人間の時間の作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

上映館(4館)

人間の時間2018年製作の映画)

인간, 공간, 시간 그리고 인간/Human, Space, Time and Human

上映日:2020年03月20日

製作国:

上映時間:122分

「人間の時間」に投稿された感想・評価

映画の完成度、では全く語りようのないキム・ギドク作品。相変わらずの雑さでキャラクターへの感情移入や、物語的な推進力とか語り方とか「映画的」高尚さは皆無。

このようにしか撮れないし、このようにしか語れない、という非常に狭い視野の映画である、がどうしても好きになってしまう。

本作も大作感のあるカメラワークからの、時折、自主映画なのか?というような素人っぽい画面が散見されたり、日本語と韓国語が入り乱れているのに会話が通じていたり、かと思えばチャン・グンソクが時々日本語を喋ったりとリアリティラインがめちゃくちゃ。
何より人物の関係性や出来事をセリフで説明してしまう愚行もてらいがない上に、共感できない、絶対にそんなこと言わないようなセリフ回しまで頻出する。

ただ…その映画的カオスに収まりきれないほど、作中の出来事がカオスと地獄絵図のため、それどころじゃない、という気分になってしまうほど、ある一方向に極端に切り取られた人間の暴力性が露呈する。
人間は飲み食いをしセックスをし人を殴り、殺す。
だけど営みを止めることはない、という現代の世相に噴出しがちな恐ろしいシンプルさを、これでもないほどシンプルに身も蓋もなく描くことによりあまりにも救いのなさが表現されていて清々しい。

一方で、イ・ソンジュとチャン・グンソクの親子の凄まじさと、全編に渡る罪と罰の攻防とそれらを超えた「生存」そのものの逞しさ、そしてそれらを断じない突き抜けたモラルのあり方に感動を覚える。

面白い映画だとは微塵に思わない一方、絶対に観たことのないスペクタクルにとにかく圧倒された。
これほんとにキム・ギドクの映画?どこのヘタクソなVシネだよとか途中まで思うんだけどラスト30分ぐらいの飛ばし方&放心のさせ方はなるほどキム・ギドクだった。エグくて終わらせ方もいいんだけど、終わった途端にあんまり後を引かなくて、実は大した中身は無い映画なんじゃんこれ。深遠そうなタイトルつけるから余計にそう感じちゃうんで、いっそのこと「キム・ギドクの食人族」とかでいいんじゃないですかね?
レク

レクの感想・評価

3.8
人間、空間、時間、そして人間。
ディストピアで描く人間模様から国家、更には世界の縮図として魅せる旧約聖書の創世記。

道徳観念が欠如していく空間、空腹に耐え生命が育つ時間、人間であろうとする人間と人間であることを忘れる人間。
死体から生まれる新たな命、喪失と再生は幾度となくキリスト教をテーマに描いてきたキム・ギドクが贈るエデンの園とアダムとイヴの失楽園。
船上で繰り広げられる凄惨な争いはカインとアベル、その船は人間の堕落からノアの方舟を模している。

極限状態での倫理と道徳の脆さ、生命の円環と繰り返す業の深さ。
人間の性と本質を暴くキム・ギドク節が炸裂の超変態劇薬映画だ。
河田

河田の感想・評価

1.5
ムービーウォッチメン課題作なので観た。
倫理的にアウトなのは良いけど、キャラクターやお話が意味不明すぎてアウトでは……。途中から「これはギャグ映画だ」と思いながら観てしまった。チャン・グンソクが演じた役が1番タチが悪いと感じたが、ある意味生々しい人間の現実を描いているのかもしれない……。
人間植木鉢も発想が斜めすぎて謎。おじいさんはどこへ行ってしまったのだ……。あのラストを観て何を感じればよいのか……。
序盤に消えたオダギリジョーが、ある意味、作中最も幸福なキャラクターだったかもしれません。笑

久々に謎すぎる映画を観てしまった😅
キリスト教、ギリシャ神話、天地創造などなどてんこ盛り。『春夏秋冬そして春』のB面みたいな作品。昨今の韓国映画とは一線を画すキム・ギドクのゴーイングマイウェイな姿勢はさすが。
細かいとこ 突っ込む人は
たぶんおるかも知らんけど..

伝えたい事に正直な映画。

監督のたどり着く、
先がどんな映画であろうと
遺作まで 観続ける所存です。
gucci

gucciの感想・評価

3.3
情報無しに、キム・ギドク監督新作に挑んだ。オダギリジョーが出てるんだなぁ、とか日本人の女の子、なんかウザいな、とかグンちゃん、久しぶりだなぁとか勝手なこと考えながら冒頭眺めてたら救いの無い状況に落ち入って、この後どうなるんだろう?ってずっと思い続けてたら終了。何かの比喩で退役戦艦に乗っているのか?人の業を描きたかっただけなのか?人の描かないタブーを表現したかっただけなのか?単なる手段なのか?何とも思考の沼から脱出つかず、、、しかし、グンちゃん、マイナスじゃないかな?オダギリジョーも必要あったかな?日本人の女の子、主演、ビックリした。
おそらくキリスト教その他宗教が果たした歴史的役割は、世界の人々の日常から殺し合いや強姦を減少させ、人間同士の共食いを激減させた事にあると考えていて、この作品がノアの方舟っぽく進行しやがて同種喰いに発展していくという流れは、僕は話のパターンとしては案外飲み込みやすい事に感じた。面白い作品だった。
人間とその他生物の生命を同列に考え、生命活動そのものに突き動かされながら執着はしない。確かに生命とは循環とかその種が永続するという事が果たされなければ話にならないのも確かだ。
あとチャン・グンソクがこの映画ではとても頑張ったんではないかと思った。チンピラリーダーを演じたリュ・ズンボムもなかなかいい味だった。
Naoya

Naoyaの感想・評価

2.2
退役した軍艦でのクルーズ旅行の最中、海を航海していた軍艦が異次元に辿り着いてしまう。キム・ギドク監督作のディストピア作。SF要素は主に味付け程度で、取り残された乗客や乗組員たちの欲望の表し方が秀逸ではある。その点ではバラエティ豊か。各々の人物が、各々の私利私欲のまま、欲望の赴くままに行動し発する様はまさにディストピア感満載。場面としては強烈なものは多いが、多いだけで場面の作り込みが浅く、盛り込んだだけのチープさが目立つ。言葉の定型文さが目立ったり、行動のありきたりさ、人物描写の弱さや曖昧さと、インパクト重視だけが目立つ。境遇の中での混乱する模様、残酷な状況は伝わるが、ハードさが売りなだけでドラマは薄い。意味合いも弱い。出演者は無駄に豪華。
escher

escherの感想・評価

2.0
キム・ギドクのファンである私でも、この映画は厳しかった。最大の問題点は、チャン・グンソクの役の言動。善人キャラなのに、序盤に圧倒的な悪行を働くが故に、その後の善行が全く持って感情移入出来ない。であれば悪行以降、悪の道に走るか、もしくはあの悪行を行わせない方が良かった。
そして、今回が初めてではないが、ギドク映画では違う言語で登場人物が会話出来てしまうことがあるのだけど、これは止めた方がいい。何か意味があればいいが、どうしても意味合いが見出せない。全員、韓国人俳優で固めればいいのに、なぜそんなキャスティングをするのか。
オダギリジョーはいい人役で出ているが、最後の行動で「?」が浮かぶし、いやはや、まいった。
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