砂漠の生霊の作品情報・感想・評価

「砂漠の生霊」に投稿された感想・評価

法一

法一の感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 ラストがクリスマスの日で、教会に集まった人々が聖歌を歌い始める。同じとき、子供を抱いたチャールズ・ビックフォードが、ようやく辿りついた街を、足をひきずるようにして歩いていく。――というこのシーン。よろけながら歩くチャールズ・ビックフォードを(祝日なので閉店中の)銀行の中からとらえたショットが良い。しかも、バックで聖歌が流れている。音楽によるクロスカッティングというのか、この手の(現代の映画ではよく見かける)手法を、1929年に、トーキー第1作なのにもう効果的に使っているというのはすごいと思う。

 自殺のシーンも忘れられない。
ウィリアムワイラーのトーキー第1作。フォードの三人の名付親と同じ原作なんだが、ウェットな部分を削ぎ落としたシャープな作品に仕上がっている。人間を単一的に描かず、善と悪にたえず行き来する心の内面が見てとれて素晴らしい。