真夜中の妖精の作品情報・感想・評価

真夜中の妖精1973年製作の映画)

製作国:

上映時間:74分

3.9

「真夜中の妖精」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

狂ってて面白い。メンヘラなんて言葉では足りないくらい狂ってる山科ゆりさいこー。白いウェディングドレスが血で真っ赤に染まるラスト!ひゅー★ 田中登はゴス好きだな。

僕は、山科ゆりがオープニングで氷に乗って街中進むシーンと、西瓜をアイスピックで滅多刺しにして、片手で赤ん坊を揺らしながらがっつくシーンが好きです。

そういや本作の、線路と隣接したスラム街のロケ地って、森﨑東の『喜劇 女生きてます』と同じだよね??
tjr

tjrの感想・評価

3.8
山科ゆりのイノセンスにやられた。あの街、あの路地の抱えたどす黒さの中で唯一光輝く存在。
カナリアの歌と主観から始まる冒頭シークエンス完璧だな。この廃線を挟むロケーションが良すぎるがどこなのだろう。「牝猫達の夜」にも登場したような。
氷、スイカ、サングラス、マネキン
冒頭、デカい氷に乗り友人と楽しくドライブ(引き摺られるだけ)する知恵遅れの山科ゆり。ツマラナイ映画な訳がない。それにしても無垢?馬鹿?な山科ゆりがかわいい。
赤子の世話と売春行為を両立させている知恵遅れの少女(山科ゆり)が、とある一家を恐喝した犯罪者の青年(風間杜夫)を自分の夫だと思い込んでしまう。本能の赴くままに生活している白痴の少女と、その少女に振り回される周囲の人間たちを対比させて、「本当にマヌケなのはどっちなのか?」を提起しているロマンポルノ。

山科ゆりが素晴らしい芝居を披露しており、表向きは白痴なのだけれど、裏ではすべてを見透かしているという、「知恵遅れの美学」を享受することができる。少女に名前がなく、カナリアという愛称で呼ばれているところや、底抜けに明るい性格で「Let it go!」(流れに任せて突き進め!)しているところなど、悲惨なんだけど愉快な気分にさせられる。いわば、陰性の幸福感に浸ることができる作品。

本作の風間杜夫は、権力によって恋人を奪われた、忌まわしい過去をもつ青年という役どころ。幸せそうなカップルに痛々しい憎悪を向ける爆弾小僧なのだが、カナリアが癒やしを与える女神となって接近する。しかし、カナリアは白眼青眼が定まらない特殊な人間でもあるため、青年の犯罪性を理解することができない。

捜し人が都合よく何度も見つけられたり、明らかに怪しい人物が他人の結婚式場にあっさりと侵入できてしまったりなど、ツッコミたくなる部分は多々あるけれど、煙に巻かれる感覚と情感に訴えかけてくる感覚が全編に渡って同居しているため、鑑賞後の満足度は非常に大きい。
まこー

まこーの感想・評価

5.0
私的田中登ベスト。山科ゆりのあんな純粋さを出す演技を魅せられたら泣くしかない。
蝋燭でサングラスを作るシーンが印象的。純的なものを中心に汚れた世界を描くのか。観てて死にたくなった。
影虎

影虎の感想・評価

3.5
日活ロマンポルノの名手と名高い田中登監督の映画。
売春バーみたいなところで知的障害のある女の子がある荒くれ者に出会って…というニューシネマみたいな話。

主人公の女の子がなんだか土屋太鳳に似ている気がするのはさておき、うらぶれた飲み屋の並びとか路地裏とかオカマに群れとか、見ていてアウトローな雰囲気が実にロマンポルノらしい。
昔の日本はこんなにもエクストリームでイかれてたんだなぁとしみじみ楽しませてもらった。さながら日本むかし話。
トラウマ確実。
ニューシネマ+アントニオーニ
取り敢えずひっきりなしに驚かされるし、結局良く分からないんだけど、果てしなく怖い映画だった。
ピンク映画なんだけど、ピンク映画じゃないです。当時の人は、どんな風に観たのか気になる。
この時代の新宿は、タイムトラベル出来るなら行ってみたい。
an

anの感想・評価

3.0
若き風間杜夫がひどい役なんだけど途中から純愛に目覚め、海辺で山科ゆり(野沢直子似)とキャッキャしたりして一転さわやか青年、でも言ってることは「パパとベロベロするか!」とかだから思わず吹き出してしまうけど笑わせようという意図はなくひたすらマジメに撮ったのかなあ、田中監督。風間の犯行動機がよくわからない、とても不思議な映画…
バーのママ、大山節子に売春をさせられている白痴の山科ゆりは売春相手の客を「おとうちゃん!」っていつも呼んでいるマジカル不思議ちゃんな女の子。ある日この売春バーに凶悪犯、風間杜夫が現れる。本作の風間は金持ち宅に強盗に入り、ついでにお嬢様な潤ますみをレイプしちゃって、他人の幸せをぶち壊したい衝動をもつ危ない若者。

売春バーで大山節子にからみ、暴れる風間杜夫。しかしここに大山の情夫の益富信孝が登場。(この益富信孝さんは、曾根中生の傑作『わたしのSEX白書 絶頂度』にも出演していた)で、風間杜夫をボコボコにする。強盗してレイプしてた奴とは思えないほど、弱すぎる風間杜夫。そして強すぎる益富信孝。

しかし、マジカル不思議ちゃんな主人公山科ゆりは、このボコボコにされた風間杜夫に恋をしちゃう。最初はうざがっていた風間杜夫も、しだいに山科ゆりの純粋さに惹かれ、二人の間に特別な感情が生まれる・・・・。

鬼才・田中登監督作品。シネマヴェーラの特集上映で鑑賞。田中登は『㊙色情めす市場』や『人妻集団暴行致死事件』などの映画史に残る大傑作を撮った監督だが、本作は、ちょっと普通かなぁ。まぁ、それはしょうがない。

でも随所に田中登らしいセンス溢れる映像は見ることができる。最初の山科ゆりの濡れ場における、スイカの緑と、花びらの赤と、山科ゆりの裸体の白が目立つ色彩感覚が強調された濡れ場は見事だと思う。

廃線跡に置かれたテーブルやドラム缶や、バーがある路地などロケーションもなかなか良い。

でも、脚本はちょっと問題あるかなぁ。お嬢様の潤ますみを拉致して海の砂浜に埋めたりするシーンは、ちょっと寒いギャグみたいで笑ってしまった。

ウェディングドレスの姿の山科ゆりが、潤ますみの結婚式に殴り込みして、潤ますみの頭が狂ってしまう場面は凄すぎる。潤ますみの妄想が具現化されるのだが、切り裂かれるウェディングドレスにクローズアップされる白い布、切り裂かれるドレスの下はマネキンになったり、山科ゆりの裸体の画面にカットを繋いだりする狂った編集でこのシーンのカオス感は凄まじい。このあたりは、やはり田中登の映像美学なのでしょう。
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