元祖大四畳半大物語の作品情報・感想・評価

元祖大四畳半大物語1980年製作の映画)

製作国:

上映時間:97分

3.6

「元祖大四畳半大物語」に投稿された感想・評価

秋日和

秋日和の感想・評価

3.5
デジタルが広まり、映画の中に暗闇が無くなりつつあると、とある監督が数年前に発言していたことがなんとなく頭に残っていて、この映画を観てはっきりと思い出した。本作にはハッキリと、豊かな暗闇が存在していると思う。
冴えない浪人生の主人公が、これまた冴えない下宿先に初めて来たときのシーン。暗い階段をとぼとぼと上っていく彼と、階段を下りる居住者の女性がすれ違う。暗くてよく顔は見えないのに、絶対にこの後、この人に振り回されるのだと分からせる決定的な瞬間。これがもしも顔がくっきりと見えていたら、同じ感想を抱くか分からない。
扉や鏡の使い方など、技巧チックな面も持ち合わせながら、さながら西部劇のようなアクションを繰り広げたりもする(階段の件含め、上下を意識させるようなシーンが多い気が)。
個人的な満足度は高いけれど、気になる点が一つ。冴えない浪人生を描いた作品って、主人公の住む部屋のはす向かいの窓を意識させたがり、ではないでしょうか。なんでだろう。
八宮

八宮の感想・評価

3.5
松本零士原作、同名漫画の実写映画作品。つい最近レンタルリリースされたと聞いて近所のツ〇ヤにて探し出し、無事鑑賞に漕ぎ着けた。原作にあったような寂寥とした青春の雰囲気が良く描かれていた。足立役の俳優はやはり演技に若干の拙さはあったが、閉塞感に押し潰されそうにながらも泥臭く足掻こうとするキャラクター像を上手く再現していたと思う。
DIG &PADという、邦画の復刻とアングラ系の封切新作をリリースするレーベルのラインナップの内の一作です。以前レビューした『ゲンセンカン主人』もこのレーベルのリイシューでした。3〜40年前はこの手のカルトや超大物漫画家の自伝的作品が流行っていたのかな?(←調べない)
今作は『宇宙戦艦ヤマト』『キャプテン・ハーロック』『銀河鉄道999』やマッキーとの泥仕合、ドクロニットキャップなどでお馴染みの松本零士先生の自伝的性格の作品です。(自分の身の上に起こった出来事を、実在の人物・実際の場所をモデルにして描いた、という事みたい。)
…実は自分は999ならアニメも原作も好きなのですが、ヤマトに関しては、原作もアニメもリメイク版もキムタクも全然触れた事ありません(そもそも松本零士作品と言えるの?)。はたしてそんな程度の認識で観て分かるものなのだろうか?と若干不安だったのですが…。

物語は、主人公の足立 太(山口洋司)が上京し、四畳半のボロアパートに入居するところから始まります。何の目標も無く、予備校に通う為に金を貯めるなどと嘯いていますが、勉強するシーンは皆無。たまに働いたり、酔っ払って暴れたり、皮膚病でおマタをボリボリ掻いたり、お金が無さすぎて一人で不気味に笑ったりしている…だけ。
向かいの部屋にはヤクザもんのジュリー(前川清)とジュン子(篠ひろ子)が2人で同棲していて、ジュリーは所謂ヒモであります。ジュン子は気立ての良いベッピンさん。
基本、この3人が喧嘩したり・仲直りしたり・酔ってクダ巻いたり・ションボリしたり…が映画の中心で、後はたまーにアパートの住人(ラビット時代の関根さん!)や大家の老夫婦がちょこちょこ出てくる、だけ!…おい!マジでこんだけか⁉︎
そう。漫画描かない。志さない。読みもしない!最底辺の惨めで呑気な日常が在るだけ。この、完全にダメな若者が、後にフランスで文化勲章を頂戴するのである。勇気湧くね!
…かつてお金の無い若者が四畳半という檄狭の物件で生活する事を余儀なくされていた時代があって…などと嘯きたいところですが、実はわたくしも一人暮らしの最初の部屋はバンカラ気取って(?)四畳半でしたよ。その部屋にDJブース作ってレコード千枚とか収納していたのは我ながら気が狂ってましたね。就寝中に伸びをして壁に穴をあけたのを、自分でセメント塗って補修したり…。貧乏暮しの思い出は何故だか楽しい。(今も貧乏)
主演、(山口洋司)←とか書きましたが、これ以降映画に一本出たきりで、画像検索でも映画のワンシーンがギリ見つかる程度。とにかく四肢の長さを含めてルックスがマジでヤバいです!若くしてドニ・ラヴァン並みの危険な存在感を放っております。こんな人よく見つけなぁ…。ジュリー役の前川清、はなんか今と殆ど変わってない印象。あと関根さんも。それより若かりし頃の篠ひろ子さん、美しすぎる!この時代にしてこの美貌・プロポーション、まさにスター!
因みに今作、松本零士さん自身も共同監督という形で参加されているのですが、主役の足立氏が変にモテるんですよね…。うむむ、味わい深い。やっぱり九州男児として漢を磨いてきた自負が、内面からフェロモン的に漂っていたのでしょう。これは思うに、時間は夢を裏切らないし、夢も時間を裏切ってはいけない、とかそういう事だと思います。自分で考えた言葉ですよ!何か問題ありますか⁉︎
当時の猥雑でエネルギッシュな街の様子が良いです。清潔なだけの高層ビルとか全部ぶっ倒れちゃえば良いのに。渋谷の再開発もオリンピックも全てfuckです。“やい!コウボク”“スンズリ”“ハンチク”等のエッジの効いた言葉も素敵!格好良い時代だなぁ。

例えば、ジュリーと酒を酌み交わすながら「若いから、無限の可能性を秘めた青春と希望の塊なんだと思う時もある。…落伍者だと思うときも」なんてシンミリとさせる場面も有りますが、カストリ焼酎飲まされて椅子投げて暴れまわったりとか、ベランダで直射日光でおマタを消毒したりとか(サルマタケのシーンありましたよ!)、基本的に碌でも無い事しかしてません。この青年が後にダフトパンクのPVを手掛けるようになるのだから、希望しかありませんね!よっしゃ!!…生存者バイアス?それなんですか?焼酎の銘柄?

破天荒な漫画家の青春時代、例えばはるき悦巳先生とかで観てみたい!もう少し最近なら、桜玉吉先生とかも良さそうだけど、現実的にありそうなのは東×××子とか久○○○○ウとかなのかと勝手に思ってしまって、…やはり希望は過去にしか無いのか。
イワシ

イワシの感想・評価

3.6
パチンコ屋での喧嘩が西部劇での酒場の乱闘そのもので素晴らしかった。どこまでも日本的な風景の中で展開されるアメリカ的な騒動の場。山口洋司が二階の窓から落ちると、つられて画面奥の隣のアパートの住人も落下する場面など印象的なアクションが多い。
夢野猫

夢野猫の感想・評価

4.0
ハチャメチャで出鱈目でグチャグチャな青春の日々。

映画としての出来はともかく、個人的には傑作。
いやぁ、TSUTAYAの邦画の準新作コーナーで見つけた時は驚愕しました(笑)

松本零士原作のコミックを松本零士本人と、「嗚呼!花の応援団」シリーズなどの監督でお馴染みの曽根中生が共同で監督した作品。
オープニングの加藤登紀子の歌が大変良く、歌詞がこの映画の哀愁漂う感じにマッチしていましたね。
キャストも主演の足立太を演じた山口洋二(新人)以外はなかなか豪華(当時だとイロモノ的なキャスティングだったかと思うけど)で、若かりし頃の関根勤やガッツ石松、そして懐かしのアイドル松本ちえこ等が見れて良かったですね。
また、外ロケも多く貴重な街の記録にもなっています。

それにしてもメーカーさん、よくこの映画をDVDにソフト化してくれましたね…感謝です。
めっさ久々に鑑賞👀
古本屋📚で原作を見たことがあるが、下宿から漂うコスモイメージはない。ただそこを除けば、原作者であり監督の松本零士氏の福岡から上京して、貧しくも夢に溢れた苦節時代が見事に描かれている。舞台は東京、第三下宿荘の2階。約40年前の昭和カオスが小さな四畳半の部屋に凝縮されている。主人公、足立太の漲る若さとパワーはその小さな部屋では収まりきらない。まさに〝大四畳半大物語〟である。
隣人、ヘタレヤーコーのジュリー(前川清氏)、松本監督のイメージ通りと思われる美人のジュン(篠ひろ子氏)、引っ越してきたオカマのマーちゃん(関根勤氏)、そして金に目がない大家のバアさん、ネコを食べたと思われるジイさんの老夫婦。第三下宿荘はいつも賑やか、問題だらけでてんてこ舞い。今日が駄目でも、きっと明日はと奮起する、若者の爽鬱を綴った青春物語。
人生は止まらない汽車〜♬
加藤登紀子氏の歌はこの物語そのものだ。
ほたる

ほたるの感想・評価

4.1
こんな凄い映画が昔は山ほどあったと!?
わざわざALWAYS三丁目の夕日を観なくても、もっと人間臭くて人情味溢れてて汚くて、面白すぎて1.5回見ましたよ。
観終わったら、シラフじゃないみたいに気分がフラフラしてんの。もうすごい

それにしても前川清めっさ若い

このレビューはネタバレを含みます

 
 
自宅(CS放送)にて鑑賞。同名タイトルの実写化で松本零士が原作と共同監督(実質的な監督はもう一人の共同監督、曾根中生らしい)。にっかつが制作だが露出度は極めて低い。キラキラしたポップな青春モノとは極北にある物語。一般公募から選ばれた“足立太”の山口洋司、“ジュリー”の前川清、共に珍しい顔ぶれ、ラフな感じで良い。“ジュン”の篠ひろ子、原作とイメージがピッタリだが、黒いストリップよりも何気無いピンクのネグリジェ姿の方が艶かしかった。原作に出て来そうな風景と作風だが、如何にも小品の印象は否めず、50/100点。

・鑑賞日:2011年11月28日
★☆ 某サイトより転載 ☆★