普通の家族の作品情報・感想・評価

「普通の家族」に投稿された感想・評価

film3103

film3103の感想・評価

4.8
フィリピンの社会問題をリアルな描写・映像で語られているように感じた。
2人の主人公の物語を、ただ物事が起こっている事実だけを捉える、無感情無機質な監視カメラの白黒映像の用いる方法は非常に面白い。
フィリピンという、近いようで遠い存在の国の"ordinary people"の生活を考えさせられた。
国際映画祭で評価されるフィリピン映画の傾向として”リアリズム”というキーワードをあげたい。この映画のように社会問題を飾ることなく描けるところがパワフルな描写に繋がっている。ストリートチルドレン、幼子の誘拐ビジネス、混沌としたマニラにおいての”普通”とは。
Hiroki

Hirokiの感想・評価

3.6
マニラの街頭でスリで生計を立てる未成年カップルの生後1ヶ月の子供が誘拐される。
そう遠くないアジアの国で今なお存在するストリートチルドレンのリアルな路上生活、愛息を拐われた2人を見るのが辛い…。監視カメラ映像の使われ方が面白い。
コブラ

コブラの感想・評価

2.7

このレビューはネタバレを含みます

東京フィルメックスにて鑑賞。

映画祭って初めてだったのでドキドキしながら参加。
なんかいいですね、誰も飲まない、食べない、ゆったりした感じ。
天候❄️もあってか席もいい感じに両端、前も空いてて足組み替え放題、伸ばし放題!笑

初のフィリピン映画、
普通の家族を観ました。

第一印象。
あぁ〜そうですかぁ…。ううん…そう…まぁ、そうなるよね…。
といった感じです。

フィリピンのストリートチルドレンの生活や、彼らが受ける様々な非情な仕打ち、それでも彼らは自分たちを憐れんだりせず、ただ生きる。

彼らにとって自分たちは決して特別なんかじゃない。
周りが好きな物差しで自分たちを見た瞬間、普通じゃない存在に変えられてしまうだけなんだ!

そして、ストリートチルドレンを自分とは縁遠い存在と思っている人々に対して、

なぜ自分たちは普通で彼らを普通じゃないと言えるのか?
自分たちがこのようになる可能性はゼロだと言い切れるのか?

を問いかけられているような、そういった社会的なメッセージを感じた。

音や匂いまでこちらに伝わってきそうなリアリティがあり、
度々挟まる防犯カメラ越しの映像も、観客を改めて第三者として見つめさせる効果があり、
自分たちは傍観者だ、とも言われているような印象があった。


自分の悪い癖なんだけど、
主人公ジェーンの赤ん坊をさらったゲイのエルサは、自分がどんなに努力しても手に入らないものを手に入れたかったのでは…?

とか、

どんなに恵まれた環境の人が引き取りたいと言ってきても、親にはなれないと言っていたジェーンはラスト、取り戻した子供を見て本当は自分の子だと確信していたけど、子供の未来を考え、あえて自分の子じゃないと言いながら返したのでは…?

とか、
そういう物語というか予測を勝手に作り上げてしまうんだよね…。まあ所詮二番煎じにしかならないんだけど。

恐らく、そこまで踏み込まないことがこの映画の良さなのだろうなと思った。

…だがしかし、
そうなるとあまりにも、
社会的に偏見を受ける人々を救いなく描きすぎてはないか、とも思ってしまった。

これでは、
あぁ、ストリートチルドレンやゲイの人々は、辛いんだなぁ、大変だなぁ…!!
で感想が止まってしまいそうな印象も受けた。

個人的には、
みんなから憐れまれ、蔑まれ、メディアのいいように利用されがちな存在を、
彼ら自身に通ってる芯を強調する方法で描かれていたら、
もっと心を揺さぶられていた。

でも役者さんたちは本当に素敵だった。
主役の人も本当に上手かったけど、ゲスい役の人たちなんて本当に殺してやりたくなるくらいゲスかった。

変にドラマチックじゃないゲスだと、憎めないキャラになり得ない、本物のゲスになれるんだなって。
andorinha

andorinhaの感想・評価

4.5
映画が開始されてタイトルが流れるー『普通の家族』ー。そこから繰り広げられる「普通じゃない」感がすごい。
罵倒しあい、貶めあい、小突きあう少女ジェーンと少年アリエスの若いカップル。ジェーンは泣くのが仕事の赤ちゃんに泣くな!と脅し、橋から川へ投げるフリをする。ひき逃げ、万引き、ひったくり。いろいろと私の常識が追いつかない。
しかし観ていくうちに、少しずつ私の頭のピントが合ってくる。彼らの世界には、彼らなりの常識がある。彼らにとってはこれが「普通」なのだ。罵倒すらきっと愛の言葉なのだろう。

確かに彼らと私たちは生きる世界が違うかもしれない。しかし人間が根源的にもつ、子どもへの愛情は変わりない。脅しつけてたはずの息子を、ジェーンはそれこそ死に物狂いで探し回る。どんなに騙されても、人間の善意をどこかで彼女は信じているのかもしれない。

アリエスはジェーンに問う。「もし誘拐された息子が、お金持ちの家にいたらどうする?自分たちが与えてあげられない豊かな生活を、息子が送っていたら?」
ハッとさせられた。胸を突く問いだった。

刺激的で、パワフルで、チャレンジングな本作に心からの拍手を送りたい。
emily

emilyの感想・評価

4.7
マニラの路上で暮らす16歳のジェーンと17歳のアリエル。二人には生まれて間もない子供もいる。ストリート・チルドレンの彼らは、スリや泥棒で生計を立てなんとか生活している。しかしある日強引な甘い誘いにのってしまい、子供が誘拐されてしまう。なんとか子供を連れ戻そうとあらゆる手段で奮闘する。

防犯カメラの映像から始まる冒頭。そこには音は流れず、時間だけが刻まれていく。そのまま同じリアルな映像に切り替わる。本作では監視カメラの映像を随所で挿入することで、彼らの一部始終を観てる観客を証人と言う立ち位置までのしあげてくる。

ドキュメンタリーとドラマの狭間で、観客を傍観者という場所に収めず、常に参加させ、巻き込んで来るので、ひとときも目を離せないし、離せる隙もない。

二人は見た目で判断され、子供を誘拐された被害者でありながら、まるで加害者のように扱われてしまう。その描写に至っては、みるに耐えない心をえぐられるような警察の対応が批判的に挿入され、その部分には防犯カメラの切り替えがないのだ。記録されてないからこそ、観客の目を記憶だけが頼りになる。

普通の家族というタイトルが全てを物語っている。ここにあるのは、確かに道で子供を育て、汚い環境で、認知すらされてない無知な親の姿である。しかし子供にとって、家族にとって一番大事な物はしっかりあるのだ。

失くしてからの彼らの行動に愛や思いやり、お互いを尊重する気持ちの全てがある。それは新しい命を持つことで、守るものができたことで、子供により親へと成長させられた強い信念である。

「普通の家族」とは地位や名声やお金ではない。家族が家族であるために、大事なものが備わっているということである。
milagros

milagrosの感想・評価

4.1
マニラの街のガヤガヤした音が響く街路で、二人の少年少女は家族を営もうとする。二人の瞳、特に少女の目の強さと生命力からは、映像でしか感じられない確かなリアルと衝撃がある。
ネオレアリスモの現代版をみた感じ。
konomo

konomoの感想・評価

2.8
東京フィルメックスにて。

フィリピンのストリートチルドレンのカップルが、騙されて、まだ生まれて1カ月の赤子を誘拐され、必死で探し回る話。訴えた警察では酷いセクハラに遭い(殺意が湧くほどの)、詐欺には遭うわ、デマには振り回されるわ、マスコミには都合のいいネタに利用されるわ、ひたすらつらいまま終わった。

多分、社会派で問題提起的には素晴らしい作品なのだろうけれど、個人的にはあまりにも辛かったという印象が強すぎたので、点が辛めに。
多少都合のいい展開でも、これはフィクションだから現実はもっと大変だよねと慮る能力はあるので、もうちょっと明るい終わり方にして欲しかった。

ところで普通ってこの場合何なのだろうね?こういうことが、普通によくあるんだよってこと?

このレビューはネタバレを含みます

『普通の家族』鑑賞。フィルメックスコンペティション作品。演技、カメラワーク、構成、主題、いずれも非常にレベルが高かった。"ordinary"ということに拘った撮り方がこの作品の竜骨だろう。ストリートチルドレンのまま夫婦となったアリエスとジェーン、そして生まれたばかりの息子アルジャン。路上でセックスをし、路上で子供を育て、日雇いの仕事でなんとか生計を立てている。その極貧生活の中でも家族としては"ordinary"であり、親子の愛情は貴賎に関わらないというのが本作の根底にあるテーマだ。
ジェーン夫妻は貧しいが故に、客観的に酷い扱い(警察に胸を見られたり、マスメディアに息子の写真をなくされたりなど)を受けるが、ジェーンの子を思う想いは一般的な母親のものとなんら遜色はない。最後、アリエスが連れ戻ってきた子供が自身のものではないと一瞬で見抜き、元の母親に返しに行くシーンからも、ジェーンの"ordinary"な母性が伺える。
加えて、その"ordinary"な性質を担保しているのが、何度も挿入される監視カメラの映像だ。監視カメラは映っている対象を全て平面的に(フラットに)捉える。それは即ち、「路上で暮らす若夫婦」も「海外旅行にきた外国人」も「中流家庭に収まる主婦」も、すべてを同じ次元として捉えるということにほかならない。そこに、普遍的な(="ordinary"な)家族愛や夫婦愛を読み解くことができるだろう。また、その機能は、最後のシーンにもなるバスという公共交通機関にも備わっているのだ。
アリエスもジェーンも、私たちと同じように「普通」に公共交通機関を利用し、監視カメラにも映る。そして、「普通」に子を思い、伴侶を愛している。

このレビューはネタバレを含みます


ホームレスの16歳、17歳夫婦の間に生まれた赤ちゃんが、ゲイに誘拐されてしまい捜索するも、警察は酷い待遇で、マスコミは綺麗事にし、騙されて騙されて結局見つからないお話。

印象に残ったシーンは、
警察に事情を説明しに行ったジェーンが、警官に「どうやって授乳するのかやってみせろ」と言ったこと。シネ!

それからマスコミに報道されたあとゲイが集団暴行されていたこと。


(空気が悪いのか、自分の体調が悪いのか、途中から酸素が足りなくなってしんどかった。。)
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