キャラバンの作品情報・感想・評価

「キャラバン」に投稿された感想・評価

独り言

独り言の感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

壮大なネパールの尾根尾根を舞台に迫力ある素晴らしい映像と共に、そこに住む人々の暮らしを覗くことができる。

ストーリーはスッキリしているが実直に作られており、辺境に暮らす人々の知恵と勇気と血の通ったドラマでありドキュメンタリー。役者も話も本物。
キャラバンという、過酷でありながらも彼等そのものといっていい特殊な状況を通し、自然への畏敬や親から子へ世を渡ることの強さなど、色々なものが残った。
今は、どれほどこの生活は残っているだろう。記録映像としても価値のある作品だと思う。
木が1本もないヒマラヤの高地での生活。麦を求めて山越えする。道がなく、岩壁つたいで進む。岩の土気色に対し奈落の透き通った水色が、死に近いほど美しい景色がみえるということなのか。山場は一変、大吹雪になり過酷そうなロケが偲ばれる。
yuko

yukoの感想・評価

3.8
ヤクを率いて生きるために塩を積み麦と交換するために、ヒマラヤの険しい山々を超えて町に向うネパールの高原民族の暮らしを生々しく描いた作品。厳しい自然と闘いながらのキャラバンの旅は生死を賭けた過酷な旅である。

演技経験のない現地の人々を起用しての撮影とのことで、人々の表情にリアリティがあった。鳥葬や、雪中行軍、旅を案ずるまじないの儀式など、現代社会に生きる自分には想像を絶する、彼らの営みがリアルに描かれている。脅威であり、また恵みももたらす自然と永く共生してきた彼らの知恵は、ただただ神秘的に映った。

監督は写真家でもあるエリック・ヴァリ。写真家ならではの、美しい映像の切り取りかたが秀逸。1980年代からこの地に住み、映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」ではユニット・ディレクターも努めたそうだ。
製作・脚本協力は俳優でもあり、「ミクロコスモス」の製作や「WATARIDORI」の製作総指揮に携わったジャック・ペラン。
音楽は「ミクロコスモス」のブリュノ・クーレ。

オール・ロケを敢行した標高5,000メートルを超えるヒマラヤ山脈の映像は圧巻。そしてブリュノ・クーレの音楽との融合がただただ美しい。

彼らと密接に関わるヤクたちとの暮らしに、「もののけ姫」を観たときのような、自然や動物と共生する人間本来の暮らしの原風景の美しさ、尊さを感じた。生死をかけた雪中行軍のシーンでは「八甲田山」を彷彿とさせるような、雪山の恐ろしさに震えた。時に神のように、時に悪魔のように人を翻弄する、ヒマラヤの山々の神々しさに畏れを抱かずにはいられなかった。山には人智を越えた力があって、神々が住んでいると信じてきた民の心がわかる気がした。
Katongyou

Katongyouの感想・評価

3.5
厳しさも含め、チベットの大自然がとても美しくて印象に残るいい映画だったな。
漆原

漆原の感想・評価

3.2
実際の原住民をキャストに、チベットのキャラバンの厳しい通商の道のりを追う。
キャラバンとは動物のヤクを運搬手段にして通商するネパール高原民族の商隊のこと。

出演している原住民の顔立ちや演技が、普段見慣れているハリウッド映画などでは見られない類のもの。長老役の人が特に良い。
コンビニに行けば米も塩も手に入る環境がいかに有り難いか、コレでもかと思い知らされる。一見の価値ありな作品だった。
noriko

norikoの感想・評価

5.0
驚くほどの名作。
動物のヤクを運搬手段にして通商する、ネパール高原民族の商隊をキャラバンと言います。
本作はオール現地ロケで、実際にヒマラヤに長期滞在をし、標高5000メートルに何度もチャレンジして、キャラバンの移動を撮っています。

灰色の荒涼とした山、真っ白な猛吹雪に見舞われる山、青みがかった夜明けの山、緑がかった深夜の山。
もうひたすらに、その映像は美しい。
特に夜明けの青みがかった空の美しさは、筆舌に尽くしがたい。
息をのみましたもの。
それと同時にあまりの異様さに、まるで別世界にいるような恐怖を覚えました。
これが現実の美しさなんて!

本作はただキャラバンの移動を描いているわけではないです。
過酷なキャラバン移動を率いるのは誰か、そこにはドラマがあります。

長年キャラバンを率いてきた長老ティンレの息子が、事故死します。
しかしティンレは、次期長老の座を狙って、カルマが息子を殺したと信じて疑いません。
カルマは村の人望が厚く、有能な超イケメン(←個人的にここが最も重要)です。

そして誰がキャラバンを率いるのかと同時に、いつ出発するのかも彼らにとっては大事な問題です。
長年山とともに生きてきたからこそ、山の怖さをよく知っています。
そのため最も安全な旅になる出発日を、占いで決定してきました。
しかし若いカルマは、迷信だと一笑に付し、独断で出発日を決定します。
さて彼らの運命は?
ティンレはどうする?
という話が本作の中心になっています。

老人と若者。
迷信と己の才覚。
自惚れと自惚れ。
立派な対立構造が、本作に深みをもたらしています。

世代間のディスコミュニケーションは、「夏の終止符」や「時は止まりぬ」でも描かれている、時代や国を問わない普遍的なテーマです。
本作ではそのディスコミュニケーションを、かなり真正面から捉えているため、結末は簡単に予測できます。
安直なほど、お涙頂戴的シーンで和解します。

通常なら興ざめまでノンストップなんですが、本作ではまさかの涙。
号泣する類ではなく、静かにしんみりと泣くのです。

それはやはり圧倒的な自然の驚異の前でも、彼らは平静を保ち、一歩一歩力強く前に歩む、その姿勢に感銘を受けたからでしょう。
過剰装飾の感動的なドラマにせず、淡々と驚異的なほど冷静に彼らのその姿勢を撮っているのです。
だから余白がたくさん、つまり観客は想像し放題。
彼らの見えない部分のドラマを勝手に思い描いたり、彼らの心境を代弁する言葉を探したり、今の彼らの状況を自分の言葉に落とし込もうとしたり、自由自在。

右脳がフル回転した挙句の、感動的な和解。
自然に涙が零れ落ちるのは、しょうがないことでしょう。
この泣き方は、私だけかもしれませんが。

総じて、とにかく本作は良作。
女優一人を除き、全員まさかの素人。
だから非常にリアルで、ドキュメンタリーを見ている気分になりました。
音楽も印象的、これは是非観ていただきたい!
smwrsmr

smwrsmrの感想・評価

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実りの風景から猛吹雪の雪山まで、全て現地ロケのみで、高山地帯でくらす民族の風習や文化を記録する意図でつくられた映画。ネパールの風俗ってぜんぜんしらなかったから、装束とか食べ物とか(料理シーンもある)生活風景そのものが面白かった。複数の個人史に基づくらしい物語はカタルシスというほど緩急は激しくなく、とにかく山を行く過酷なキャラバンの一歩一歩が拾われている。役者たちは監督の個人的な友人で俳優ではないらしいけど、子どもから老人まで顔立ちが完成されていて、そんな印象は受けなかった。
C

Cの感想・評価

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渋谷TSUTAYA6/11。


舞台はヒマラヤ。麦と交換すべく塩をヤクに乗せ、何日もかけ険しい山を越え、ひとびとはひたすらに歩く。守られてきた古い習わし、占い、掟。大自然を目の前にしてもなお、それらは彼らを導く唯一のものであり、絶対的なものであることに、ただただ驚く。大自然との共存、というよりも、生き抜く力。青の青さがハッとするほどに美しく印象的な映画だった。



(これ、岩波ホールあたりで上映されてたのかなあ。どうやって撮ってるんだろう。って思うシーンがいくつもあった。あんなに、どこに自分がいるのか分からなくなって、不安になりそうな程に、だだっ広い大自然の中行われた撮影、大変だっただろうなあ。)

(メモ:輪廻転生、それと、「おさまるところにおさまる」という言葉。)

このレビューはネタバレを含みます

最初、土煙舞う広大な大地と岩山の下で生きまた死んでいく人々の姿を見て、彼らが生きる目的、存在する理由が一体何なのか、それは無知の土地ということを除いても全く見当も付かず(いきなり出てくる"キャラバン"が何なのかよく説明もなく)、ちょっと観ることを放棄しかけてしまう。その後の物語も、頭の固いジジイは馬鹿で、主人公が何なのかも分からず、何か王道的展開がある訳でもなくモヤモヤイラっと、あまりやさしくはなかった。
しかしまあ、これは語り不足というよりは先入観というか、感覚の不足、こっち側の問題だったのかもしれない。つまり、終盤になって分かるのは、物語はどこかへ辿り着くことが目的のものだとは限られず、我々はただ生が"繋がる"ということ(つまり歴史の中の一部)を見ていたのだった。そしてそれは冒頭に思ったことの答えであるのかもしれない。彼らの存在は歴史の一部であり、生きることが生きることの目的だったのだ。違うかもしれんけど。
そしてまた土着的な神の信託、占い、祈祷、しかし人間の意思、欲、疲労が織り混ざっていること自体、彼らが人間であり人間とは元々はつまり彼らのことなのだと言っているように思う。これは人間の歴史の一部ということか。
そうしたことに、物語の最後の最後で気付かされた。これはたぶん万人がそうであって、とてつもなく忍耐力と勇気のある映画だと言える。ふつう、恐ろしくて答えをこんなに後ろにおけない。
さらにまた恐ろしさは現地でリアルガチに撮ったホンモノな映像、画面に広がる地球の美しさにも感受される。岸壁にへばりついてカメラを回すメイキング映像で見たのは、インチキなしの本当の本気で撮影するおじさんたちの姿だった。
MSTY

MSTYの感想・評価

4.0
ヒマラヤの大自然と人間との共生を描いた映画です。

劇中に登場する若者と年寄りは、対立しつつも互いのよいところをよく見ており、若者/年寄りの単純な対立に帰結させなかった点が素晴らしいです。お経が低音域でベースの音の役割を果たしている独特なアレンジのテーマ曲もグッときました。
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