仮面の作品情報・感想・評価

「仮面」に投稿された感想・評価

ukigumo09

ukigumo09の感想・評価

4.0
化けの皮を剥ぐ
 
1986年のクロード・シャブロル監督作品。ヌーヴェルヴァーグの旗手であったシャブロル監督作品も70年代や80年代の作品は日本では劇場未公開のものが多く、本作もあまり知られていない作品の一つだろう。
本作はシャブロル監督が愛してやまない女流作家シャーロット・アームストロング、特に『疑われざる者』という作品へのオマージュとして、そのプロットを借りるような形で作られている。『疑われざる者』の主人公が元舞台演出家であったのに対して、本作『仮面』ではテレビ番組の司会者となっている。
なおこの原作の『疑われざる者』はアメリカですでに1947年に映画化されており、日本では劇場未公開だが『トゥルー・クライム殺人事件』という邦題が付いている。監督は『カサブランカ(1942)』などのマイケル・カーティスで、主人公はラジオの犯罪実話朗読番組の語り手であった。当時の主要メディアであるラジオの業界での殺人事件やトリックに先端技術である録音盤が使われるなど興味深い作品だ。
 
『仮面』ではTVタレントのクリスチャン(フィリップ・ノワレ)が視聴者参加番組の司会者をしている。巧みな話術と笑顔でお茶の間の人気者だ。彼についての伝記を書きたいという青年ヴォルフ(ロバン・レヌッチ)がやって来たので、休暇を利用して郊外の屋敷に招き取材を受けることにした。ヴォルフは本を書き終えるまでクリスチャンの屋敷で暮らすよう勧められる。そこにはマッサージ師のパトリシア(ベルナデット・ラフォン)や口がきけないと言われている運転手のマックス(ピエール=フランソワ・ドゥメニオー)など個性的な使用人がいる。そんな中ヴォルフには気になる人物がいた。それは病弱な女性カトリーヌ(アンヌ・ブロジェ)だ。幼いころに両親を失った彼女をクリスチャンが引き取り養っているというのだが、明らかに覇気がなくほとんどの時間をベッドで過ごし、室内でも日光に当たる時はサングラスをかけている。不審に思ったヴォルフは使用人が彼女のために用意したスープを飲まずにこっそり捨てるよう指示する。
 
実はヴォルフは伝記を書くのが目的ではなかった。彼は以前忽然と姿を消し、そのまま消息を絶ってしまったマドレーヌという女性を探すためにやってきたのだった。屋敷に置いてあったマドレーヌのテニスラケットなど、次第にマドレーヌの痕跡は見つかるが、使用人などに聞いても、ある日家出したという答えしか返ってこない。
そこでヴォルフは執筆のために使用していたクリスチャンの書斎を物色し、隠してあった書類を見つけるのだった。そこでカトリーヌの危機に気付き、救出に向かいクライマックスへという流れるようなサスペンスの連打はさすがシャブロルと唸らされるだろう。
 
本作は80年代のテレビ業界を痛烈に皮肉っていて、見る人が見れば誰のことか分るようにできている。仮面というタイトルも、本性を仮面に隠し外面だけいい偽善者であるTVタレント揶揄しているのだが、その化けの皮をテレビの本番中に剥ぐ本作のラストは爽快だ。
muscle

muscleの感想・評価

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あれ?結構面白い。あらすじや設定をここで説明するとシャブロル的などんでん返しの根幹に加担してしまう気がしてなかなか本作に限らず人になぜ面白いのかを説明しにくい作家ではあるけれど、今作ではテレビを散々馬鹿にしまくってるシャブロルがテレビの内部からテレビを破壊作品を作ってる。とにかく主演がアンソニーパーキンスに似ている。マネキンだらけの洋館、担ぎ上げられ運ばれる夜道、圧倒的家父長制食卓、ラスト10分で急激に進む感じとグラサンバストアップもなんだかアサイヤスみたいでカッコいい(褒めてるのか?)。ラング的モチーフのひとつである「トリックではなく犯罪を犯してしまう心」そのものをずっと追ってる気がするからシャブロルはヒッチコックの中でも特に『マーニー』好きそう。今作での食卓を後退していくショットとかまさにそうだったし。青山真治の解説付きで上映されてるらしい。どんな解説したんだろう。