妖しき文豪怪談の作品情報・感想・評価

「妖しき文豪怪談」に投稿された感想・評価

『片腕』川端康成

原作を忠実に再現したその映像は、妖しくも幻想的でまるで異世界をさ迷っている気にさえなってくる。罪悪感と恐怖と願望が渦巻いて、どちらかというと怪談というより悪夢に近い。
娘の片腕と会話して、娘の片腕を愛でる「私」
頬擦りしてみたり、胸にあてがってみたり、そしてついには口にくわえてみたりして…どうしよう、気を緩めるとただの変態にしか見えない。原作通りの台詞が醸し出す官能的な雰囲気は素晴らしいんだけど、如何せん絵面がヘンタイすぎる…
耳から入る情報と目から入る情報を同時に受け止めることができなくて大混乱。


『葉桜と魔笛』太宰治

姉さんこわいよう
そう言って抱き合う姉妹の姿は涙なくして観られなかった。言葉少なめの主人公の気持ちにようやくついていけそうになった終盤、唐突にそして疑問符だらけの魔笛の音が妖しく響き渡る。色んな感情をこの瞬間にまとめてぶつけられたので当てられてしまいました。
良かった。良かったんだけど、手ぶれがすごくて塚本監督、俺無理ですこの手ぶれ。今度『野火』観てみようっと。
Oヘンリーの短編のようで決してそうではないこの作品。可愛そうだけではないところがすごく好きです。


『鼻』芥川龍之介

火の鳥鳳凰編の我王が出てくるわけですよ。イメージ、あくまでもイメージです。
それは人の業ゆえか、徳の高い僧とは名ばかりの一人の弱い人間の話。とても人間臭くて、そしてあまりにも弱い。これは『鼻』の後日談。最後の台詞に全てが籠められてました。
人間の心の奥底をかきむしる芥川龍之介ならではの『鼻』。盛りすぎた感は多少はあったけど、この中では一番好きかも。そして一番怖かった。音楽がやたらいい。


『童子』『後の日の童子』室生犀星

それは、ちょっとでも強く触れると溶けて崩れて無くなりそうな淡くも儚い親の願い。分かる。泣ける。
苛立ちをぶつけ合い、どうにもならないことで言葉に刺を立てる。相手を責めたその先には、いいことなんてなんにも無かったよ。口調こそ穏やかではあるが、見たことあるなぁこの感じ(笑)
そして、無性にそうめんが食べたくなった。
明日の昼はそうめんでお願いします。
mas

masの感想・評価

3.7
おもしろかった!風刺的だったりした。どこか暗さが付きまとう感じがぐっど
ネモ

ネモの感想・評価

3.5
授業で鑑賞

太宰治って『人間失格』だけを読むかぎり、まーじでナルシスト、自分大好きかよって感じで
読んでるこっちが恥ずかしくなってくるからあんまり好きじゃないんですよ
もちろん個人の見解だけど

でもこの『葉桜と魔笛』は傑作ですね
ここまで考察しがいのある作品はそうそうない
この作品を綺麗な姉妹愛の物語だと思ってもらっちゃあ困りますよ
ちょっと映像では分かりにくかったけど!!もはや分からないけど!!

大学で専攻している分野が分野なもんで、文学作品を狂ったように読まされるわけですが、本当にさすが太宰治

他の作品は見てないです
Qちゃん

Qちゃんの感想・評価

3.4
NHK BS放送で2010年11月13日(土)18:30に放送した「妖しき文豪怪談 秋の夜長の怪談会」をまとめたもの。リアルタイムで観てた。

番組は、日本文学史に名を残した4人の文豪たちの怪談を有名映画監督がドラマ化、更に、知られざる異界文化の魅力を多彩なゲストが読み解く、というもの。

個人的には同じくNHKでやってた『太宰治短編小説集』や『星新一ショートショート』、『シリーズ・江戸川乱歩短編集』ほどではなかったけど、まあ面白かった。

映像や雰囲気では「片腕」(原作・川端康成×監督・落合正幸)が一番だった。これ、フェティッシュなエロティシズムと、霧の中で彷徨っているような、どこか冷たい空気に満ちていて、悪夢と現実の狭間で夢うつつになったような、一種独特の空間が出来上がってました。雰囲気がかなり好き。

話の良さと号泣できるという意味では、「葉桜と魔笛」(原作・太宰治×監督・塚本晋也)は良かった…。いい話だった…これは泣けるわ。なんか日本版O.ヘンリーものといった感じの話だった。

「鼻」(原作・芥川龍之介 ×李相日)は、原作の持つ、前面に出されていた面白味に隠されている、人間の残酷さをピックアップして、その後の和尚の話を創作したものだった。昔、中学校の授業で「羅生門」の続きを考えて書かされたことあったけど、こういうの考えるの楽しいよね。

「後の日」(原作・室生犀星×監督・是枝裕和)は、4つの中では一番インパクト薄かったんだけど、物悲しかった…。
「鼻」松重豊。お茶の水博士が頭にこびりついて。

「後の日」加瀬亮目当て。是枝監督なの知らなかった!
dodo

dodoの感想・評価

-
美しき若い娘の片腕に異常に固執している中年男の愛。
片腕が、一番ぐっときました。
言葉の使いかたや、表現がエロティクで、文学的。
安部公房の箱男を初めて読んだとき、覗くこと覗かれることの快楽について考えたが、今度は腕を愛することと、腕を相手に貸して、使われるということの快楽について考えてしまった。
soratobi

soratobiの感想・評価

4.0
真夏の夜に、"妖しき文豪怪談"。

『後の日』
原作:室生犀星 × 監督:是枝裕和

終始、漂う涼感。
光と陰、水辺に反射する童。
向こう側で揺れる緑。

静かで美しい映画。

是枝監督作品の中でも、
映像は一番好きかもしれない。
2010年に放送されたNHKのTVシリーズ。
妖しい話や物の哀れの話集ドラマ。

①「片腕」川端康成×落合正幸
美(処)女厨&腕フェチ。
②「葉桜と魔笛」太宰治×塚本晋也
純粋な姉妹物、出征する青年との淡い恋情。
③「鼻」芥川龍之介×李相日
醜形恐怖症。主人公が不憫過ぎる。
④「後の日」室生犀星×是枝裕和
早生した愛児との幽霊譚。

個人的に好みは③④②①の順。
marika

marikaの感想・評価

3.0
高校の頃にテレビで鑑賞。室生犀星「後の日」が素晴らしい。そして加瀬亮がたまらない。
「山のあなた 徳市の恋」然り、和服とカンカン帽の組み合わせにこんなにも胸打たれた相手は、後にも先にも彼だけです。
slow

slowの感想・評価

-
加瀬亮×中村ゆり、その納涼感たるや。
カランコロン、失われつつある風情。
耳にとても心地良い。

是枝監督が映した光と影は、見えるはずのない境界線。これが一番好みだった。