南の島に雪が降るの作品情報・感想・評価

「南の島に雪が降る」に投稿された感想・評価

問答無用の人間劇場に期待していたが、良くも悪くも東宝式悲喜に収束。
演出が割り切り過ぎか?
俳優の加東大介が戦時中、南方戦線で兵役中の体験談をもとにした笑いあり涙ありの戦争映画(我ながら月並みな表現…)

主演の加東自身はじめ、伴淳、小林、小金治、フランキー、渥美と食糧の少ない最前線とは思えないぐらいみな肉付きがいい(苦笑)

しかし、そんなリアリティのなさを補うかごとく、当時のオール喜劇スターたちの藝の力が如何なく発揮している作品となっている。

なかでも伴淳の存在感が抜きん出ている。どうしても旅役者の癖が抜けきれずオーバーな演技になってしまうのは、のちの加トちゃんのCMコントの元祖ではないかと思う。

また、物語の根幹を台詞でストレートに言うシーンがあるが、伴淳の独特の東北弁が効果的でスムーズに観客の身体に浸透していく感を受ける。

戦争は非人道的以外何物でもないが、そんな状況下でも決して人間らしさを忘れず、仲間たちの心を慰めようと奔走した人々がいたことを忘れちゃいけないと…この作品を見るたびに思う。
原作が何故か加東大介。
奇しくも終戦記念日に戦争映画をチョイスしたわけだが、駄目すぎ。
やっぱり、東宝の映画って肌に合わないかも。
なんつーか、メリハリがないっつーか……
加藤大介さんの手記を基にした実録戦争映画。

制海権制空権を連合軍に奪われたニューギニア。食糧は届かず畑で芋を栽培する有様。加藤さんは慰問の為の演劇を提案。プロ、セミプロ、自称プロ、偽物(!)まで人材は豊富。

作り物の柿に歓声を上げ書割の田圃に故郷を思い出す兵士たち。旗揚げ公演が成功してなんと破風を備えた立派な専用劇場まで建設してもらい演劇公演は大成功を収める。

「全滅」した為存在しないことになっている分隊が3日かけて劇場に来る。体調が悪い兵士が「もう一度内地を見たい」と懇願し担架に運ばれて劇場に向かう。

紙で作った雪が降りしきる中、兵士は息絶える。

餓死か、爆撃で死ぬかという現実。演劇という虚構が生きる力を与える。

加藤大介、西村晃、有島一郎、伴淳三郎、渥美清、三木のり平、桂小金治、小林桂樹、フランキー堺、森繁久彌、これだけの喜劇役者が揃っているのに涙が止まらないのは何故だ。
この映画の特徴はわかりやすい悪役がいないことである。
舞台セットに出てくる水車や桜・柿の木に感激し、日本の原風景をひたすら懐かしむ一般兵から、演芸部設立に腐心した司令部の士官に至るまでを、温かく優しい目線でとらえている。
尊大な上官もいなければ、罠にはめる同僚もいない、ただ天災のごとき空襲を時折描いてるのみである。


演芸分隊への加入を拒否する分隊へ強権を発動する三橋達也はさりげにかっこよく、森繁久彌・小林桂樹・三木のり平・フランキー堺ら社長シリーズ組には、それぞれ強烈な印象を残すおいしい役に配置させているのもうれしい。
空

空の感想・評価

3.2
戦時中のニューギニア前線で兵士を鼓舞する為に演劇部隊が存在したのか

その事実にも驚いた

「1分でいいから内地が見たい」とやってくる兵士
「全滅と報告された部隊で生き残った人は内地には戻ることはできない」
「必ず生きて帰りたい」

一言一言が刺さった
青二歳

青二歳の感想・評価

5.0
ディアゴスティーニありがとお!1000markにこの奇跡のような映画を。昭和の喜劇王達が人間の尊厳、文化という営為の貴さ、虚構の偉大を教えてくれた。太平洋戦争末期..常夏ニューギニアに残された加東大介が座長を務める"マノクワリ歌舞伎座"に雪が降る。
戦後、無事復員し、役者に復帰した加東大介が自分自身の役を演じる。

加東大介、有島一郎、伴淳三郎、森繁久彌、フランキー堺、渥美清、小林桂樹、西村晃、三木のり平、和田孝、上田忠好、桂小金治、…ほか出演俳優すべてに敬意を表せざるを得ません。戦争を知る俳優の軽やかさが胸を打つ。

VHSにすらなってなかったんですよ、東京映画つぶれた後は東宝じゃろ、仕事せんかいと呪っていましたがまさかのディアゴスティーニ。ありがとうございます。
加東大介の手記もよいからぜひご一読を。原作をぜひ!
本筋はシンプルなんだけど、戦場の細かい情報量が多くて楽しめた。

全滅と発表された部隊はとにかく悲惨なんだけど。みんな笑顔を見せるのさ。

演芸部隊の話なんだけど主人公は特にいなくて、演芸部隊がどうにかなっちゃう話でもなく、兵士達に対する哀悼がテーマなのが良かった。

渥美清は何か事件を起こすと思ってハラハラしてたが何もなかったな…。
戦争物というよりフィクションの持つ可能性の話。伴淳と西村晃が水を酒にみたてて酔っ払うシーンは白眉。素直に泣いた。@ラピュタ阿佐ヶ谷