静かで繊細かつピュアで心が洗われるような純粋なラブストーリーであり、大切な人と過ごせるありふれた日常が愛しいと思える個人的に今年随一の作品だった◎
優しすぎる世界観、それに寄り添う穏やかで心地よい…
記憶。
視覚、聴覚、味覚、触覚。
記憶はとても美しく、時に残酷。
いい思い出も悪い思い出も鮮明に覚える。
覚えておきたい思い出も、そうでないものも、心の奥底に残るか消えるかはだれも予想できない…
親しくなりきる前の段階で関係性が固定されてしまったふたり。
記憶が毎朝リセットされてしまうから、これから毎日いっしょに過ごしたとしてもこれ以上深い関係にはなれない。
その現実に少しずつ疲弊していく様…
宮下奈都・文藝春秋