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ひとりで生きる
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『ひとりで生きる』に投稿された感想・評価

[誰もいねえ!!一人で生きるもん!!] 90点

大傑作。前作『動くな、死ね、甦れ!』で世界を驚嘆させたカネフスキーはソ連が崩壊した後、フランス資本で続編をカラーで撮った。しかも、それがベルリンとカンヌのコンペに選出されたのだ(前者は撤退した模様)。前作で12歳の少年だったワレルカは本作品では15歳くらいになっており、しかも前作で亡くなった守護天使ガリーヤの後をその妹で押しかけ女房感の強いワーリャが継ぐことで、守護天使という神秘性が一気に抜け落ちてしまっている。しかもカラー。こういった枠組みのせいで"不必要な続編"の顔をしている本作品であるが、暴力性が剥き出しになったおかげで別方向に進化を遂げていた。

前作でやってきた豚のマーシャ(すぐに屠殺される)、性交に関わる短髪の少女や途中で退場してしまう仲良くしていた日本人捕虜などの要素を引き継ぎ、終盤で唐突にドルカーロワが降臨するなど、せっせと焼き直しをする反面、人々は前作よりも自分自身のこと以外を考える余裕もなく、守護天使を失ったワレルカは衝動的で当て所ない旅を続けていく。舞台となるのはスターリン時代の終焉なのだが、ソ連崩壊後の混乱を象徴するかのように暴力性や性描写などがより直接的になっており、道端に昏倒した人々に小便を引っ掛け、出稼ぎ労働者をカモにするチンピラで溢れ、なんの脈絡もなく唐突に火の粉の雨が降ってくる。本作品に置いてワレルカの周辺世界は刹那的に展開していき、誰も頼る人間がいない中、ワレルカの中で絶望感が静かに醸造され、それは画面にも感染していく。

本作品のワレルカには前作の純粋さは失われ、ただの機嫌の悪い子供にしか見えない。だからこそ、理不尽な暴力による締め付けるような絶望感が全編から匂い立っている。集めたネズミに着火してそれが四方八方に逃げ回るラストの長回しは、それを眺めるレーニン像が画面に入るまでの時間を見ながら納屋が爆発する。そして、ワレルカは前作で亡くなったガリーヤと本作品で亡くなったばかりのワーリャを見て発狂する。そう、これが今のロシアだと言わんばかりに。ここにレーニン像が登場するのは実に象徴的だ。最近で言えば Darya Zhuk は『Crystal Swan』でソ連崩壊後のベラルーシが崩壊前と全く変わらないどころか更に酷くなっていたという姿を描いていたが(そしてこの映画にも回収されて打ち捨てられた英雄像が登場する)、本作品は同時代の記録としてその暗雲低迷する当時のロシアを描いてみせたのだ。

前作のレビューに『炎628』のフリョーラ少年に似てるって書いたら、本作品のラストはフリョーラが沼の中を泳いでいくシーンに酷似していた。カネフスキー、私の声が聞こえたのかしら?

追記
ロシアの女優って東欧映画と違って女優が脱ぐってのはあんまり見ないんだが、本作品ではドルカーロワがいきなり脱ぎ始めてドン引きする。彼女はバラバノフ『フリークスも人間も』でも脱いでたし、ソ連崩壊以降はそういう心境変化なり規制緩和なりがあったのかしら。
RIO
4.0
誰のものでもないことを選ぶ者
囚われの四足であっても生きることを選ぶ者

貧しくとも時間は無限にワレルカに与えられていた
作品順で観ることは必須のようで壮大な構造として前作からの感情が繋がる

愛情溢れる逞しい生命力そのもののワレルカが向かう方向をずっと見続けることはロシアを見ること 生きることの力を授ける
ちょっと出の人物たちが多く出てきて印象に深く刻まれた

いくつかの日本の歌でも賽の河原を彷彿とする真っ白な雪原に響き渡る黒田節が素晴らしい

手に持ったその首は何ですかといったインパクトの強いシーンもてんこ盛りでいて 船の上で永遠に続く謎の縄跳びの民族の意味は歴史背景がないと難解だった

終始 物悲しい景色が生きることの無常を現している
pika
5.0
「動くな、死ね、甦れ!」の続編だったのか!少年から青年へと成長する寸前のワレルカが市原隼人に見えつつ、観客もワレルカも守護天使の面影を追うかのように同女優演じる新旋風とのロマンスに引き込まれる。

純真無垢だった少年の頃と変わらぬ戦後ソ連の日常は、ワレルカの心情を表すかのように常に霧や煙、吹雪や水蒸気に覆われる。
ソ連の寒々しい雪の中に溶け込むよう、画面もブラックアウトではなくホワイトアウトで切り替わる。

成長するにつれ視界が広がり、家族や身近な人そして現実のことも見えてきたワレルカは、この世界で自分自身の存在について考える。
画面に映る愚かな姿とは裏腹に、何も恨まず耐えるわけでもなく流されるでもなく、自分で自分の生き方を模索しようとする意志がにじみ出る。

怪我をして飛べない鳥、鎖に繋がれた犬、火をつけられるネズミ、盗まれた犬、屠殺される豚など、それがあるというだけでなく比喩的な意図をも滲み出す多面的な画面構成や演出の力強さなど「語らぬ言葉」がストレートに胸を打つ。
衝撃的で目を覆うようなこの映画の「日常」は、映画の中の出来事だとか戦後のソ連だからとは思えず、時代と国を超え普遍的な人間世界の現実に映ってしまう映画の力が物凄い。

常に俯瞰で居続ける観客の視点から見ればワレルカの魂の旅路は些細で滑稽なものかもしれないが、観客自身に於いてはどうなのだろうかと逆に映画から問われているような鮮烈さがある。

クライマックスからラストまでの幻想的で魅せる「現実」の描写はたまらなくツボを刺激される最高のシーンばかりで感動しました。

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