渡辺儀助、77 歳。大学教授の職を辞して 10 年―妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋に暮らしている。料理は自分でつくり、晩酌を楽しみ、多くの友人たちとは疎遠になったが、気の置けない僅かな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を招いてディナーを振る舞う。預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。も…
渡辺儀助、77 歳。大学教授の職を辞して 10 年―妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋に暮らしている。料理は自分でつくり、晩酌を楽しみ、多くの友人たちとは疎遠になったが、気の置けない僅かな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を招いてディナーを振る舞う。預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。だがそんなある日、書斎の iMac の画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。
長塚京三が性的においのする役をやるの珍しい気がする。
前半、淡々と丁寧な暮らしぶりが描かれているところが心地よかった。やはり己のみっともなさは見ないふりをして、虚構というぬるま湯に浸かっていたい。…
日本版デヴィッドリンチみたいだったな
ラストのぐちゃぐちゃな混沌具合なんてマルホランドドライブやんけって思った
しかしまあ独り身のジジイから生まれる妄想なんてみんなこんなもんなのかね
現実と虚構の境…
モノクロだがパキッとしていて現代的な印象。
前半の丁寧な生活から徐々に不穏が加速していき、何だが長い走馬灯を見ている気分。
やはり考えさせられるのは「敵」とは何か。
自分とかこれまでの人生とかかなぁ…
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