夜間中学の作品情報・感想・評価

「夜間中学」に投稿された感想・評価

ろうそくの火を後ろの席の人に渡していくシーンが美しかった。
傑作。
以前ここにも投稿したが、私の高校には定時制と通信制が両方あって、全日制の私と彼らの3人は同じ机を共有していた。そして、ふとしたことがきっかけで、互いに顔も知らない我々はしばしのあいだ文通した。高校と中学・3人と2人の違いはあるが、本作はまさにそれ。決して悪意を抱いているワケではないけれど事情を知らないために無意識に相手のことを決めつけていた2人が、文通を通してお互いを知りおもんばかるようになってゆく話。心温まるいい話。

「日大芸術学部がOBの協力を得て、念願の自主制作した作品」(DVD解説文より)だそうで、わずか43分という中編だが参加者が凄い。監督は「ゴジラ」から2年後の本多猪四郎、脚本は成瀬巳喜男や今井正作品常連の水木洋子、出演は小林桂樹・小暮実千代・宇野重吉・坊屋三郎・三木のり平ほかという、とても自主制作とは思えない錚錚たるメンツ。初々しい主役の2人の脇を芸達者が固めた、本多監督らしい優しさと穏やかさに溢れた作品である。

自分たちの文通はここまで深いレベルに達していなかったけれど(何を書いたか殆ど憶えていない)、“定時制の奴ら” と敬遠していた気持ちが文通を通じて消えたという記憶はある。そんな体験とシンクロしたので読後感はすこぶる良い。