からみ合いの作品情報・感想・評価

「からみ合い」に投稿された感想・評価

小林正樹監督には、反戦、時代劇そしてフィルムノワールな作品群がある。この「からみ合い」は、「人間の条件」と「切腹」の間の作品。悪党どもが死にそうな社長の遺産をめぐり、それぞれ隠し子を見つけて狂奔する。仲代達矢の得体のしれない演技が見事。山村聡も「癇癪老人日記」のそのままみたいな感じでおかしい。岸恵子は、美しくシャロン・ストーンの「氷の微笑」のようだ。しかしながら、ドロドロした人間関係のからみ合いまではいかず、平均的な内容だった。小林監督は、「黒い河」も作っているのだから、こういったジャンルは好きなんです
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.5
「からみ合い」

冒頭、街を散歩する一人の品ある女。社長の秘書、癌、遺言、遺産相続、余命三ヶ月、秘書課長と顧問弁護士、捜査、不倫、台風、ナンパ。今、男と女の醜い争いが始まる…本作は南条範夫の同名推理小説を「人間の条件 完結篇」以降に撮った小林正樹とコンビをしてきた稲垣公一と脚色、監督を担当した映画化で、この度初DVD化され初見したが傑作。これも長年、米国盤DVDでしか見れなかった作品だったが漸く鑑賞した。武満徹が音楽を担当しているとか激アツなのである。しかもジャズ…と言う珍しさ。岸恵子、仲代達矢と好きな役者が共演している一本で、非常に良かった。

本作は遺産を巡る人間の赤裸々な欲望を描いており、一人の平凡な女が徐々に悪の道へと進んでいく様が圧倒的な映像で着映されていく。この犯罪めいた匂いが濃厚な演出は見るものを驚かせ、サスペンス映画としては水準を満たした傑作である。

さて、物語は癌で余命三ヶ月と宣告された会社社長の河原はかつて関係があった三人の女性の子供たちに遺産の三分の二を渡すべく、秘書課長の藤井、顧問弁護士の吉田、そして秘書のやす子に手分けして捜査を命じる。所が河原の妻と不倫関係にある藤井も、部下の古河に捜査を命じる吉田も、それぞれ遺産を自分のものにしようと画策していく。そんな中、やす子は河原に無理矢理抱かれる。やがて遺産相続を決定する日がやってきた…。

本作は冒頭に一人の女性が車から降り、サングラスをかけ街を歩く描写で始まる。そしてジャズが流れタイトルロゴが出現する。カメラは街の人ごみを捉え、怪しげなピカレスクロマンを感じさせる。街のショーウインドーを覗き込むその女、不意に笑い、サングラスをずらす。カメラはひたすら彼女を追い続ける。続いて、道路を渡り反対側のガラスショーケースの中の真珠を除く。そこで一人のスーツを着た男が彼女の手を握る。そして久しぶりですなと言う。

カットは変わり、近場のカフェでその男女が会話をする(この時、女の頭の中で独白がされていく)。彼女の名前は宮川やす子。とある社長の秘書をやっていたそうだ。その社長は癌になってしまう。そして彼女のここ最近の二週間の出来事が振り返られる。その回想の中では彼女の前で血を吐きながら倒れてしまう社長、ジャズが流れるクラブのシークエンス、病室の中での社長、財産が女房の所へ行く話など様々な事柄が映し出される。

続いて、ヌードスタジオのシーンになり、そこのマスターがモデルの女をカメラで撮影する場面に変わる。そして海岸沿いでナンパをする若者たちが映され、裏道を歩くけい子に対して名刺を渡してお茶でもしようと誘うが邪魔が入り逃げていく。そして遺産相続をめぐる女と男の欲望が露にする…と簡単に説明するとこんな感じで、中々面白かった。

特に派手な演出があるわけではないが、芸術性に満ちたワンシーンがいくつかある。東京タワーの鉄骨の部分を背景に男女が話すフレーム作りや竹壁を横に歩く岸恵子の姿、昭和のネオン街をモノクロームで写した近未来的なワンショット、台風で水の流れを流暢なカメラで捉えるショットなどだ。

それに冒頭の岸恵子が街を歩くシークエンス等は少しばかりヌーヴェルヴァーグを意識しているのか、雰囲気が似ていた。と言うのも武満徹のジャズの音楽がそうさせているのかもしれない。にしても岸恵子の独白のナレーションの声質ってすごくたまらなくいいなと思う。エロいしサスペンスフルな雰囲気を醸し出してくれる。


あの物語の中盤で衝撃的な事実を知る全員の希望を無くした表情…もしくは希望に満ちた表情の絡み合いがとてつもなく素晴らしい。まさにタイトル通り人間のからみ合いがとことん映されている。どの国もそうだが遺産相続と言うものは人間の本心を映してくれるものだ。その中で誰が冷静沈着に振る舞っているか、誰が心を乱し狼狽するかを観客は見分けるのだ。

現代の悪徳と不安を映し出し、最後に笑うのはこの中で誰なのかと言うのを問いかける非常に面白い作品である。特にこの作品の予告を見て欲しいのだが、岸恵子が語る松竹映画の最新作の予告はユーモラスがあって面白い。
ちょっとヌーベルバーグっぽい白がちのモノクロ、武満満のジャズ、岸恵子の美しさとクールな要素満載。内容はドロドロの遺産相続と年寄りの性。
遺産の行方は誰の手に?という展開の面白いさ、スターの共演も見もの。
昨年、故人になられた川又昂のカメラ、武満徹のジャズ
岸恵子の代表作
好きな作品。遺産を手にするのは誰か、誰がどうやって退場するのかという興味が途切れなくて、最後まで面白い。登場人物はほとんど欲の皮が突っ張ってるけど、ここまで悪人ばかりだと逆にすがすがしい気がする。出演者が脇まで豪華なのと、いちいち決まってる映像も好き。岸恵子さんはすごく美しい。
仲代は芳村真理のしたことに関わってたのか、知らなかったのか気になる。
オープニングは「死刑台のエレベーター」なんだろうか?

「昭和の銀幕に輝くヒロイン 岸恵子」@ラピュタ阿佐ヶ谷
三四郎

三四郎の感想・評価

2.0
えらく洗練されたオシャレな始まり方だ。軽快で粋なメロディと共に車を降りたサングラス姿の岸恵子が『ミニヴァー夫人』のグリア・ガースン、『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘプバーンよろしく都会を颯爽と歩き、ウィンドーショッピング。立ち止まりサングラスを取ってガラスケースの品物を見るあたりも『ティファニーで朝食を』のヘプバーンそっくりの演出。
小林正樹監督は本当に魅せる映画を製作する。いつも私が嫌うシリアスで陰鬱な社会派映画なのに…見入ってしまう。映画のリズムがいいからだ。場面展開も自然だからであろう。
社会事業に寄付すると役員連中の私服を肥やすだけ、会社の真相はいつの時代もこんなもんだ。
お金払ってまで見たい映画ではないし、人に勧めるような映画ではないが、小林監督は腕のいい監督なり。

このレビューはネタバレを含みます

資産家の遺産を巡る人間模様
内容は凝っていますが
ドロドロした作品が好きな事もあってか
意外性もなく平坦な感じ。
自分を客観視し綴られる心内には
冷静さを装う女のドス黒いものが感じられて良かった。
余命幾ばくもない社長の遺産をめぐるドラマ
登場人物みんながみんなどこかでおこぼれにあずかろう、より多くもらおうと画策する黒いお話です
回想式にしないほうよかったんじゃないかなー、まさか岸恵子が全部持っていくとは的な驚きもないし、すっきり感もない
全員悪人ってほどではないけど、みんながみんな黒いから気分のいい作品ではないですね
設定的にはもっと面白くなりそうなだけにちょっと残念です
ジャズが流れ、岸恵子がシャネルスーツ?ぽい服装でウインドウショッピングしてるオープニングが一番格好よし。

癌が見つかり余命僅かな山村聰が遺産を相続させるべく周りの曲者たちに数人いる隠し子を探させるサスペンス。
岸は秘書から愛人になる役。

筋は読めるけど好き。
何年か前に観たけどこれは面白かった。岸恵子が期待通りにスタイリッシュな服装で悪女を演じるかっこよさ。細部までは覚えてないけど、二転三転するストーリーが観るものを飽きさせない。またBSでやらないかなぁ。
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