憶えてる?の作品情報・感想・評価

「憶えてる?」に投稿された感想・評価

tukino

tukinoの感想・評価

4.6
記憶の中の記憶を繰り返す冒頭から熱い。時の経過による記憶の相違、曖昧な記憶の共有と倒錯性を逆手に取り彼と彼女の保管された記憶の断片をコラージュしながら詩情的な挿入でフラッシュバック編集する熱量に泣く。多重記憶的に配置された洗濯物や並行して流れる2つの交錯する意識と重なる記憶のドッド音符的なイメージ挿入、彼女が失くした帽子の行方に黒電話やトランクケースを映す描写に記憶の共有で愛を紡ぐ2人の取戻す事が出来ない過去と縺れの哀情がこれでもかと響く。暗い記憶を持つ物憂げな彼と対照的にポジティブな彼女が思い起こす同一の記憶の中で、心情差異を端的に可視化する景色や服装(彼の暗い記憶の中の服装は寒色系に対し彼女の記憶の中では暖色系の服装を身に纏い、互いの苦い記憶では2人とも地味な服装となる)の複雑な物語を徐々に紐解かせる視覚的変化が面白い。覚束ない曖昧な記憶の波に放流され、記憶で紡げ無かった2人の思い出が嗅覚で蘇る確かな現実。際限なく繰り返される記憶の果てに、エンドロールで塗り替えられた景色の変化がエモ過ぎる。
しもむ

しもむの感想・評価

3.8
記憶の不思議を題材にした一風変わった恋愛映画。
例えば誰がと同じ映画を観ても、その感想が人によって違うように、同じ思い出を共有してるつもりでも、実際はその内容は違っていたりする。
映画では、主演2人の出会いの場面がまさしくそうで、1人の記憶の中では明るくロマンチックな場面になっているのに対し、もう1人の中では暗く寂しげな場面になっている。
そういう記憶のズレだったり、思い違い、記憶の美化など記憶に関してのあるあるを演出で表現してるところが、この映画の特徴でもあり面白い部分。

記憶×恋愛という点で、「エターナルサンシャイン」を連想させるのだけど、時系列をいじっている点や、映像のお洒落っぷりという点でも、この映画はとてもよく似ている。
監督のインタビューなどは読んでないけど、「エターナルサンシャイン」に影響を受けてるのは間違いないんじゃないだろうか(赤髪の女性がキーマンとして出てくるのもそれっぽい)
それだけに「エターナルサンシャイン」好きな人には是非観て欲しいし、多くの人に受けそうな内容だと思うから、ぜひ一般公開して欲しい。

ちなみに主演の2人、どちらも美形なのだけど、どちらもモテまくってる辺りが来憎たらしい。
[サブリミナル的な記憶の流れが過激] 97点

ド傑作。なんともムカつく題名だが、傑作であることに変わりない。是非とも"憶えてられるかっ!"と言いたいね。記憶を扱った映画が好きなことは周知の事実であるが、ここまで過激にやられると若干引く。最初の40分くらいは、そんなサブリミナル的な映像の挟み込みを"意識の流れ"のように導入してるんだが、やりすぎた結果本流がどこか分からないので、なんの"意識"に対する流れなのか分からず辛かった(そして寝た)。これだとただの連想ゲームだよね。しかし、それによって組上がった過去現在未来の映像のジェンガを、引っこ抜きつつ更に積み上げていく後半は最早快感だった。それぞれのピースには色があって、別れたら黒く染まるし、復縁したら色を取り戻す。単純なゲームのように、記憶をいいように改竄・誇張・省略していく様を映像で魅せきったのだ。でも流石にもう一回観ないと全容解明には至らんだろうな。

流石に難しすぎたのか、帰りのエレベーターでは"もうちょっと簡単にしても良かったのに"と言ってる人がいた。確かに、と思った。
糸くず

糸くずの感想・評価

3.6
どんなに美しい愛の記憶も、時が移ろいお互いの心が混ざり合ったり離れたりを繰り返すうちに、色が変わっていってしまう。でも、それは決して悪いことではなくて、一度は「詩が粥になる」こともあるかもしれないけども、再び詩に戻ることだっていくらでもあるのだと思う。記憶は不確かで、どこかに完璧な保管場所があるわけではないからこそ、美しい色に塗り替えることができる。色あせたら、また塗り直せばいい。そういう映画なのだと思う。
凝った映像と凝った構成で、キモいカップルのウザいやり取りをだらだらと格調高く見せられて辟易した。
Pinewood

Pinewoodの感想・評価

3.0
記憶は偽る…作中の台詞にあるように、その都度姿を変え繰り返される過去。事の終始だけでなく物の本末さえ自在に操れる映画、そして計算され尽くした撮影と編集の妙が堪能できる秀作。
本作に真実はなんだったのか?を求めるのは野暮、ドビッシー他クラシックとともに供される美しい映像に身を任せる至福の106分。「イタリア映画祭2019」最後にいい映画に出会えて大満足。

なんか「去年マリエンバートで」を思い出したのは私だけ?
記憶で男女の愛を描く、構成が興味深い作品。元々明解な決着をつけようとは考えていないので、時間・空間が自由自在に。なのでしっくり来た感は全くなく、その点達成度の不満も多し。"記憶の美化""男女間の位置付け"については大変参考に。主演女優良し。‬
死んだ愛犬を凍らせて記憶を留めようとした「彼」が、香水屋で様々な女性の思い出を喚起した挙げ句泣いちゃうベタさにズコーっとなっちゃうけど、逆光や繋ぎを駆使した記憶コラージュで再構築するプチマリックみたいな内的ベクトルの感触と、普遍的なラブストーリーを畏れないやり口になんだか好感。あんなクソ∞環境でも映像と編集に唸る。危うさこそ命みたいなの。
Reina

Reinaの感想・評価

2.8
2019/04/30 イタリア映画祭  有楽町朝日ホールにて鑑賞。


ストーリーは摩訶不思議で理解し難かったけれど、映像と音楽には引き込まれるものがあった。霧がかった映像に、主人公たちを客観的に見ているように感じさせられるカメラワーク。ドビュッシーの「夢」がこの作品のメインテーマなのかな。
主人公の2人に役名が付いていないからかわからないが、2人の難しく複雑な気持ちに感情移入することが少なかった。
記憶というものは自分の中でどんどん塗り替えられることができて、良くも悪くも現実とは異なってしまうんだな。「彼」の回想シーンで何度も出てくるプールのシーンがまさにそう。コンプレックスで苦い思い出を持っていたとしても、単なる自分の思い込みであることも然り。


後から考えてみると、この作品は後から気になる点が幾つも出てきて
そういう意味で自分にとって記憶に残るものだなあと思う。
アメブロを更新しました。 『【イタリア映画祭】「憶えてる?」彼と彼女が歩んだ長い時間をそれぞれに思い出して描き出します。』
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