描写が印象的。奴隷制、暴力、恐喝、隠蔽、差別、汚職。人種や宗教の区別だけで顔も名前も人権も不当に剥奪された人々への正義と、歴史修正主義への抵抗を根底に置いた貴重な作品。司祭の偏見に満ちた見解も面白かった。"悪魔の群れの構成員はもみあげのユダヤ人だ"とか、"ユダヤはだまし、トルコは蛮行に出る。愛と敬意のルーマニアは苦しめられる。ドイツ人はタバコが好き、ハンガリー人は大食漢。トルコ人は多妻。"最後のアラブ人は歯が多い、、?"でちょっと笑ってしまった。
菩薩
3.3
何を楽しむべき映画なのかが最後までよく分からなかったが、おそらくこの沸き立つ「愚かだ…」の感情こそが大事なのだろう。悪の序列を終始見せられている様で、始めは嫌な奴だと思っていても終盤につれてまだマシだなと思えてしまう様になる。宗教であったり金銭であったりを元に発生していく権力の構造を維持させる為に蔑ろにされる人間性と言うのは今の時代も変わらぬわけだし。ここからどれだけ進化したのだ?と言うのが本作の主張なのかもしれないし、『お嬢さん』とは対極の男子諸君が股間を押さえてしまう様な最終盤の展開は有害な男性性に対しての監督なりの抵抗の形なのかもしれない。にしてもほんと貴族の帽子のデザイン何よあれ…。

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