愛すれど心さびしくの作品情報・感想・評価

「愛すれど心さびしく」に投稿された感想・評価

シンガーを可哀想とは思っても心の強いお人好しだと決めつけていたことに気づいた。しんどい。
若かりしアラン・アーキンと初々しいソンドラ・ロックのアンサンブルが楽しめる映画

演出的に特に目立ったものはないしオチも取ってつけたようなものだったけど、孤独な人間らの生き様とキャストの演技は中々染みた

それにしてもこのアラン・アーキンといい冬のライオンのピーター・オトゥールといい、アカデミー賞受賞者であるクリフ・ロバートソンより光る演技をしている俳優ばかり主演男優賞候補になっていて、どうして彼が受賞できたのかつくづく不思議でならない
KANA

KANAの感想・評価

4.2
過剰な演出のない、静かな古い映画なのにこんなにもズーンと胸に突き刺さるなんて…!

若きアラン・アーキンが演じるのは耳が聞こえない、物を言えない聾唖の役だけにセリフは一切ない。
それだけにスペクタクルのない2時間越えでも彼の声のないきめ細やかな名演が際立って引き込まれる。
ソンドラ・ロックも忘れられない瑞々しさ。

観てる最中は周りの人物の人間模様や次々に湧き起こるトラブルにドギマギさせられがちだけど、ラストは邦題の通り、寂しく、虚しくなると同時に胸がじわ〜っと熱くなって泣けてくる。
優しさと寂しさに満ちたシンガーの気持ちを汲み取ったミックの身になるとやりきれない。

生きてたらそれぞれに孤独で辛いよ。
でも気持ちをシェアするから前に進めるんだ。
聞く耳を持つことと思いやりの大切さ。
改めて胸に刻もう。

ゆったり優雅でありつつメランコリックな音楽が60年代アメリカ南部のレトロな風景や映画そのものの画質と共にしんみりした情感に浸らせてくれる。
是非もっと多くの人に観てもらいたい隠れた名作。
Mark

Markの感想・評価

4.0
みんな好き勝手に話して、相談してくるけど、相手の話も聞いてあげなきゃ。
シンガーはみんなのことが大好きなのに、だれも自分心の寂しさを分かってくれなかったんだよ。
The movie is a bit different from the book, it is sort of in a rush. The main characters except for Singer act a bit "forced" and even the series of event sometimes feels forced also.

This 4.0 rating is for Alan Arkin's great acting here, his gestures, the loneliness he expressed without a word.. aww I cried a bunch for him 😭😭😭😭

ずっと心に残ってます
marumame

marumameの感想・評価

4.8
聞くこと話すことができない聾唖者シンガー。心優しいシンガーはまわりの人の悩みを理解して手を差し伸べる…皆はシンガーによって救われるが、そんなシンガーの心の寂しさには誰も気付いてくれる人はいなかった……。
若き日のアラン・アーキンが難しい役を見事に演じています。セリフのない役なのに、彼の心情がずしんずしん伝わってきて心臓が締め付けられるような切ない気持ちになりました。
たくさんの人に観て欲しいと思う名作です。
ninjiro

ninjiroの感想・評価

4.4
愛しても、愛しても、伝わらない。

知った風景、知らない場所、すれ違う人、愛する人、何処でも誰の前でも構わず変わらず愛を抱く人はいつも弱い。
弱い立場に甘んじながら誠実に、同じく弱い人を愛する。
しかし愛しても、愛しても、言葉は足りない。

主人公シンガーは聾唖の男。話すことも聞くことも叶わないが、読唇と手話、筆記で人と意思を交換する。
彫金職人として堅実に生計を立て、同じく聾唖者で知的障害を持つ男アントナパウロスと二人、小さな貸間で互いに心を通わせ慎ましく暮らしていた。
しかし社会一般の決めたルールに則り外れることのない者にとって悪意なきトラブルメーカーでもあるアントナパウロスは、彼に手を焼く近親の者により半ば強制的に施設に入所させられることとなり、シンガーは彼を引き取り再び共に暮らす為、自身を公に法定後見人として認めさせる手続きを弁護士に依頼する。
その手続きが満了するまでの間、せめて出来る限り近くでアントナパウロスを見守ろうと施設の近隣に居を移す為、暮らした街を出て新しい土地で下宿探しをするシンガー。見付けた先は、元来中流家庭ながら父親が腰を悪くし働けなくなったことから収入を絶たれたケリー家の2階、元は長女に与えられていた部屋であった。

皆、それぞれに事情を抱え、貧困に、思うに任せぬ日常に、謂れなき苛烈な差別に苦しみ喘ぎ、与えられて然るべき権利や自由を求めて伸ばした手は空を切る。そして皆、その虚しさ、苦しみをシンガーにだけは伝える。何故ならシンガーだけがそれらの言葉を真に理解しようと努めるからだ。
人から発される言葉の聞こえない彼に、人はそれと知りながら構わず話し続ける。彼は話す人の唇の動きを見つめ、眼を見つめ、心を見つめ、真意を理解する。もっと言えば、実際に彼らが発する言葉の意味以上のものをそこから汲み取ることができる。
しかし、彼の心を真に理解しようとする人は居ない。あれほど彼に見つめられ心を救われた者の中にも、時に手話や身振り手振りで必死に意図を伝えようとするシンガーとの間のコミュニケーションの溝を進んで埋めようとする者は無く、今度は彼から渡されたメモに書かれた文字情報以上のものをそこから見つけようとはしない。そのただの文字を読むために彼の眼から眼を逸らし、一連のコミュニケーションは強制的に中断する。
その間もシンガーはじっと静かに眼を覗き込んでいることに、彼らは一向に気付かない。

シンガーにとってアントナパウロスは唯一人の拠り所であり、「対話」の叶う相手であった。彼らが交わす手話での対話の中でのみ、普段健常者の前では慎重で冷静な姿勢を崩さないシンガーが見せる喜怒哀楽、子供のような感情の迸り、その美しさを見よ。
しかし冒頭、施設へ送られるアントナパウロスを乗せて走り出すバスを追いかけ何時までも見送るシンガーに対し、彼の姿が自身の眼中から消えた途端に目の前の菓子を貪るアントナパウロスの無邪気な姿は、滑稽なようで実に残酷なシーンである。

言葉は諍いに乗せて、誰かの意見を・誰かの都合を只管に忙しく申し渡すだけで、もどかしいその気持ちを伝えることは出来ない。
その欠片は例え伝わっても、いつでも誰かの都合に合わせて消費される。
初めから約束され、誰にも知られることのない深い絶望は永遠に癒されない。

愛を抱く人はいつでも弱い。
何故なら我々が彼をそこへと追いやるから。

これは、「優しさ」についての物語である。
kitrustz

kitrustzの感想・評価

3.8
いわゆるデニス・ホッパー的なアメリカン・ニュー・シネマは知っていましたが、本作品のように、全く別の角度・手法を用いてこの時代のアメリカ社会が抱える病理を静かに提起する作品を観たのは初めてでした。聾唖者である主人公が様々な社会的にみれば弱者である人々と触れ合っていく物語で、彼=天使のように描かれた優しいタッチの作品ですが、表面上とは裏腹にしっかりと描くべきは描かれていました。良質な映画から感じる言語化困難な空気感を紛れもなく感じさせる一本(´ω`)。
Hawkwind

Hawkwindの感想・評価

2.5
名優アラン・アーキンが演じるのが聾唖者の若者で、その親友も聾唖で精神薄弱気味という変わった設定のドラマ。
これがデビュー作のソンドラ・ロックの家族も問題を抱えているという、悩み多き人達のせつない物語である。
最後に自殺した主人公の墓の前で「愛してました」なんて、今も昔も若い娘は調子良すぎるようで。
『愛すれど心さびしく』は1968年のアメリカ映画。監督はロバート・エリス・ミラー、脚本はトーマス・C・ライアン、原作はカーソン・マッカラーズの『The Heart is a Lonely Hunter 心は孤独な狩人』。
珍しくこの映画の邦題は傑作だと思う。

登場する人物はみんな不幸になっていく…
自殺、癌、不治の病、片脚切断、経済的理由で高校中退など思えばネガティブな内容ばかりだ。

因みに女子高生は、ソンドラ・ロックという女優さんが演じてます。この人は1970年代の映画ファンだったら誰でも知ってるんですけど、この人、クリント・イーストウッドの愛人だった人です。

主演はアラン・アーキン。聾唖者のシンガーを演じるにあたり彼の台詞は一切ないが、顔の表情や目の動きで非常に難しい役をこなしている。
出演の雰囲気・演技は良かった。でも登場人物の人となりというか背景が若干飛ばされ気味だったのが気になった。

これを観た時(人間てのは最後の最後まで、どんなに誠意を尽くしてもわかり合えないことがあるんだ)と物哀しくなった作品だった。
>|