MR.LONG/ミスター・ロンの作品情報・感想・評価

MR.LONG/ミスター・ロン2017年製作の映画)

上映日:2017年12月16日

製作国:

上映時間:129分

あらすじ

ナイフの達人・殺し屋ロン。東京、六本木にいる台湾マフィアを殺す仕事を請け負うが失敗。北関東のとある田舎町へと逃れる。 日本語がまったくわからない中、少年ジュンやその母で台湾人のリリーと出会い、世話好きの住民の人情に触れるうちに、牛肉麺(ニュウロウミェン)の屋台で腕を振ることになる。屋台は思いがけず行列店となるが、やがてそこにヤクザの手が迫る……。

「MR.LONG/ミスター・ロン」に投稿された感想・評価

Mr.Long ミスター・ロン
12/16公開ですが 一足早くレビュー。

台湾の殺し屋 ロン(チャン・チェン)は、東京にいる台湾マフィア殺害の依頼を受け日本へ飛ぶも失敗し重症を負ってしまう。
命からがら北関東の田舎町へと逃げ延び、迷い込んだ古い住宅地で無口な少年 ジュン(バイ・ルンイン)に助けられる。
傷が癒えるまで身を潜める中、ジュンに料理を振る舞い 覚せい剤に溺れるジュンの母 リリー(イレブン・ヤオ)を縛り付けクスリを抜かせるロン。
そんな折、世話好きな町の住人達に気に入られたロンは牛肉麺の屋台を出すことになる。
はじめは密出国の資金を貯めるべく働くロンであったが、人々の優しさに触れ次第に居心地が良くなり揺らぎ始めていく。
不意に訪れた人生の転機を前に迷うロンの姿を通し、人に宿る可能性を描いた作品だ。

冒頭、複数の相手を一人で颯爽と殺すロン
来日後、ボコボコにされ殺されそうになるロン
そんな裏社会的な世界観を見せつけられた後に描かれる田舎の住人達とのやりとりにホッとした
ホッとしたのと同時に、裏社会の手の者がこの平穏を砕きにやってくることが容易に想像できて胸が不安に包まれた
ロンの心が満たされていけばいく程に、崩れ去ってしまった時の恐怖が増していく
一歩踏み外せば死に至る綱渡りのように、終始緊張感が伴う作品であった。

その道において間違いなくプロフェッショナルな位置に君臨するロン
そうあるためにナイフの腕を磨き、人を殺めて稼いでいくことしか考えていない
彼の場合「殺し屋」であるためピンとこないかもしれないが、あなたもぼくも同じはず
目指している夢があれば、それを叶えるための最善の生き方をしているはず
仕事に関しても、成果を 最善の結果を出そうと行動しているはず
目の前のことが最優先である内は、別の道があることなど考えない

そんな中、不意に踏み込んだ別の道で自らの存在意義を見出してしまうロン
ナイフを包丁に持ち替え 突き刺す相手を食材に変えた途端、桁は違えど報酬の中には笑顔も含まれるようになった
それまで得てきたモノとは確実に違う
誰かに必要とされることに関しては同じだが、そこに誰かの怒りや憎しみは付き纏わない
より良き道が他にあるのではないかと模索し始めてしまう。

人間性はそうカンタンに変えられないが、環境や関わる相手次第で生き方は変えられる
予想もしていなかった場所に、人生を変え得るチャンスは転がっている
時には立ち止まってみるのも良いのかもしれない
行き詰まった時には角度を変えてみた方が良いのかもしれない
まだ見ぬ誰かとの出会いが、未知の世界へ足を踏み入れるキッカケになるかもしれない
ゆっくりと着実に変化していくロンの心模様に引き込まれた

そして、前提条件が一つあることも示されていた
きっちり後始末をつけなければ 清算しなきゃ ケジメをつけなきゃ、過去はどこまでも行っても追いかけてくる
芽生え始めた可能性だって喰い潰される
ド頭に繰り広げられる5人のチンピラの会話だってその暗示
生き方を変えるのには、それ相応の準備と覚悟が必要である。

焦らず 休まず 真っ直ぐに生きていれば、自ずとチャンスは巡ってくる
もしかしたら思い描いた道とは違うかもしれない
違う道を歩むことを「逃げ」や「諦め」だと罵られることもあるかもしれない
自分自身で認められず否定してしまうことだってきっとある
それでも、自らを必要としてくれる誰かがいて その期待に応えようと思える自分がいたのならやっていける

何より、その道を見出せたのだって偶然では無いはずだ
それまでの積み重ねがあってこそ切り拓けた道
結果論でしか無いが あくまでも物語でしか無いが、殺し屋として日本へ来なければロンに変化は訪れなかった
料理が得意じゃなきゃ築けなかった関係性もあった
これまでの日々が 今の自分が明日を形成していく
今取り組んでいることに少しでも違和感があるのなら、全く異なる道にある者・物・モノに触れてみるのもありかもしれない
人生、どこで何か起こる分からないのだから。

こんなにも心をあたたかくしてくれる殺し屋も珍しい
彼の孤独が 迷いが 幸福が 絶望が、きっとあなたにも勇気を与えてくれると思います

ぜひ劇場でご覧ください。

青春★★★
恋 ★★
エロ★★
サスペンス★★★★
ファンタジー★★★
総合評価:A
凶器から調理道具になった刃物によって繰り出される美食が国籍を超えて人を繋ぐ、笑いあり涙ありのキャッチーな犯罪映画。結局、美男美女は黙っていれば良いのでずるい。そんな寡黙なチャン・チェン感情をさらけ出すラストは胸アツ。母の回想シーンが長い。全体的に青味が掛かった陰鬱な色味も好みでない。

2017/10/27 TIFF チャン・チェン&SABU 舞台挨拶付き
チャン・チェンを堪能出来る作品でした。SUBU監督があて書きしてくれて。チャン・チェンがかっこいい、チャン・チェンがチャーミングというシーンがたくさん。

お話はとても寓話的。もし台湾の殺し屋が、日本のある街に来たら…?ノアール的な部分やヒリヒリした部分もありますが。のどかでもあって。それがラストに向かって昇華される。グッときました(涙)。

元々は殺し屋のチャン・チェン。しかもナイフ使いの達人。動きのシャープさ。そして、あの目力。ほんと、もう、かっこいい。魅せられる。孤高の彼がお人好しの人たちに巻き込まれるおかしみもあった。

私はチェン・チェンの声が大好きなのですが、今回はセリフ少なめ。でも、ひとつ表現方法を封じられても、その分、表情、たたずまい、動きなどで、彼はロンを魅力的にしてくれました。さすが。

イレブン・ヤオさんが物語の鍵になる女性を好演。子役のバイ・ルンイン君もよかった。諏訪太朗さん、水澤紳吾さんたち、日本のバイプレイヤーがチャン・チェンを巻き込んでいくのが、楽しかった。

千葉哲也さんは、なんで、あんなねちっこく、他人を堕としていくような役が似合うのかなあ。この作品、千葉哲也さんのひどさも見どころのひとつ。ほめてます。

レスリー・キーさんが撮影したポスターのビジュアルで、チャン・チェンがPerfumeのTシャツを着ていて。発表時、ツイッターのチェン・チェン迷がザワつきましたが、ちゃんと訳がありましたよ。

とても、おなかが減る映画でもありました。チェン・チェンが作るお料理が、どれもおいしそうで。それが人をつないでいく。食いしん坊にはたまらない。

SUBU監督にしては静的な作品。でも、それがやがてカタルシスに。あと説明は極力なくて。映像で語るというか。私たち見る側の想像に委ねてくれてるのが好きでした。妄想力発揮できる。

日本と台湾の高雄で撮影。冒頭の台湾のシーンとか、ほんと映像的に美しかった。撮影は古屋幸一さん。あと外国の人から見たら日本はこうかなあってエキゾチックな部分もありました。

私はチャン・チェン迷だし。ああいう実は殺し屋って設定や、擬似家族的なお話に弱いので。やや点は甘いと思うけど、許してください。

追伸:ハイローに脳を焼かれた人の感想です。俺たちの九十九さんが、甘くて、かわいくて、苦い恋に堕ちます。九十九さん、恋するとこんな表情するのかあとすごく新鮮。すべての九十九さんの女に映画館で見て欲しい。
安琦

安琦の感想・評価

3.7
東京国際映画祭で。期待以上でした。
緩急剛柔がさすが。
ナイフで人を殺める殺し屋が、そのナイフを肉切り包丁に持ち替えて起こるおとぎ話。日本が舞台だけど、これはまさにおとぎ話の世界だ。誰かにとっての日常と非日常。おいしいごはんと飛び散る血。クールな殺し屋に流れる涙。
硬派一辺倒な張震もいいけれど、今回は間にちょこちょこ挟まれるとぼけた風味が最高オブ最高!
「クールなふりしてしゃべんないからいけないんだよ」とちびっこに言われているところが最高だった。
とにかく出てくるご飯もおいしそうで牛肉麺が食べたくなるよ。まあ中盤これ長すぎじゃない?エピソードもないこともないけど、これはラストに向かうのに必要かなと思うことにする。
東京国際映画祭にて。
SABU監督作は初めて。チャン・チェン主演ならばと。
影あるイケメン殺し屋に、不憫な子供、美味しそうな料理(しかま殺し屋が作る)と、要素が抑えられていて、これでつまらないわけないよなーと思った通り、大層面白かった!
日本の田舎らしいお節介&排他性の混在感もいい。
最後はやっぱりかなりグッときた。
暴力描写(殺人&レイプ)もあるけれど、コミカルさもあるので重苦しいトーンだけではない。
本当に面白いから、見て欲しい!
水のま

水のまの感想・評価

3.3
ひたすらチャンチェンと子役を愛でる。
チャンチェンのプロモーションビデオみたい、彼のユーモアと殺陣と父性と格好良さと…魅力が詰まってる。
sobayu

sobayuの感想・評価

4.0
自分が見たSABU監督作の中で一番好き。今までは監督が興味ないだろう部分は急にファンタジーになるのがイマイチ...と思ってたのですが、それこそが作家性なんだと初めて肯定的に思えた。今回で言うなら警察の介入とか保健所の許可とか、そういうのがポーンと描かれなくたって作品の瑕疵にはならない。

片田舎の住宅街の一角に貧困と荒廃の景色があるのは非常にリアルだった。彼女の心境に寄り添って景色が変わるのとかゾクッとした。街の切り取り方がうまい。売人のクソ野郎の姿を見つけた彼女が家へ逃げ帰るシーンの恐ろしさは白眉だと思う。

ミステリアスだけどどこかピュアな感じがするチャンチェンの良さが炸裂してるのも素晴らしかった。近年のチャンチェン史上でもベストに近いと思う。千両役者だなあ。
mukoryo

mukoryoの感想・評価

4.5
第30回東京国際映画祭の特別招待作品で鑑賞。国際的トップスターである張震と日本の映画監督であるSABUの出会いと共同作業は珠玉の作品を生み出した!これはヤバいです。張震は登場シーンからラストまで類ないオーラを放ちシビれさせます。中華圏の監督たちもSABU監督に嫉妬することになるでしょう。設定としては香港の『激戦』や韓国の『アジョシ』を思い出させます。暗黒社会と人情喜劇の対比は昔から伝統的にあるストーリーで、ブルース・リーや高倉健など往年のヒーローもそうだった。上映前の舞台挨拶で張震はなぜか学生服(学ラン)姿で登壇。そんなお茶目さとクールさが相まった魅力は作品の中にもあって、日本でのシーンはほとんど台詞がないにも関わらず成立していたのが面白い。なぜにこのTシャツ?なぜにネギとフキ?というのも少し経つと絶妙だなとわかる構成が新鮮だった。どんな暗黒な状況にあっても光や可笑しみはある。誰の心にも突き刺さる、そして楽しめる映画です。
mikazuki44

mikazuki44の感想・評価

3.7
東京国際映画祭2017にて

とにかく出演陣がチャンチェンを可愛がって可愛がって可愛さ丸めて飲み込んだら、ラストシーンでチャンチェンが最高の演技だったって話。終始可愛くって台湾牛肉麺屋台姿も包丁さばく姿も、ナイフで殺し屋の姿も全部かっこいいから仕方ないなぁ。

子役のお母さんの方の話はそんなに長々いらなかったなぁ。
Vega

Vegaの感想・評価

3.6
人を殺めるナイフから、共存するための包丁へ、容赦ない人情のまとわりつきに戸惑いながら変わっていくロン。殺し屋ルックも屋台麺屋スタイルも文句なしに美しい。舞台挨拶のハイクラス学生服もかわいい!張震、完璧です!
とりせん、ビバホームの看板にもしやと思ったら、ロケの田舎町は栃木県足利市でした。お年玉ためていた足利銀行(あしぎん)の通帳いま何処と浸る郷愁とともに、チャン・チェンが栃木上陸してくれたという喜び。
チャン・チェンと愛らしい子役ちゃんをただただ見つめる2時間でした。
ありがとうございます!!!!
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