ムクシンの作品情報・感想・評価

「ムクシン」に投稿された感想・評価


東京国際映画祭
ワールド・フォーカス部門

【 甘くて苦い、忘れられない恋 】

世界で愛され続けるヤスミン・アフマド監督の最高傑作「ムクシン」。負けず嫌いな少女オーキッドと転校生ムクシンの小さな恋の物語を描く。真っ直ぐな思いが重なり合い、すれ違う、なかなか結ばれない二人の恋。好きだからこそ嫉妬もするし、もっと近づきたいと思う。少し背伸びをして髪を整えたり、2人乗りができるよう自転車に布を巻いたり、そうした小さな行動に胸がキュンとした…
まだ未熟な2人だから、時に感情が思うように伝えられず、空回りしてしまう。
大人になって、苦しかったことも含めて掛け替えの無い思い出となるのだろう。きっと、あの時の言葉、行動が愛おしくてたまらくなるはず。「ムクシン」は何年経っても心にのこり続ける「忘れられない恋」の物語だった。

(鑑賞者:あみ)
白

白の感想・評価

5.0
帰る場所を見失った気持ちは、時間の流れに取り残されたりしないということ。かけがえのないものは失われたあとに現れるということ。
作文にまとめることができない少女の夏は、徹底的に孤独で美しい。
マレーシアの宝といってもいいヤスミン・アフマド。

神様はいじわるだ。たったの6本撮らせただけで彼女を連れていかれた。それだけ映画の神様に愛されていたのか。

TIFF2009で『タレンタイム』を観て以来、尊敬する監督。そしてマレーシアのこともずっと気になる国。本作品の上映前に4Kフィルム修復の過程を見せてくれたが、日本の技術がこういう形で生かされて本当にうれしい。

ジャワ人、インド人、華人が多く住む多民族社会マレーシア。熱い国。時折り激しく降る雨も涼しい風を運んでくれる。厳しさの中に優しさあり、マレー人の強さや朗らかさ。誰よりも優しい監督の人間賛歌を堪能した2時間だった。
始まってすぐの父の楽団の演奏で、スコールの中を母と娘が手に手をとって踊り出すシーン。なんと幸せな時間か。

作品は監督の少女時代を反映しているようだが時代はいつなんだろう。街中には子供たちがいっぱいいて空き地で、カバディなどして遊んでいる。もう邪魔なくらいたくさんいた。
凧揚げに木登り、お菓子作り。みな手作りなのがいい。あの凧揚げの夫婦はあっちの世界の人間なんだろうか。

物語の軸となるのは10歳の少女オーキッドと12歳の少年ムクシンとのひと夏の恋。いやまだ恋未満かな。

あー えっちゃん何してるかなぁ。。。

えっちゃんというのは小学校の同級生の2つ上のお姉ちゃんで、体が大きくってやる事が大胆で何より面白かった。
サッカーのリフティングも木登りも秘密基地の作り方も、超人の似顔絵もみんなえっちゃんに教わった。
幼いオーキッドを見てすぐに彼女のことを思い出した。あの男勝りの少女はどんな大人の女性になったのだろう。

ヤスミン作品には他にも年代の違うオーキッドが出てくるようで、この作品のオーキッドは一番若い。彼女はクラスの悪ガキのカバンをバスから放り出すくらいの事は平気でしてしまう。女の子の遊びはつまらないと言っていつも男の子たちと一緒になって遊んでいる。あの悪ガキたちに殴りかかる恰好もおかしかった。身体全体でポカポカって音が聞こえてきそうでもうマンガみたい。

この作品の優れたところはこういう些細な描写にある。キャラクターが実に自然。なかなかこんなふうには撮れないなあと感心する。監督はストーリーをどう描くかに注力している。きっとその場で水が流れるように自由に演出を加えていく。なかなか真似出来そうでいて、、いや実は簡単にやれるものなのかもしれない。
まずは撮影をする前に固い頭と身体をほぐす。固定観念を外すってところが一番大切なのだろうな、きっと。

「ムクシン」というタイトルだが、脇にいる人々もみんな主人公。気になった人々

まずあのムクシンのおばさん。お手伝いのヤムさんとは旧友らしく二人で菓子作りをしているシーン。さっきまで笑っていた彼女がふと物思いに沈みこむ。また家の庭先の落ち葉をただ箒で掃いている姿にも彼女の人生が感じられた。

あとムクシンの兄フセイン。母の愛に飢え、満たされない思いを抱えて夜の街を彷徨っている。あの悲報を受けた夜、ムクシンは黙ってそっと兄の体を抱きかかえた。

それにお隣りのカウボーイ野郎の奥さん。娘のアユに隣りの夫婦がいかにマレー人としての誇りがないかって悪口を日夜吹き込んでいる。夫はバイクは磨いても妻とはろくに会話もしない。案の定、他の女性とも結婚することになり家を出て行ってしまった。妻が妊娠中にも関わらず。。この辺り、一夫多妻制の複雑なところだ。

そしてオーキッドの父。ソファのお金を払わずに回収されてしまう。この街に家具屋は12件ある。この手を使えば新しいソファを3か月ごとに3年はいけるゾって。いつも飄々としているが彼には彼なりの一本筋のとおった信念があるのだろう、たぶん。

ラスト、すれ違ったままの別れ。でもその傷を一生忘れられない大切なものとして大事に胸に抱えて生きていく。

至福の時間はここで終わらない。更にその後のあのカーテンコール。監督の父が弾くピアノに合わせ母が歌う。周りでスタッフ達も唄い踊って自由に動きまわる。幸せのサンドイッチで劇終となりました。

若いころに少しだけ映像制作の現場に身をおいたことがあるが、あんなに幸せそうな人たちは見たことがなかった。
幸せな人たちが作った料理がまずいわけがない。おいしいものはこういう仲間たちが作り出す。ということが分かった映画でした。
aymm

aymmの感想・評価

4.5
東京国際映画祭にて「ムクシン」4K修復版観てきました!

ヤスミン・アフマド監督によるオーキッド3部作の最終作。

初恋の切なさと家族のぬくもりが穏やかに描かれたヒューマンドラマです。

雨に打たれながら歌い踊るはじまりから
スタッフや家族総出のラストまで
こんなにも愛に溢れる映画ある?って胸が熱くなりました😢

「細い目」を観てるひとには分かるサプライズに歓喜…!
とはいえ私は3部作の2作目「グブラ」を未見なのです…どうにかして観たいです。
ユーゴ

ユーゴの感想・評価

4.3
ユーモアのセンスが最高な映画はそれだけで好きになってしまう
避けられない不幸とかすれ違い、感情の難しさを描きつつ、最後まで人間の愛を信じる監督の優しさに包まれる映画だった
SDSmovie

SDSmovieの感想・評価

5.0
『ムクシン』観賞。
初恋を思い出せますか?と問いかけられてるように淡々と無声映画のように台詞も少ないが、開始からエンドロールまで優しさに満たされていて、心地よくてずっとヤスミン監督の世界観に浸っていたくなるほど最高な時間を過ごせるし、大切な思い出として残していきたいほどの名作です。
【I will never forget Mukhsin.】

あなたは初恋を思い出せますか?

日本人の祖母を持つヤスミン・アフマド監督作品の4K修復版をTIFF2020にて観賞。本編が始まる前にフィルム版との比較を見せられ、4Kの美しさ、そしてこの作品を後世に受け継いでいこうとする関係者の精神がスクリーンに映し出される。

私自身ヤスミン監督作は『タレンタイム』のみの観賞だが、やはりこの人が作る優しい雰囲気や柔らかい音楽は世界中を平和にできると思う。

本作では主に〝初恋〟がテーマ。誰もが一度は抱いたであろうあの感情を10歳の女の子オーキッドと12歳の男の子ムクシンの淡くて切ない恋物語で映す。
お互い好きと分かっているにも関わらず、正直になれないお年頃。だからそれが実る事もなく、いつの間にか遠い所へ行ってしまう。心も体も大人へと成長し、新たな出会いがまた訪れる。しかしあの頃のあの初めて味わった感情というのは、忘れ難く、心の中に大切にしまってあるのだ。

邦画でも台湾映画でもない、ヤスミン映画。しかし近しいものもあるからこそ、我々日本人にとって彼女の作品は刺さるのだろうな。雰囲気もそうだけど、凧上げとか木登りとか我々小学生くらいの時に公園に行ってやってたではないか!

そして本作はかなり笑えるシーンが多い。劇場内でも声を出して笑う人がほとんどで、正直言語を必要としない笑いが多かった印象を受けた。『タレンタイム』でもそうだったが、言語なんて関係ないんだよね。本作でもマレー語、英語、中国語と登場する。

うん、頼むからDVD・Blu-ray化してくれ。
Bouncy

Bouncyの感想・評価

-
最高や、、
マレーシアの田園風景とシューマン
さらっとしたユーモア
淡い恋
TIFFにて、4K修復版。

最高。
自分はタレンタイムより更に好きだった。

ひと夏の忘れられない出会いと別れ。
人生の愛おしい瞬間。

子どもの夏休みモノに弱いんだよなぁ。

ユーモアも可愛くて笑えて最高。
劇場でも何度も笑いが起こってて良い空間だったなあ。

【一番好きなシーン】
冒頭の歌うたって雨の中踊るシーンからずっと最高。
初めに自転車に乗ってトロイメライがかかるタイミングでは鳥肌が立った。
凧をあげるところも泣いちゃいそうなくらい良かった。
ウニ

ウニの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

TIFF鑑賞。ほぼ満席。

隣の方が気になって物語に入り込めず。痛恨の判断ミス。

守りたいマレーシアの文化や社会。
>|