女殺し油地獄の作品情報・感想・評価・動画配信

「女殺し油地獄」に投稿された感想・評価

ちょうど2年前の今ごろ、脚本家・橋本忍の映画特集で上映されたものを観た。
歌舞伎では女形の印象が強いが、当時まだ20代の中村扇雀(現・坂田藤十郎)が、ほぼ同年齢の河内屋与兵衛をリアルに体現して演じ上げ、また、宝塚退団後、川島雄三作品で名を上げた新珠三千代が、豊島屋の女房お吉を典型的な好人物として演じている。持ち前の艶っぽさはあっても、彼女が与兵衛との間に色恋など挟まる余地がない人物だからこそ、終盤の悲劇性が際立つのであって、後継作品に見られるような余計な脚色は無用なのだ。
さらに、実父・中村鴈治郎が義理の父・徳兵衛を演じて、なさぬ仲の親の悲哀を滲ませ、名女優三好栄子が母の慈愛を無理なく呈している。加えて、本作では少しムッチリしている香川京子が、両親と兄の間で身も心も病んでしまう妹役を好演している。これが、のちの「赤ひげ」の役柄に繋がったのかも。
冒頭の華やかな野崎参りの場面から悲劇の終演まで、展開を知っていてもなお目が離せないのは、次々に現れる名優たちの懐かしさばかりではない。近松の世話物とはまさにこうあるべきという正当性と、今の時代に散見される若者の凶行と本作の与兵衛の姿が、見事に重なってしまうことの恐ろしさに気づかされるからだ。後世に残る名画とはこういうものを言うのだろう。
浪速の至宝、坂田藤十郎翁の御冥福を祈ります。
umihayato

umihayatoの感想・評価

5.0
最後の最後までこの映画が何を言いたいのか分からなかったけど
ラスト30秒で回収
こんな映画もあるのか

どうしようもない人間
犯罪を犯した人間
そいつが裁かれるのを見て
「あぁ、俺も私も生き方気をつけなきゃな」
と思うでもなく
石を投げ、罵声を浴びせ
気持ちはわかるが
これじゃどうしようもない人間も
どうしようもない犯罪も
なくならないはずだわ。
これ、堤真一が出ていて五社英雄監督バージョンあった気がするんだけど、探しても出て来ない。
フィルマにもない・記憶違いかな?樋口可南子も出てたような?
Kuma

Kumaの感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

油問屋のドラ息子は店名義で金を借りては遊女に入れあげる生活を送る。しかし遊女が他の客といて激怒。喧嘩の末、失態をおかしてしまう。

父は後夫で強く出られない。母は我が子可愛く甘やかしてしまう。妹は病気ながら兄を気遣っている。しかし本人あまりの性根の汚さに勘当を言い渡す。

家を飛び出したが、金が返せない。明日までに返さないと、磔にされてしまう(文書偽造)

向かいの油問屋で、普段から気遣ってくれる若妻に相談しに行った折、両親の思いを聞くことになる。両親からなけなしの金をもらうが、足りない。若妻に借りようとするが、「これ以上ねだるなんて」と断られてしまう。
事情を説明しわかってもらうが、あまりの必死さに嘘と思われ、しかも殺されると若妻が騒ぎ立てる。もう止まれない主人公、若妻に襲いかかる。

実家に逃げ帰った主人公。
家族は逃げるよう手助けするが、「親の言うことを聞かない奴の末路を大阪中に見せてやる」と家を飛び出していった。


一環してフヌケな主人公が凶行に至るまで、全然そんな素振りが見えなかった。ここまで狂わせる脚本はすごい。

内容を知らずに見たが、人情を素晴らしいと思いつつ、難しいと思った。少しくどいけど、筋が通ってるから見ていて面白い。

要所要所で決める主人公。ラストの心意気かっこいい。
いやいや凄かった。

生粋の屑である老舗の油屋のボンボンが行き着く所まで行く話。

ほぼ家族と近所の優しい奥さんと、入れあげてる遊女との会話劇。主に揉め事。
事件らしい事もあるものの、やり取りの部分がメイン。

与兵衛は既に皆から持て余されているのに、次々に問題起こし厄介者の色をどんどん濃くして行きます。
悪の魅力とかとは無縁。ただ、面倒くさい親戚のおじさんみたいな哀しみがある。

与兵衛にうんざりしながら家族側に心底同情して観ていると、最後の30分で登場人物の印象が二転三転して、大変驚いてしまった。

いろんな思惑を勝手に感じとれるようになってるというか…

やっと更正?しようと決意した所にあの家族の行動を見て、この男は栄養を与えられすぎて根腐れしてしまっていたんだなと思いました。
mingo

mingoの感想・評価

4.1
シネマヴェーラにて鑑賞。
ちょっと面白すぎた。何よりも俳優陣の演技が素晴らしく、中村鴈治郎と中村扇雀(実際の親子)に加えて、香川京子、新珠三千代の美しさは眼福もの。眉そり&お歯黒してるにもかかわらず違和感なく美しいと思える美貌を纏える人は今の時代いるのだろうか…

松田優作verと堤真一verも存在する近松門左衛門の人形浄瑠璃が原作で、時代性もあるだろうが、間違いなく本作が一番の傑作。観れる機会はそうそう無いと思うが、おすすめ。
期待しすぎたか、演出にそんな感動はなかったが、主人公の家族が口々に言う「まるで夢をみているようだ〜」っていうセリフにはゾクゾクした。新珠三千代の死に際の顔も素晴らしい。あんな新珠三千代みたことない。

このレビューはネタバレを含みます

近松門左衛門もの。学がないので筋を知らぬまま鑑賞。もちろん鑑賞後にwikiチェック。。

おどろおどろしいタイトルと違い、親の気持ち子知らず話のように物語は進むが、終盤きっちりタイトル通りに地獄を見せてくれる。

子を思う親の気持ちを見せて観客に涙させつつ、そのまま地獄絵巻になだれ込む演出が素晴らしい。そこでの新珠三千代と中村扇雀の二人芝居も圧巻。黒澤の『酔いどれ天使』(1948)を思わせるところもあった。

原作を変えてしまってでも自首をさせた監督の意図は少しでも救いを持たせたかったからだろうか。だったら安易で面白くない。最後まで反省をみせない主人公の人物像を混乱させるためならば非常に納得。

殺人を知った家族が口々に「夢見てるみたいだ〜」みたいなことをマヌケ面で言うのが最高。誰もが現実を受け入れられないというか直視出来ないのがリアルだし、それゆえ一瞬間を置いてゾッとさせられる。
eshu

eshuの感想・評価

3.5
昔とんでもない映画観たことあったなと思い出してレビュー。大学で近松門左衛門の論文書いた時に観て、その凄まじい画に衝撃。人形浄瑠璃に作られた話の映画化だけど、題名からして際どい。。。中身もギトギトでずるっずる。やばい。でもこの話何度も映画化されてるんだよね。なんかあるんだと思う。映像化したいなんかが。