南の島に雪が降るの作品情報・感想・評価

「南の島に雪が降る」に投稿された感想・評価

温八

温八の感想・評価

3.0
実話を元にした戦争映画。
戦地の戦友を励ますために演芸座を結成する兵隊さんたちのストーリー。演者もスタッフも経験者のためか戦地での兵隊さんの様子がリアルに伝わってきた。限られた物資と環境の中で素晴らしい劇場や衣装、大道具などを作り上げていく様子にワクワクする。
ここに出てくる日本の兵隊さんたち、飢餓と悪性伝染病に苦しんでいるとは思えないほど、血色がよくふっくらとしている。加東大介の面貌がそう思わせるのかと思ったが、ヒゲモジャの敗残兵、小林桂樹だってそう(人肉すら食した『野火』『軍旗はためく下に』の兵隊さんとは大違い)。

ここに出てくる日本の兵隊さんたち、将校から二等兵まで、みんな人情味豊かないい人ばかり。上官のイジメやしごき、リンチなんてこれポッチもなく、全員で演芸班を応援する(これじゃあ、戦争に勝てないよ!)。

ここに出てくる日本の兵隊さんたち、お世辞にも熱帯のジャングルとは言えないロケ地で一生懸命道路整備。戦略的に無価値なんだろうか、米軍だって単機による空襲と機銃掃射だけで上陸する気配は皆無(熱海か伊豆七島あたりでロケしたのだろうか?)。

ここに出てくる日本の兵隊さんたち、演芸班に編入された兵隊さんの顔ぶれがすごい。芸人、落語家、喜劇役者――一芸に秀でた綺羅星のごとき彼らのなかにあって、特筆すべきはワンシーンのみ登場するフランキー堺の演技(吹き替えなしのピアノ演奏!)。

ここに出てくる日本の兵隊さんたち、生きて日本に帰れた兵隊さんもいたけれど、多くは故郷を遠く離れた戦場で家族を思いながら無念の死を遂げていった(あなたたちの目に『瞼の母』の降りしきる雪はどう映ったのだろうか?)

日本の兵隊さんは戦場でひどい目にあいながらも、それでも人間性を失うことなく頑張っていたんだよと、情緒に訴える日本的反戦映画の名作。
戦争末期の昭和18年暮れの西ニューギニア、ここに駐屯する日本軍は進むも退くも出来ず補給路を断たれ、ジャングルの中反撃の機会を待ち続けていた
そんな折元芸人だという加東大介の発案により、皆を慰問するための演藝分隊なるものの結成が決定された
加東大介や西村晃の他オーディションやスカウトにより伴淳三郎や渥美清などを加えての演劇が催されることになる、、、

ジャンル的には戦争映画なんだろうけど多くのシーンで笑える喜劇作品、かといっておふざけでやってるわけじゃない、大真面目なの!だからこそ笑えて泣けて心を打つ映画だと思う

遠く離れたニューギニアの地、日本にいた頃が遠い昔のように感じられる暮らしの中、やって来る観客たちは芝居の中に内地を見る
衣装である女性の着物、カツラ、背景の絵の景色、芝居の役柄やシーンに自分たちの故郷や大切な人を思い出し想いを馳せる
そして南方の地ニューギニアでは見ることができない雪を、例え芝居の中で、偽物の紙の雪であっても心が震えずにはいられない
演者と観客がどちらもほんとに楽しんでいるのが伝わって感動的

メインとなるのは加東大介率いる劇団とその芝居風景なんですが、やはりここは戦地、敵機の空襲も絶え間無く続き、味方は傷つき減ってゆく、、、そんな現実も描かれます

出演者がみんないい味出していて好演されてます、特に伴淳三郎が良かったなー
伴淳、渥美清、森繁久彌、三木のり平が共演してるなんてのも凄い!まさにホンモノの喜劇俳優たちってのを体感した感じ
日本を遠く離れた戦地、しかも孤立したジャングルの部隊しか出てこないので、当然誰一人女優さんが出てこないという男だらけの映画でもあります、だからこそ伴淳や西村晃の化け物じみた女形でもらしく見えちゃったりするのかなぁ、笑えるけどw

神保町シアターの『伴淳三郎と三木のり平』特集にて鑑賞
『ちんじゃらじゃら物語』に続いて鑑賞したんですが、その劇中加東大介の隊の名前が園芸部隊、同じく部下に伴淳もいるし、ちょっとしたパロディ?になってたんですねー、おもしろい

それとこの映画1995年にリメイクされているらしく、そっちの方も気になるなー
当然こちらより評価も低いし、出演者的にもビミョーな気がして、見ない方が良いような気もするんだけど、、、悩むところですね
tarouman

taroumanの感想・評価

3.0
神保町シアター
まったくもって1㎜たりとも女性陣が登場しないという兵隊さんだらけの本作。
この上意下達のストイックな世界とあじゃぱーな演芸という取り合わせの妙がミソか。
スタッフキャストともまず間違いなくみな戦中派。雪が舞い散るラストシーンはだからこそ「リアル」な涙なのだろう。
極限状態においても希望を持ち続けることの大切さを考えさせられる一本。
南方戦線で兵士の士気を上げるため作られた演芸部隊の話で、エンタメの持つ力が描かれている。
部隊の仲間が集まってくる場面にはワクワクする。書き割りの水車や柿の木、舞台の衣装にまで故郷を思い出し喜ぶ兵士たちには、涙目になってしまった。伴淳が水を飲んで酔ったふりをする場面や、三木のり平が演芸部隊の役者を褒めまくる場面も良かった。ゲストも豪華。
なんと言っても、ほかのお客さんと一緒にこんな映画を笑ったり泣いたりしながら見ているというのが、なんだかたまらなくよかった。

「バンジュン生誕110年記念 伴淳三郎と三木のり平」@神保町シアター
一

一の感想・評価

-
おいしすぎる伴淳。場内のご老人大ウケ。演芸部オーディションのシーンで好き放題の伴淳に笑いをこらえきれない織田政雄かわいい。ワンシーン出演のフランキー堺のピアノ演奏が長すぎてものすごいジリジリしてくる。こんなにジリジリしたの久しぶり。
問答無用の人間劇場に期待していたが、良くも悪くも東宝式悲喜に収束。
演出が割り切り過ぎか?
俳優の加東大介が戦時中、南方戦線で兵役中の体験談をもとにした笑いあり涙ありの戦争映画(我ながら月並みな表現…)

主演の加東自身はじめ、伴淳、小林、小金治、フランキー、渥美と食糧の少ない最前線とは思えないぐらいみな肉付きがいい(苦笑)

しかし、そんなリアリティのなさを補うかごとく、当時のオール喜劇スターたちの藝の力が如何なく発揮している作品となっている。

なかでも伴淳の存在感が抜きん出ている。どうしても旅役者の癖が抜けきれずオーバーな演技になってしまうのは、のちの加トちゃんのCMコントの元祖ではないかと思う。

また、物語の根幹を台詞でストレートに言うシーンがあるが、伴淳の独特の東北弁が効果的でスムーズに観客の身体に浸透していく感を受ける。

戦争は非人道的以外何物でもないが、そんな状況下でも決して人間らしさを忘れず、仲間たちの心を慰めようと奔走した人々がいたことを忘れちゃいけないと…この作品を見るたびに思う。
原作が何故か加東大介。
奇しくも終戦記念日に戦争映画をチョイスしたわけだが、駄目すぎ。
やっぱり、東宝の映画って肌に合わないかも。
なんつーか、メリハリがないっつーか……
加藤大介さんの手記を基にした実録戦争映画。

制海権制空権を連合軍に奪われたニューギニア。食糧は届かず畑で芋を栽培する有様。加藤さんは慰問の為の演劇を提案。プロ、セミプロ、自称プロ、偽物(!)まで人材は豊富。

作り物の柿に歓声を上げ書割の田圃に故郷を思い出す兵士たち。旗揚げ公演が成功してなんと破風を備えた立派な専用劇場まで建設してもらい演劇公演は大成功を収める。

「全滅」した為存在しないことになっている分隊が3日かけて劇場に来る。体調が悪い兵士が「もう一度内地を見たい」と懇願し担架に運ばれて劇場に向かう。

紙で作った雪が降りしきる中、兵士は息絶える。

餓死か、爆撃で死ぬかという現実。演劇という虚構が生きる力を与える。

加藤大介、西村晃、有島一郎、伴淳三郎、渥美清、三木のり平、桂小金治、小林桂樹、フランキー堺、森繁久彌、これだけの喜劇役者が揃っているのに涙が止まらないのは何故だ。
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